2021年5月17日月曜日

2021年5月16日(日)明治安田生命J1リーグ第14節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 ~沈黙が解なら~

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:

スターティングメンバー&試合結果
  • 川崎は中3日の日程ですが、前節もホームゲーム、かつジェジエウ、ジョアン シミッチ、家長、レアンドロ ダミアンがスタメンから外れていたこともあって、この試合は田中碧(と、負傷の大島)以外はほぼベストメンバー。
  • 札幌は依然としてキム ミンテ、ルーカス フェルナンデス、そしてチャナティップを欠く布陣。荒野も万全ではないとのことで、トップ下(シミッチの担当)には予想通り駒井、最終ラインには宮澤がスライドしています。

沈黙が解なら(ゲームプランの推察):

  • 6局面で互いのゲームプランを考えると、
①-A:札幌の札幌陣内でのボール保持
①-B:札幌の川崎陣内でのボール保持
② :札幌→川崎ボール保持へと移るトランジション
③-A:川崎の川崎陣内でのボール保持
③-B:川崎の札幌陣内でのボール保持
④ :川崎→札幌ボール保持へと移るトランジション
  • 90分を通じて、札幌は上記の「①-A」と「③-A」の局面を増やしたい。何故ならトランジション勝負になればゲームを決めるのは三苫であり家長なので、ボールが行き来しない展開に持ち込みたい。そして③-B…川崎が札幌陣内でプレーする時間が増えれば、そのうち決壊してしまう。
  • ①-Bについては、実はそこまで重視していなかったと思います。それは川崎陣内でプレーしようとしても、決めきれない、フィニッシュで攻撃を完結できないなら、そこからボール喪失→カウンターに繋がりやすいから。
  • ですので、この意味では「攻撃」の機会を増やすことはこの試合の戦略目標ではなくて、寧ろ川崎が自陣でボールを持っているシチュエーションで、川崎を札幌陣内に簡単に侵入させないことが大きなミッションだったでしょうか。
  • 一方、川崎が、スコアがイーブンな試合開始時点で望んでいたのは恐らく「①-A」と「①-B」。何故なら札幌の、得点が期待できるシチュエーションは、セットプレーを除くと、どちらかというとunstructuredなカウンター。札幌がボールを持っている状況ならカウンターは発動しない。そして三苫や家長を中心に繰り出される川崎のカウンターに対し、札幌が対抗できそうかというと…一般に流動性が高く、unstructuredなチームにはそれは難しい。

  • 鬼木監督のコメントを見ると、札幌は「プレスからカウンター、をしたいので、こちらがボールを捨てればその余地はなくなる」、との思惑が読み取れます。ここで「ボールを捨てろ」というと近年のモウリーニョじゃないですけど、ボールと共にプレーしたいチームの心を掴むことはできない。そのこともあって、「背後を狙おう」「タテへの言意識を強く」といった表現がより有効なのでしょう。
  • 札幌は川崎に警戒されるチームになった、というのも一面その通りなのかもしれません。ただ、それ以上に、札幌というかミシャのやり方は、極端にネガティブトランジションに弱い構造である(しかも、引いた相手を崩せる武器は後半から出てくるジェイしかない)ので、それなら持たせてカウンター狙った方が早いでしょ、というのは誰もが考えるでしょう。札幌をリスぺクトしているというよりは、単に相手を見て最適解を追及しているだけです。

  • このあたりの、お互いがどういった局面、ひいては試合展開を望んでいたか、を頭に入れながら、試合展開を追っていきます。

ミシャと札幌の選手間でのギャップ:

  • 先に結果を欠いておきますと、前半45分間は0-0で折り返します。昨年11月の対戦の感覚だと、川崎は「うまくいってない」と思っていたかもしれませんが、今回のゲームプランだと、お互いにとって悪くない展開だったでしょう。
  • 試合を早々に壊さないために、札幌にとって最も重要だった点は、一部マークの受け渡しを伴いながら、絶対にフリーにしてはならない選手…左ウイングの三苫をスピードに乗った状態でプレーさせないことでした。
  • 川崎は、かつての流動性が高いチームからは卒業していて、基本的なポジショニングが決まっている選手が多い。これは純粋マンマークを採用する札幌には好都合です。
  • 例外はアンカーのジョアン シミッチと右ウイングの家長で、前者は頻繁に最終ラインに落ちてフリーの状態からスタートしようとします。後者はそもそも役割的にはウイングではなくて、古典的な10番や、近年はフィニッシュで力を発揮するセカンドトップ的な働きも活発になっている。
SBやシミッチがボールを持つことは許容するが、そこからの前進は阻害
  • 札幌は、シミッチと家長はそれぞれ、駒井と福森が担当になっていますが、あまりこの2人の移動には付き合わない。
  • この試合、ミシャが最も名前を呼んでいたのは駒井で、それはシミッチが移動してフリーでボールを受けられる場所に頻繁に移動して”浮く”から。一方で札幌の選手は、ミシャほど「川崎の後方のボールホルダー」…シミッチ以外にも、谷口やジェジエウにそこまでセンシティブになっていなくて、シミッチが動いて受けることは許容していました。この時に駒井の名前が呼ばれるのですが、駒井はそれでもシミッチが受けられる状態には手をつけない。
  • また、この駒井-シミッチの関係とは別ですが、川崎のSBに対し、札幌のWBが寄せていく場合も、どうしてもこのポジションは距離があるので、山根も登里もボールを持つことはできていたと思います。
  • 札幌の選手がケアしていたのはその次のボールの動きで、旗手や小塚、トップのダミアンへのグラウンダーのパスは必ず寸断。↑に図示していますが、ボールサイドに人を寄せるというよりは、中央寄りのポジショニングの選手が多くて、受け渡し前提のマンマークのイメージで守っていました。ミシャのイメージだともっと「広く守る」イメージなんでしょうけど、札幌がうまくいっている時は大抵マンマークなんだけど、こうして狭く守っている状態が多いと感じます。
  • 前半は、小塚や旗手があまりフリーになれないこともあって、シミッチからの展開は長いボールが大きくなる。アイソレーション気味の三苫や家長に渡ればビッグチャンス…とはいかず、札幌は担当の選手がスライドして簡単にスピードに乗せない対応がとれていました。
  • ミシャの振る舞いと選手の判断に一定のギャップは感じますが、ミシャはそこまでディティールにこだわる監督でもないと思うので、これはそこまで問題ないというか、選手がピッチ上で巧く対処していたのではないでしょうか。少なくとも前半は。

2.試合展開(前半)

  • 札幌ボールのキックオフで開始します。ファーストプレーはバックパスから前線へのフィード。
  • その後、ゲームが落ち着く5分頃までに一度、右アウトサイドの金子が高い位置でボールを受ける、中盤でスペースを享受した状態で高嶺が前を向く、自陣で福森がフリーキックを蹴る、といった場面がありましたが、いずれもドリブルで仕掛けたり前方にパスをすることはなくバックパスを選択。この振る舞いだけでも、札幌のゲームプランがどのようなものか感じられます。
  • 川崎も開始10分くらいはプレスの開始位置を計っているようで、静かな立ち上がりでスタートします。

「0」の最大の立役者:

  • ↑で、「シミッチから、アイソレーション気味の三苫や家長」と書きましたが、川崎のキープレイヤーである三苫には、前半から何度かボールが入ります。この時、45分間で三苫に決定的な仕事をさせなかった田中駿汰が、前半の最大の立役者と言っていいでしょう。
  • 三苫というか川崎の得意のパターンは、試合前にこっちに書いたのですが(メンバーは予想なので、チャナティップがいたりします)、
  • 三苫、というか川崎に対する守備はハーフスペース周辺の対応がポイントになります。左は三苫の圧倒的な個人突破がある。前節対戦したベガルタ仙台は、SBとSHで縦横を封鎖する守り方をしていましたが、三苫は寧ろ、こうして自分に2人マークがつくタイミングを待っていて、ハーフスペースが空いた瞬間に味方を使う
  • もしくは、このパターンをわかっている守備側がスペース管理を優先するポジションをとると、一気に加速して局面を変えてしまう。
  • ですので、札幌が純粋なマンマークであることも踏まえても、札幌の右DFが三苫を1人で対処できることは勝つための絶対条件だったのですが、田中駿汰は前半一度も突破を許さなかったと思います。一度、22分頃にカウンターから左サイドを突破されましたが、この時は駿汰ではなく宮澤がマークでした。
  • 左サイドに比べて、純粋なウイングがいない川崎の右サイドは2~3人での関係性がより重要になってくる。山根がまず低い位置で相手の守備を広げて、その前方にインサイドハーフ(いつもは田中碧)が飛び出して相手のSBと勝負、山根はSBが空けたスペースに入って速いクロスでフィニッシュ、が定番ですが、山根は菅がワイドに張っていることもあってか、あまり高い位置をとらない、田中碧に代わって右に入った旗手は、シミッチの隣でバランスをとる役割が多く(後述)、前半はこのサイドは静かでした。

普段と違ってシャドーが機能する札幌:

  • 前半は、川崎も思ったほど強烈なプレスを仕掛けてこない。先述の通り、札幌相手にはある程度攻めさせてカウンターを狙った方が刺さるからでしょう。その分、札幌はある程度ボールは持てる状況でしたし、この日は縦に急がず、特にGK菅野へのバックパスを使って、丁寧にボールを運ぶ意識が強かったです。
  • 川崎にそこまでのプレス強度がなく、札幌がボールを持てる展開で、何が起こったかというと、札幌はボール非保持時の2トップ+トップ下の布陣とボール保持時にとりたい1トップ+2シャドーの陣形の切り替えが容易になる。これは川崎の4バック+アンカーのシミッチが、それぞれマークを決めて対処することが容易ではないポジションで、3人のアタッカーがプレーすることを意味します。
  • もし福森や高嶺がいつも通りダイレクトな展開を選択し、金子が状況に関わらずドリブルで突っ込んでクロスでフィニッシュする展開だったら、駒井や小柏がポジションを取り直す時間が十分に確保できず、恐らく2トップ+トップ下のまま攻撃して、シミッチの周囲のスペースを使うことができなかったでしょう。
カウンターを誘う川崎ディフェンスを突破してゆっくりとゾーン2へ侵入
  • 「急がないでプレー」する意識が普段よりも強い札幌は、GK菅野によくボールを戻していました。
  • 川崎は、ダミアンにはやはり、複雑なタスクを与えられない。だいたい中央に立っているのですが、宮澤が中央にいれば役割を与えられるものの、宮澤が列を横に移動するとダミアンの仕事は更に曖昧になり、ときたま菅野にアタックするくらいしかやることがなくなります。
  • 三苫は普段、相手のCB-SBの間に立ってからスタートすることが多い。三苫はこの意味ではいつも通りでしたが、家長はダミアンと並ぶような形でスタートが多く、ダミアン&家長の2トップで深井と宮澤の相手をしようとしているかのような見た目になります。
  • こうなると、川崎も前線は札幌と同じく1on1の性質が強くなる。意識している選手はそれで対応できるとして、ダミアンの背後の高嶺を見るには他の選手を用意しなくてはならないので、小塚は高めのポジションからスタート、中盤にシミッチと、こちらはバランスを意識した旗手が並びます。
  • 川崎は前3人でのカウンターの余力を残しつつ、札幌ボール保持のシチュエーションではあまり無理をしない。札幌が、菅野からサイドに張るDF(駿汰&福森)へのフィードなどで川崎の1列目を外すと、川崎は2列目の3枚ないし、小塚を抜いた2人でスライドして守ってきますが、この枚数で広いエリアを守り切るのは無理があるので、札幌はこれを回避してゾーン2(ピッチ3分割した時の真ん中)に侵入できていました。

  • 札幌がゾーン2に侵入するところ▼では、川崎が前に3人残し気味であるので、高嶺なら前を向けるスペースがある状態が続きます。何度も言いますが、ここで縦に速い展開をするのがいつもの札幌。ただ、川崎の1列目を突破した後も急がずにボールを戻すなどして、全員でゆっくりと前進していきます。
  • これは、川崎は札幌がこの陣形(中央に高嶺1人しかいなくて、カウンターに対する防備が手薄)の状態でボールを奪って、三苫のスピードやダミアンのパワーを活かした速攻を狙っているので、カウンターを避けたい札幌は、簡単に川崎のブロックの中に縦パスを入れない方がいい。時間をかけて、ダミアン、家長、三苫の帰陣を促してからプレーすることで、ここでもリスクを回避します。
中央でゾーン2侵入に成功しても攻め急がずゆっくり前進してコントロール


普段通りのゴール前での課題:
  • ゾーン2周辺で高嶺や深井が前を向けるようになると、札幌の1トップ2シャドーの陣形が意味を成してきます。札幌のシャドーは、シミッチの周囲のスペースを使ってボールを受ける。シミッチが頑張ってスライドして守っていましたが、シミッチ1人(+可能なら旗手のサポート)の対応には限りがある。シャドー経由でワイドの金子や菅への展開から、札幌の遅攻の生命線である横幅を使ったサイドアタックの形を作ります。
  • ただ、サイドからのクロスボールだと、結局最後のところで谷口とジェジエウをなんらか攻略しなくてはならない。この2人をアンデルソンロペス&小さいシャドー2人で崩すのは正攻法では無理なんですが、札幌はどうも正攻法しか知らないようで、最後の局面になると一気に得点の期待値が下がってしまう。これは川崎も計算していた通りでしょう。
  • 実際に札幌の惜しいシュートは、前半の菅とアンデルソンロペス、後半の福森のフリーキックと、全てペナルティエリアの外でのプレーでした。やはりカウンターで、スピードを活かした展開にならないと川崎の守備を攻略できないのは、事前の予想通りでした。

強者の条件:

  • 膠着した試合を左右するのは大抵セットプレーとカウンターです。結果を出すチームは必ずこの2つを整備しています。20分過ぎから、そんなにボールを持っていない、パスも繋いでいないはずの川崎(前半のスタッツは札幌と大差なしでした)が、ペナルティエリア内かそのすぐ外でチャンスを得たのは、ほぼすべてが速攻やセットプレーでした。
  • 22分、三苫がカウンターから宮澤をかわして、中央へのマイナス気味の折り返しから家長がシュート。川崎戦になると、モップ(飼い犬)を人質にとられているかのようなパフォーマンスに変貌することで知られる福森がブロックします。
  • 前後しますが、21分には旗手の左ハーフスペース侵入からダミアンのヘッド。得意のパターンでしたがうまくヒットせず札幌は命拾いします。
  • そして川崎の先制点も、札幌からボールを狩り取ってから10秒程度の速攻から生まれます。

3.試合展開(後半)

注文通りの仕事:

  • 後半開始から、川崎は小塚→田中碧。前回11月の対戦の傾向から、札幌は後半早めにカードを切って勝負をかけてくる(ただし、アンデルソンロペスと小柏をスタートで使っているし、荒野は本調子ではないのでそのカードの性質は違う)と読んで、鬼木監督の早めに動く決断をバックアップしたのではないでしょうか。
  • ほどなく49分に田中碧が絡む形のボール奪取から、家長の右クロスに三苫。動画のちょうど12秒くらいでゴールが決まる鮮やかな速攻でした。
  • 形としては、これは前半も何度かあった、菅野→福森の、中央を迂回した前進を狙うフィードから始まっていて、タッチライン際でコントロールがうまくいかなかったところを、サイドに寄せていた田中碧が回収。そしてダミアンを経由して、前残りの家長と三苫、そして猛然とオーバーラップした旗手が潰れてアシストします。
  • 盤面を俯瞰的に見ると、札幌がボール保持の際にお約束となっている、中央から人がいなくなる、非常にピッチをワイドに使うようなポジショニングでプレーしている。これは先述の通り、川崎からしたらダイレクトにボールを運んでカウンターを狙いたいシチュエーション
  • 最後は、左足を見せながら逆足の右足でゴール前に正確なボールを送った家長の技術が光りますが(結局クロスは、金子拓郎のように自分のタイミングで蹴るんじゃなくて、中のシチュエーションを見て蹴れる選手が一番すごいってわかりますよね)、川崎としては狙い通りだったのではないでしょうか。普段ポジションを固定せずふらふらしている家長の、こうした局面の見極めはやはり天才的だと感じます。

週末の終わり:

  • 札幌は0-1となってから54分に深井→荒野。この交代の意図はちょっと断言できないのですが、選手特性を考えるとペースアップしたかったのでしょう。今日の出来なら、高嶺は残しておきたいので深井と変えた、そんなところでしょうか。
  • ペースアップといっても、札幌はしばらくは前半と同じく、攻め急がない選択をしてゲームをコントロールしていたと思います。
  • ペースを上げる=得点期待値が高まるわけではありません。何らか川崎のディフェンスに混乱を引き起こさないといけない。急ぐだけでは、試合前にさんざん確認した通り、三苫のカウンターで致命傷を負うだけです。なので、ここでの試合運びは私は適切だったと思います。
  • じゃあ荒野で何をペースアップ?というと、感覚的な話でもありますが、縦パスを入れるタイミングないし手数を1つ減らしたような感覚でしょうか。ビルドアップ~敵陣侵入までは現状維持でいいとして、荒野は深井や高嶺よりも、早いタイミングでアンデルソンロペスや小柏への縦パス、そしてその落としを自ら引き受けるような動きでゴール前に出ていきます。それでも、ジェジエウと谷口は、まず縦パスを簡単に収めさせないのでこれはイマイチでした。
  • 川崎は、後半レアンドロダミアンのプレッシングが元気になったような印象で、そうなると前線の圧力は幾分か変わってきます。札幌が自陣ゾーン1でのロストから怪しい場面も何度かありましたが、追加点には至りませんでした。

  • 飲水タイムを挟んで69分に菅→青木、駒井→ジェイ。
  • ミシャの理想は少し違う(ミシャの中では、ジェイもやれば守れると思っているのでしょう)とはいえ、客観的にみてディフェンスとスピードに難のあるジェイの投入は、川崎相手にプレッシングとカウンターからジャイアントキリングを狙う、週末の楽しみの終わりを意味します。コンディションは悪くなかったと思うのですが、どうしてもジェイが入ると彼がトップに張って、それまでの時間、大事に保持して、局面を見極めたうえで縦に送っていたボールを、とにかくジェイがファーストチョイスかのように高いボールを蹴るいつものサッカーに逆戻りします。
  • 以降はそれまでの70分以上のトピックをチャンピオンチームの前で見せることはできなかったので、今回はこのあたりにします。

  • なおATの小林の得点に関しては、札幌のやり方だと本来毎試合このようなシチュエーションが幾度も生じておかしくありません。目立たないのは菅野や、それこそク ソンユンの毎試合の超人的な活躍があったからです。これに文句を言っている人は、ミシャ、ひいては野々村社長が語る「攻撃的なサッカー」を支持するのはやめた方が良いと思います。彼らの言う攻撃的とはこうしたリスクを軽視したものですから。

4.雑感

  • 率直な印象は、何で普段からこれをできない(やらない)んだ、というものです。要因が選手にある(川崎のようなチームが相手じゃないと、注意深くプレーできない)としたら、監督業は本当に大変だなと思いますし、監督にあるとしたら、みんなで野々村社長にメールを送る(僕は私は勝つサッカーが見たいのであって、ボールが無秩序に行き来して最後はジェイに放り込むサッカーが見たいわけではないと)などした方が良いかもしれません。

  • ただ、奮戦していたものの、恐らくミシャのやり方ではこれ以上の守備強度は出せないし、守備に追われる戦い方で、得点の道筋が見えてくる気配もありません。時間があと2~3年あってもそれは同じというか、出し切っているのだと予想します。
  • ミシャは毎試合選手の名前をよく呼びます。それには色々な思惑があって、この試合は恐らく守備強度に関する要求だったと思いますが、ミシャがどれだけ叫んでも、選手の方から強度を下げたやり方にしている(ミシャの要求は突き詰めると机上論になってしまうので選手側でコントロールしている)ように思えます。

2 件のコメント:

  1. いつも拝読しています。
    この試合は良かったですね。ミシャは浦和時代、相手が強いか絶対に落とせないゲームで現実的な戦い方をして、そのことを「仕事」と呼んでいました。
    この試合は「仕事」をしてくれたようです。

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    1. 無敗のチーム相手に大半の時間0-1なので、悪くはなかったですが、半年前と比べると、勝利から遠のいた感はあります。

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