0.プレビュー
スターティングメンバー |
北海道コンサドーレ札幌のスターティングメンバーは3-4-2-1、GKク ソンユン、DF菊地直哉、横山知伸、福森晃斗、MF早坂良太、宮澤裕樹、荒野拓馬、石川直樹、FW都倉賢、チャナティップ、ジェイ。サブメンバーはGK金山隼樹、DF河合竜二、MF稲本潤一、マセード、小野伸二、FW金園英学、菅大輝。兵藤は左太もも裏を痛め帯同せず。
FC東京のスターティングメンバーは3-4-2-1、GK大久保択生、DF徳永悠平、チャン ヒョンス、丸山祐市、MF室屋成、髙萩洋次郎、東慶悟、太田宏介、FWユ インス、大久保嘉人、永井謙佑。サブメンバーはGK林彰洋、DF吉本一謙、山田将之、MF米本拓司、梶山陽平、橋本拳人、FW前田遼一。リッピ ヴェローゾ。森重は左腓骨筋腱脱臼、田邉は左肩関節脱臼観血的整復術で7月より長期離脱中。橋本拳人はスタジアムの募金コーナーにいたので故障だったのかもしれない。ピーター ウタカは前節の退場処分により出場停止。第19節から3バックの3-1-4-2を採用しており、篠田善之監督が辞任、安間貴義コーチが暫定監督として指揮を執る第26節以降は氏の好む3トップ気味の布陣で戦う。チャン ヒョンスが復帰した最終ラインはともかく、中島翔哉、阿部拓馬、河野広貴がいずれも夏のマーケットで退団し人員整理が行われた前線は、3-4-2-1を採用するにはややダイエットしすぎた印象もあるが。
1.前半
1.1 持ち駒を使わない東京
公式戦での両チームの対戦は今シーズン3回目。1回目は4/ 8、リーグ戦第6節に札幌ドームでの対戦、攻守ともに纏まりのない東京を札幌がアンカー宮澤を中心とする攻撃で圧倒し2-1で勝利。2回目は両チームとも控え中心だった5月のルヴァンカップ。控えでもそこそこのメンバー+久保建英がデビューした東京に対し、福森も都倉も宮澤も兵藤もいない札幌は90分間シュートを撃てずに終わった。
迎えた3試合目、札幌は夏のマーケットでチャナティップが加入して以降、東京は安間暫定監督が誕生して以降、継続採用されている3-4-2-1。戦術的、グループとしての意図ももちろん重要だが、所謂ミラーマッチで1on1の関係が成立しやすいこともあり、両チームがどのような選手の駒を優位しているかによって、この試合の基本的な戦い方が既定されている部分もあった。
1)東京の圧力(速さの質的優位)
具体的には、札幌がまず警戒しなくてはならないのが永井。今シーズンここまで1得点にもかかわらず永井がトップで起用されているのは、やはりその圧倒的なスプリント能力がハマれば何もないところから裏抜け1発でゴールに迫れるため。永井がピッチに立っているだけで、札幌は永井への縦ポン対策として、①ボールの出所を封じる、または②裏抜けする永井へのカバーリング体制を整備する(もしくは①②の両方)、といった対策を講じる必要を余儀なくされる。
永井の裏抜け |
2)武器を活かそうとしない東京
上記①について。東京の縦パスに対する札幌の守備は、東京がどこから裏抜けに直結するパスを出せるかも考慮する必要がある。ミラーマッチなので、札幌は東京の3バックに対し3トップ、またボランチ2枚にこちらも同数のボランチを当てることは可能で、序盤はやはりこうしたかみ合わせを意識した対応が考えられていた。
具体的には、東京が3バックの中間に髙萩や東が落ちて4枚になると、対面の宮澤や荒野が落ちた選手を捕まえにいく。残った選手は中盤を1人で見ることになるが、東京も中盤には1枚、場合によっては両方とも落ちて中盤に誰もいない形になっていることも多かったため、札幌としても中盤を放棄してもそう問題はない。とにかく出所を抑えることを優先する。
もう一つは、前半10分ほど様子を見ていると、東京は最終ラインから1発で縦に放り込むということをあまりやってこないことが札幌としては徐々にわかってくる。これは徳永やチャン ヒョンスのフィード能力によるところもあると思う(丸山は蹴ろうと思えば蹴れるはず)が、それ以上にシーズン途中交代した監督や、選手がどのようなスタイルを志向しているかという部分に依るところが大きいと思う。ともかく、札幌としては東京が思ったほど永井vs横山の「速さの質的優位性」を突いてこないので、助かる展開ではあった。
数的同数でとりあえず対抗 |
1.2 使わない理由はない
1)札幌の圧力(高さの質的優位)
対する札幌が活かしたい、東京に対する質的優位性が確保できる武器は、前線の都倉とジェイの高さ。
ここで、前節柏戦は、ゴール前でジェイの高さが柏のDF陣を圧倒し、3得点全てが空中戦から生まれたが、柏戦のように札幌がゴール前でジェイの高さを活かすには、まず敵陣に侵入して、ジェイをゴール前に配した状態でボールを供給していく必要がある。要するに4トップ気味の前がかり布陣で、被カウンター時の守備に課題があり前後分断しやすい柏のような相手ならば耐えてカウンター、で攻撃機会を確保できるが、東京は柏ほど前に出てこないので、札幌はニュートラルな状態から何らかの手段でボールを前進させることが求められる。
札幌はこの、ボールの前進においてもジェイと都倉の高さを使うことがファーストチョイスだった。札幌がボールを保持すると、3バックでキープして陣形を整えたうえで、まず都倉がタッチライン際に走り、丸山を動かす。ここが札幌の1つ目のパターンで、サイドに走る都倉が強さを活かして丸山と競り合いキープし、東京の最終ラインを押し下げる。都倉は4月の対戦で、森重に対して強さを発揮していたが、丸山も同様で、開始早々に右から切れ込んだ都倉のシュートがポストを叩いた局面があったが、都倉にせよジェイにせよ丸山だと厳しいなと感じるところはあった。
2)ジェイvsチャン ヒョンス
そして都倉が丸山を引き連れて走ると、ちょうど「丸山の前方、東の脇」といったスペースにジェイが移動する。ここで、ジェイが動き出し、チャン ヒョンスをブロックしながら後方から出てくる受ける、もしくは頭で競るプレーの勝率が非常に高かった。
これは試合を追うごとにチームにフィットし、本領発揮しつつあるジェイとチャン ヒョンスの純粋なクオリティの差もあるのだが、東京はこの一連の展開において、ボールの出所もあまり限定してこないし、ジェイとチャン ヒョンスの競り合いもほとんどチャン1人に任せていて、セカンドボールを狙うような位置取りもされていないこと…要するに、どこでボールにアタックするのかが整理されていない印象もあった。ベンチには、吉本、山田と長身のDFが2人控えていたが、逆に言えば人を入れること、個と個の戦い以外に対策を用意できていなかった。
チャンは開始早々、ジェイに後ろから激しく当たりに行くなど当然警戒は強く、また個人的にも5年前の対戦でCKから打点の高いヘッドで得点を奪った印象が強く残っているのだが、ジェイvsチャン ヒョンスのマッチアップは、空中戦もそうだがそれ以上にスタンディングの状態での競り合いにおいて、身体の分厚さの分なのか、ジェイに分があった。よってジェイが先に動き出した状態で、チャンをブロックして楔のパス受けるようなプレーではチャンは厳しく、更に言うならば東京はそうしたボールを出させる前に、前線でもう少し限定させる必要があった。
都倉とジェイの動きと放り込みによる前進の仕方 |
なお札幌が最終ラインでキープしている時、序盤の東京は前3枚でチェイスに来るが、この追い込みが札幌が困るようなやり方になっていないのは相変わらず。また3トップvs3バックで3on3だが、東京が髙萩を落としたように札幌も荒野を落とせば4on3。落ちる荒野を東はそこまで追わないので、札幌は後方でのボールキープに殆ど問題を抱えることがなかった(この辺の構図は、東京も札幌も非常に似ていた)。
3)左も同じ構図(先にCBを動かす)
左サイドには都倉やジェイが登場することが少ないが、札幌はとにかく、ここでも東京のDFを早めに動かすことを徹底する。左サイドで石川に渡ると、チャナティップは室屋の背後のスペースに走る。この動きで徳永を動かすと、中央のジェイ周辺の密度が薄くなる。東京はここでジェイに入れられるのを警戒して髙萩やチャンヒョンスが中央を閉めるが、7枚ブロックなのでボールサイドをケアすると逆サイドは手薄になる。
ここで札幌は無理に左から仕掛けずサイドチェンジ。これを、なるべく早いタイミングで行う。時間をかけると東京の前線の選手の帰陣が間に合い、ブロックの枚数が揃ってしまう(もっとも、時間をかけたとしても東京のFWのプレスバックが遅い部分もあった。この試合に限って言うと、永井よりもジェイのほうがプレスバックに熱心だった)。枚数が少なく、カバーできるエリアが限定的なうちにボールを動かすことでDFを動かすことに成功する。
前半の石川は、とにかく室屋を追い越さない。安易にクロスを入れて跳ね返されたり、オーバーラップしたところでロストがあると被カウンターとなってしまうため。サイドから仕掛けるとしたら、主に早坂の役割と整理していた。
東京のDFを動かす |
チャナティップに関してもう一つ言及すると、この試合はいつも以上に、自陣で奪った後の前線への運び役として振る舞うことが多く、これがロングボール以外でも敵陣侵入機会を作ることに大きく貢献していた。なかなか1on1で仕掛けない、”メッシというよりイスコ”(四方田監督談)なチャナティップだが、裏を返せばチャナティップが持っている時は殆どボールを失わない。この間に札幌は陣形を押し上げ、陣地回復ができるので、ロングボールの成功率の高さと共にチャナティップの運ぶ能力も優勢に試合を進められたポイントの一つだった。
1.3 危険を感じない前半
1)外か裏だけ
悪天候の影響もあったと思うが、25分頃から札幌、東京共にリトリートの傾向がより強まっていった。ただ東京が下がると、札幌は先述のようにロングボールとチャナティップという、ボールを運ぶ手段を2種類持っているので、東京としてはどちらかというと下がるよりも、ここを何とかして抑えるべきだった。
一方で東京がボールを保持している時に、札幌がリトリートした時の構図は、札幌はジェイ1人を最前線に残した5-4ブロックを組む。東京は3バックに加え、大半の局面で東か髙萩の片方、場合によっては両方が最終ラインに落ちているが、この形になると中盤から選手がいなくなる。
よって必然と東京のボールの前進は、サイドから室屋が突撃するか、札幌のブロックを飛び越えるような長いボールを蹴って永井を走らすしかない。永井であっても、そう簡単には裏を取れないとなると、室屋にかかる期待と負担は大きくなる。この位置に、札幌は加入以降左サイドにそれまでとは見違えるレベルの安定をもたらしている石川を配して監視しているので、室屋の頑張りも実ることはなかった。
赤いエリアで東京は持てるが、中央は札幌が固めている 室屋の突撃は石川が監視 |
2)大久保の憂鬱
大久保はこの試合、多くの時間帯で中盤に顔を出していた。言い換えれば、ゴール前に殆どいなかった。序盤、東京のボランチの落ちる動きに荒野や宮澤が様子を見ながらついていく時間帯があった。この頃から大久保がボールを欲しそうに中盤に頻繁に下がるので、中盤センターに荒野と大久保しか両チームの選手がいない局面もあった。それでも東京は、やはり髙萩と東が頻繁に下がって、前線と距離の空いた状態でプレーするので、中盤に下がってくる大久保が思い描くような形でボールに触ることは少なかった。
札幌の視点では、リトリートしているのでボールにプレッシャーはほとんどかかっていない。が、東京は最終ラインを放置しても問題ないクオリティのため後方を固めることに集中することができた。
24分の髙萩の裏へのパスから永井が抜け出した(判定はオフサイド)のように、ボールにプレッシャーをかけるべき状況で圧力がなく、難を逃れたものの危ない局面もあった。それでも、全体としては東京に何かが起きそうな局面はわずかで、髙萩がリスクを負ってポジションを上げた時に何らかのアイディアが見える程度であった。
中盤レスな状態なので縦1本かサイド突破しかない |
3)中の人が入れ替わった
東京の出来の問題もあるが、札幌の試合運びの安定に寄与したもう一つポジティブな要素として、ジェイのコンディション向上による守備貢献も挙げられる。これまでの試合では、FWとして守備をすべき局面でも、ピッチ上で散歩どころか殆ど動かず、傍観者状態で役割を果たしていないことも多かったが、下の写真のようにまず守るべきポジションを取り、対面の選手を意識する、また味方がアタックすれば、連動してチャレンジorカバーのアクションを取る…という具合に、1人の守備者としての役割を遂行できていた。
チャナティップが当たると、連動してボールの出先を捕まえる |
ジェイが"普通に"働いてくれることで、都倉やチャナティップは二度追いをする(1人で2人を見る)機会は激減し、また数的同数の守備を前提としたときに、東京にオープンな選手を作らせなかったことで簡単にボールを運ばせなかった。
都倉がジェイに連動する(数的同数で対応)と東京はバックパスで回避するのみ この後バックパスに反応して再びDFを追う(セカンドアクション) |
一度札幌が陣形を下げられた後 押し下げられた中盤を使おうとする東京 |
ジェイのプレスバックでスペースを消し、ボールホルダーに圧力を与えて蹴らせない |
2.後半
2.1 わかっていなかった上での強さ
前半から何度かあった札幌のセットプレーのうち、CKはパターンが殆ど一緒で、それはファーサイドにジェイを配し、ジェイに近いやや中央寄りのポジションに都倉。福森のキックに合わせ、横山や宮澤といったほかのターゲットがニアに走り、大外のジェイに当てるか都倉が中央で合わせるか、というものだった。前半7分、右サイドからの福森のFKを都倉がファーで合わせた時は、都倉が大外、ジェイが中央という配置だった。共通して言えるのは、東京としては都倉とジェイが比較的近いポジションを取っていたため、そこに放り込んでくること自体はわかっていた。
一方で後半開始早々、札幌が先制点を奪った47分のFKは、センターサークル付近のほぼ中央でセットされた状態から。この時、都倉が右サイド、ジェイが左サイドで、中央には宮澤。
東京からすると、福森の短いキックでのリスタートも考えられるし、放り込むとしても都倉かジェイか、はたまた宮澤か、ターゲットが分散しており、それぞれマーカーは付いているが、都倉とジェイに勝つのは難しい状態。エルゴラッソの記事では「わかっていても止められない」とされていたが、どちらかというと初めて見るシチュエーションで、予測が難しかったと思われる。東京はあらゆる展開に備えて選手を分散させていた分、最終的にボールへのアタックが甘くなってしまったが、福森のキックと見逃さないジェイのシュート技術が明暗を分けた。
2.2 東京の変化
1)東京の反撃
スコアが早々に動いたことで散発的に東京が少しずつ前に出てくる。後半の東京は、髙萩を中盤より前、東を3バックのサポートと役割分担したようで、中盤から髙萩が動かないことでそれまで外とロングボールに偏っていた攻撃に、もう一つのオプションとして中央のルートでの前進も図られることになる。併せて、ユ インスと大久保の担う役割も、裏抜けやサイドに流れることではなく、中央で受けることにプライオリティが置かれていたと思う。
こうして東京の役割と狙いが整理されてくると、札幌はボールを回収した後の都倉やジェイへのロングボールは依然として有効だったが、守備はリトリートだけでは厳しくなる。悪天候に加え体力の低下もあり、前でボールを奪えなくなり、タックルラインが下がっていく。
中央からの前進を図る東京 |
2)ツインタワーの相性
しかしながら、東京がやや前がかりになったところから札幌の2点目は生まれた。先述のように中央突破で前進を図った東京の攻撃を札幌がストップすると、素早く前線に展開する。左サイドで石川がボールを戻すと、都倉が浅い位置で受ける。ここは東京はユ インスが担当するエリアだが、直前の攻撃でポジションを上げた状態から戻り切れなかった。フリーの状態で都倉が上げたクロスに、ジェイが頭で叩きつけるお手本のようなシュートで追加点。ボールの制度自体も良かったが、都倉が「日本人よりも合っている」と語っているように、ボールの質とタイミングが完璧で、相性の良さを感じさせるものだった。
3)初めての脅威
63分、東京はユ インスに変えて前田。永井がシャドーに回る。前田の投入の際、安間監督が髙萩に指示を送っていて、この具体の指示は何だったのかわからないが、この後、梶山の投入に際し安間監督は、「高さで勝負しても札幌には通じないと感じていたので、潜り込んで人をズラしながら崩していくことを狙った」とコメントしている。後半の入り方を見ると、その前の時間帯、この時の前田投入時も同じような認識だったのではないか。
前田投入直後のファーストプレー。東京は3枚で組み立てることで、髙萩と東が中盤から下がらない。また大久保が間で受ける動きをするので、札幌の中盤はそちらにも気を使う必要が生じる。前半に比べると緩くなった札幌の前線守備の隙を見て、髙萩が低い位置で受けると左の太田にサイドチェンジ。このサイドチェンジからスピードを落とさない攻めが、前半の東京にはなかった要素で、この時は太田が縦に運んで永井⇒前田のポストプレーと繋ぎ、最後は札幌のブロックをスライドさせて大久保のシュートまで持ち込んだ。
ブロックを寄せてサイドチェンジ |
この大久保のシュートで得たCK、ファーに走りこんだチャン ヒョンスのマークを都倉が外し、頭で合わせられてスコアは2-1。
2.3 撤退開始
1)稲本の大仕事
リードして70分過ぎ。今シーズンの札幌においては、これ以上色気は出さず、逃げ切りにシフトするシチュエーション。69分頃、半端なラインの高さを縦パス1本で突かれる局面もあったが、その後は最終ラインをペナルティエリア付近にまで下げて撤退する。こうなると、東京は最終ライン3枚で問題なくボールを運べるので、ワイドは両WBが高い位置に張り出す。前田の投入は、裏にスペースがなくなることを見越してポストプレーができる選手が必要になってくるタイミングでもあった。
75分、札幌はチャナティップ⇒稲本に交代。直前にも押し込まれていた局面からロングドリブルで陣地回復の時間を作ったチャナティップ。ジェイを残してチャナティップを変えるのは微妙に思えたが、稲本は投入直後、永井のカウンターからの決定機を食い止める大仕事を果たした。
77分、東京は徳永⇒梶山に交代。4バックで大久保と梶山が2列目のように見える陣形に。
77分~ |
2)終盤の展開
80分頃、四方田監督がピッチサイドで「4バックになってるぞ!」というような声を張り上げているのが中継で拾われた。ここだけを拾ってもわからないが、筆者の予想は、「4バックになったのでマッチアップが噛み合わない(から、3バックを相手にしている時のように当たりに行くな)」という指示だったのではないか。
一方で、同じ時間帯に荒野が稲本に確認していたのは、荒野が担当する左サイドの守り方だったか。札幌も前線2枚の3-1-4-2(守備時5-3-2)となったので、2トップ脇を守るために荒野は前に出ていいのか、後方のスペースを埋めることを優先すべきか、確認していたのだと思う。
86分、限界のジェイに代わってトップに金園が入ったことで、荒野は中央を守ることに専念する。ジェイとチャナティップがいないと、陣地回復が難しくなる札幌。東京は永井⇒リッピ ヴェローゾのカードを切って札幌の籠城を崩そうとするが、守り切った札幌が勝利。
3.雑感
「ミラーゲームで対面の選手に勝つシリーズ・(仙台戦、磐田戦に次ぐ)第3弾」というところで、このやり方への慣れや準備が両チームの差になったという印象である。とはいえ、札幌はボールを持った時に最初に打つ手は徹底していた。その最初の一手においてキーとなるのはジェイと都倉だが、前節以上にジェイ自身が出色の出来で、得点以外の局面においてもマッチアップする相手に対し作り出す質的優位性が傑出していた。
目標のない、いわゆる宙ぶらりんのチームは脆いというのがここまで如実に出てしまうとは…という試合でしょうか。コンサは高さでアタック、戦術ジェイというのがクリアにわかっていたはずなのに、柏戦をチェックしていなかったのか?というほどにジェイへの対処がおざなりだった印象は否めません。コンアシを観る限りではエアバトルだけでなくポストプレーも上手くやれていたジェイの出来の良さもあったことも確かですが…。
返信削除コンサが高さならFC東京は(主に永井の)速さで対抗という図式は当然考えられたわけですが、そうするための準備ができていたかというと疑問です。ポゼッションにこだわるあまりにポゼッション自体が目的になってしまって永井の速さを活かすのが単発になりコンサも高萩をケアしていれば…と読みやすくなっていた。永井はトップの位置でも一気にトップギアに乗せられるので脅威ではあったんですが前田1トップ永井シャドーの形で始めていたらぶっちぎるのも容易だったでしょうしまた違った結果になったかも知れません。
コンアシでビックリしたのは稲本のカバーリング。既に記事にされていましたが映像で改めて観るとその読みの的確さとバックパスまでする余裕っぷりには脱帽でしたね。荒野もだんだん良くなっていますが稲本のあの経験値の高さは流石としか言いようがありません。コンディションを考慮してなのでしょうが、クロージング要員にしておくにはもったいないです。
>フラッ太さん
削除本当にホーム、アウェイとも東京の緩さは信じられないというか、これで札幌が残留出来たらFC東京は今シーズンの最大の功労賞ですね。
稲本の投入は、後半マンマークサッカーが通用しなくなってきたタイミングだったので、慎重派で交代が遅めという印象がある四方田監督にしては早めに動いたのが吉だった印象です。