0.スターティングメンバー
スターティングメンバー&試合結果 |
A(アジアン)
- 保坂記者のTwitterで知ったけど、広島では、札幌は未勝利だったんだね。
B(ベコム)
- よわっ。
A
- 川崎でも、鹿島でも勝ったことなかった。そんなレベルなんだよね我々。
B
- すごいですねミシャって。
- さて、スタメンですが、7試合負けなしの広島は、柏が右で起用、ドウグラスヴィエイラがベンチスタート。この2人の序列はちょっと下がっているように見えますね。
A
- 札幌はジェイが直前にコンディションの問題で、ドウグラスオリヴェイラと代わったらしい。荒野の離脱で中盤から前はベストではないけど、広島が1-3-4-2-1とするなら比較的メンバーは組みやすいね。
B
- 1-3-4-2-1同士なら、可変要素というか、ボール保持/非保持でそんなに配置や仕組みが変わらない。FW的な(特定の役割しかできない)、アンポリバレンスな選手でも組み入れやすいとは言えますね。MFの選手をトップで起用する必然性は薄れるというか。
1.ゲームプランの推察
A
- ネタバレだけど、後半にスコアが動いたのは、お互いそういうプランだったから?
B
- どうでしょう。お互いに先手を取らないとダメとかそういう感じでもなかったのはあるかもしれません。広島は前にも書きましたけど、リアクションと言うか待ちのチームですよね。相手のミスを待っている。
A
- 札幌は荒野がいないのと、相手が3バックなのはいつもとの相違点。
B
- 広島相手なんでそんなに速攻のチャンスはない。荒野がいないと尚更、というのは言えると思います。
- 後は、完全ミラー布陣だと、選手の組み合わせで補うというよりも、個人個人で対面の選手にどう戦っていくかというのはいつも以上に重要と言えるかもしれません。相手の布陣を考えた上で、絶対に負けるミスマッチは作りづらい。
A
- 福森vs浅野?
B
- 本来そういうマッチアップは避けるものというか、チームの設計上アンマッチです。ただ、それでも起用されるのが福森であるし、ミシャであるって感じでしょうか。実際2点とも福森の左足からですからね。
2.試合開始時点の構造
2.1 広島のサイドアタック
A
- お互いの設計で特徴的な点は?
B
- 広島は、前回対戦からウイングバックのキャストが変わってますが、その役割はそこまで変わってない印象です。両サイドともアイソレーションから、サイドチェンジを待って攻撃、でしょうか。
- どちらかというと、シャドーがドウグラスヴィエイラ→浅野。この変更の方が大きいのではないでしょうか。柏をシフトさせたことと併せて、左クロスをファーで仕留めるパターンが解体されることになりますし、普通にセカンドトップとして効いていた印象があります。それを捨ててでも浅野を起用する理由がある。
- 考えうるのは、裏に抜ける働きを何らか採り入れたいのと、トランジションが多くなる展開とかだと、日本人選手をこういうポジションに起用した方がバランスはとれると思います。
A
- 札幌は川崎戦から順足→逆足ウイング。広島は逆に、柏が逆足配置だったけど順足配置に戻っている。それだけで何かを論じるものでもないかもしれないけど。
B
- ただ、柏が絶対的な崩しの中心という印象でしたが、右サイドは彼が単独で突っ込むというより、シャドーの浅野のポジショニングを待って、浅野の裏抜けがまずスイッチになっていたように思えます。あんまり簡単に放り込まないというか、外→外でセーフティなボールの運び方を考えていたのかもしれません。そっから最後どうやってシュートに結びつけるの?というと、このスタメンからはあまり見出せませんでしたが。
浅野の裏への飛び出し |
2.2 時間を作るところから
A
- 広島もマンマークだったね。
B
- はい。明確に「対面の選手」を基準にして、捕まえるのも早めだったと思います。札幌ボールになった時に、札幌はサイドのDFにまずボールを預けて「可変」しようとしましたが、福森に浅野、田中に森島が早めに出てくる。
- 浅野は福森の左足を切る感じでした。福森は中央にも出せるんですけど、そうすると中盤2人で前を向かせない。サイドで外外で運ばれる方が嫌そうな感じでしたね。
札幌の可変時間を奪う広島 |
A
- 札幌はウイングバックがなかなか高い位置を取れなかった。サイドのDFが結局ボールを逃がすために低い位置のWBを使うんだけど、彼らは本来高い位置にいないといけない。
ウイングバックが一時避難先になり高い位置を取れない |
B
- WBが対面の選手の圧力を嫌って、ボールを手放してトランジション、は多かったですね。
3.ダイレクトな攻防の応酬
3.1 駒井の移動
A
- そこで、序盤の試合展開だけど、駒井が降りてくる。10分過ぎころから。
B
- 駒井は今日だけでなくよく降りてきますが、上記の「2.2」のシチュエーションを考えると、この日の移動は合理性がありました。少なくとも、札幌がボールを持ちたい、そしてウイングバックを押し上げたいと考えているなら。
下がって受ける駒井が浮き、ボールを落ち着かせる |
A
- 広島は常識的な対応というか、CBはどこまでもついてこなかったね。
B
- 野崎の髪型だけ非常識でしたね。偽ミキッチ。
A
- ただこれも「ゴールから遠ざかってボールに触る」とも言える。
B
- Exactly.20分頃に、アンデルソンロペスが福森の斜めのパスで抜け出してミドルシュート、ってのがありましたが、まさに本来シャドーってああいう位置…DFとMFの間で受けて前を向くことでチャンスクリエイトして欲しい。駒井はちょっと低すぎるし、本人が何かを起こすという意味合いでは、下がって受ける、は本来効果的ではないんですよね。
3.2 ダイレクトな攻防の応酬
A
- 駒井みたいな移動が増えると、単純なマンマークだけだとうまくいかなくなる。広島は。ただ、駒井がずっと降りていたかと言うとそうではないね。
B
- この試合、前半はお互いにダイレクトな展開が多すぎて、ポジションチェンジする時間がないままプレーしている場合が多いですね。
- 札幌は菅野を使ったやり直しがほとんどできないし、広島は最初からやり直しする気がないみたいで。
A
- 広島は、レアンドロペレイラにシンプルに当てる展開も多め。
B
- 彼が前線の唯一のターゲットですね。最前線に張るんじゃなくて、下がって競ったり、サイドに流れたりして、ゴールから遠ざかるのを許容されつつボールに寄ってくる印象があります。
- そうすると、キムミンテを動かしてスペースを作ることにもなるんですけど、それを意識していたかは微妙なところですね。ミンテが動いたスペースに浅野が抜けてくるとかは、そこまで多くなかったように思えます。
A
- 広島の得点パターン、能動的なものはあまりわからなかったね。リアクション的な部分では非常によくわかったけど。
B
- そんなこんなで、40分頃に高嶺がファウルを受けて、いい乳…位置で福森が決めて先制、という流れでした。まぁ、そんなボカスカ点が入る展開ではなかったですね。前半は。
A
- 両チームとも攻守の切り替わりが激しくて、あんまりウイングバックが高い位置を取れない。そうなると、逆足の選手を置いている札幌の方が仕掛けやすいシチュエーションではあったかも。
4.風向きが変わった理由
A
- 後半の最初の10分でシュートチャンスがお互いにあったね。
B
- 札幌の追加点は、トランジションから、セットした守備を崩したものではなく、右に流れていた森島を福森が潰したところからの攻撃で、CKを獲得するところから。
- ただ、それ以外だと、広島は開始数分は前半よりは強く当たってなかったと思います。だからマンマークがそんなにきつくなくて、札幌はボールを持てた。
A
- で、その得点直後に、広島がレアンドロペレイラが決めて1-2。このゴールは、さっき書いていた「ミンテを動かしたスペースを使う」っぽくない?
B
- たしかに。これをキックオフ直後にやられると、なんだ狙ってたのか?ってなりますね。
【明治安田J1第30節🆚札幌】
— サンフレッチェ広島 公式 (@sanfrecce_SFC) November 28, 2020
後半9分、レアンドロ・ペレイラ選手の得点シーン🎥
試合を振り返るなら #DAZN 📺
⏩https://t.co/yBgveR3Kvh#sanfrecce pic.twitter.com/5YtLHniGcS
A
- 直後の広島はドウグラスヴィエイラが入る。で、58分に駒井が奪われて、そのままファストブレイクでドウグラスヴィエイラが得点して2-2。
B
- まぁ、単純に駒井がちょっとらしくなかったってのはありますね。野上があそこまではついてこないと思ったのかもしれませんが、この時はついてきて潰されてしまった。
- 福森が、駒井に預けたら安心して前に上がっていったんですよ。ぶっちゃけ駒井が背中向けてるのでサポートになってないんですけど。その辺も含めて、確かにこれは緩かったって言えるかもしれないですね。ともかくこのフェーズで失うと、戦い方の根底が問われる。
【明治安田J1第30節🆚札幌】
— サンフレッチェ広島 公式 (@sanfrecce_SFC) November 28, 2020
後半13分、ドウグラス・ヴィエイラ選手の得点シーン🎥
試合を振り返るなら #DAZN 📺
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A
- 広島はやっぱりドウグラスヴィエイラが入ると全然変わるね。オフェンス面だと彼をベンチに置いておく理由はなさそうに見える。
B
- ゴールに向かってプレーする選手が2人は欲しいので、レアンドロペレイラが動いても彼が中央で勝負しているのは怖いし、ミンテが動いた裏を使われる危険性も増大しますからね。ただ、札幌も彼が出てくるのもわかっていてほしかったですが。
A
- 直後、59分の佐々木のシュートも、レアンドロペレイラがフリックでミンテを外したところから。
B
- 60分くらいにはこんなの▼がありました。田中を釣ったスペースに青山の飛び出し。広島はHT明けにかなり狙いが整理されてきていますよね。
(60分)DF1人を動かした背後への飛び出し |
A
- 札幌はどうすべきだっただろうか。
B
- ちょっとルーズですよね。まず1列目から守備が始まるんですけど、結果的には彼らが広島のDFにボールを持たせているのはある。▲の青山みたいに、中盤の選手はリスクを冒して飛び出したりできますが、DFは基本的にボールを持っている際にリスクを冒せないので、しっかりプレッシャーをかけて限定ってできるはずなんですよ。
- その意味では、1列目のテコ入れはしても良かったと思います。まぁ、ウーゴしかいないんですけど。あと、アンロペもドドも、ボールを持った時は対面のDFに勝てる要素を何らか持ってるので、スパッと変えるのは難しいというか。
A
- 広島はこのメンバーになると左偏重の組み立てになる。シャドーの森島が下がってきて。これが、札幌のアンロペとか高嶺が守っているエリアに刺さってるね。
B
- 佐々木とか森島が簡単にボールを持てていました。
A
- ミシャの選択は66分に深井と菅。
B
- 当たり負けしない2人ですね。マンマークでガチガチのマッチアップに常になるので、その意味では理にかなっている。やっぱり深井は対人に強いな~という印象でした。
- あと、誰がボールを運ぶのか?という部分も深井を解決策にしたかったと思うんですよ。元々その役割を担っていた選手なので。その辺整理されないと、駒井みたいに下がってくることになる。前の選手が。
66分~ |
A
- 時間経過と共に、札幌の場合オープンになりがちだけど、本来は運動量が落ちてゲームのペースも落ちる(落とせる)。
B
- その時に深井がいると展開を落ち着かせられます。ただ、膝が悪いのもあって、あんまりアップテンポな展開だときついのかもしれません。その意味ではこの交代は理にかなってますね。ほんで、75分くらいに簡単にボールをリリースしたミンテが、またミシャに怒られるんですけど。その辺のゲームの流れを読めてない、敵な感じで。
A
- そうしてゲームを整えてから、75分にウーゴヴィエイラ。
B
- 走って蹴る展開が45~60分くらい続いて、ようやくラスト15分で、盤面で勝負できるようになる。トータルで上回ればいいので、勝負どころでカードを切れるのは大きいですね。
A
- 広島は飲水タイム後に森島が右、ドウグラスヴィエイラが左に入れ替わってるっぽいね。
B
- 福森を森島で動かすのは容易なので、そうすると浅野が抜け出してクロス。この形も2,3回ありました。そうなると、菅を入れているのが効いてくる。これを考えていたら流石ですね。
A
- ラスト10分では、85分に浅野が抜け出して決定機も菅野がセーブ。
B
- 菅が浅野の動きに気付くのが遅れたというか、試合勘がまだ微妙なのかもしれませんが、それが原因だったと思います。
雑感
A
- まとめ。
B
- 広島の印象はそんなに変わらず、クリエイティビティよりもミスを誘うチームって感じでした。札幌は失点が安い、に尽きますが、戦略論的にはまぁまぁ面白かったというか、前半からハイテンポでプレスしなくても、後半にウーゴとか深井がいれば、別な形で勝負できるんだな、という意味では面白い試合だったと思います。
A
- はい。それでは皆さん、また会う日までごきげんよう!
いつも拝読しています。
返信削除広島は攻撃時3-5-2になると札幌のマンツーがはまらなくなるのを狙ってドウグラスオリヴェイラ投入したかのなと思いました。
ウーゴについての印象も聞いてみたいです。
見ていただいてありがとうございます。
削除確かに2トップとも解釈できますね。いずれにせよ狙いは、最終的にはミンテを外したいのだけども、中央のFWが引くだけだとミンテが中盤の選手に受け渡して終わり、になりがちなので、まずミンテの脇を守るDF2人を何らか動かしてから、そこにミンテをカバーさせるみたいな形だったかもしれません。
ウーゴ個人は期待できそうというか、相手の逆をとるアクションが巧い選手だとの印象でした。ただ相手の枚数が揃っている時に、大外から放り込むだけだと、なんぼシュートが巧い選手でも難しいので、ウーゴに渡す前にどこまでおぜん立てするか、誰がその役割を担うか、の部分が今後の課題かと思いました。