2026年4月6日月曜日

2026年4月4日(土) 明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド 第9節 北海道コンサドーレ札幌vs福島ユナイテッドFC 〜カテゴリではなく中身を見よう〜

1.スターティングメンバー



  • 昨年のカップ戦では、川崎スタイル、というか往年の風間監督スタイル(前線の選手が密集して縦パスを入れていく)を披露した寺田監督の福島がコンサから5点を奪って延長戦の末に勝ち抜け。コンサは木戸、西野という今のチームの核と、GK菅野のような実績のある選手も出ていました。
  • 相変わらず川崎との関係は深いようで、このオフの動きでは永長、土屋を期限付き移籍で獲得、チョンソンリョンを完全移籍で獲得、日大から新加入でこの試合初スタメンの田中慶汰も川崎U18出身。ただ大卒の選手に関しては幅広く積極的にリクルートしているようです。一応、新加入のFW岡田も川崎U18ですがすっかりジャーニーマンのイメージですね。右サイドで出場する清水が4試合連続の5ゴールとホットな存在のようです。
  • チームとしてはここまでは8試合で1勝7敗、しかも最下位で早々に監督交代した長野にPKで勝ったのみという厳しい戦いが続いています。

  • コンサは前節から荒野・川原→堀米勇輝・田中克幸と2人変更。また家泉と西野の位置は元の配置に戻してきました。代表活動から帰ってきたバカヨコがベンチスタート。

2.試合展開

独特なハイブリッド構造もコピー:

  • 福島は風間監督の川崎のイメージでいきたいなら、バックパス処理があまり上手くないGKチョンソンリョンまでトレースするのはどうか?という気がするのですが、ともかく福島は本当に風間監督の川崎によく似ています。
  • 考え方としては、足元でのボールの扱い(狭いスペースでのコントロールとそこへの縦パス)に相手よりも圧倒的に長けていれば、相手ゴール前で本来難易度が高くなる狭いスペースでのプレー状況を作り出すことでアドバンテージになるという考え方。前線の3トップを密集させて3人とも縦パスの受け手として運用し、とにかく縦パスを狙ってきます。

  • そして自陣からのbuild-upはロングフィードを許容していたり、ボール非保持の際はマンツーマンベースというか「とりあえず捕まえる」という感じのポリシーも非常にかつての川崎に似ている。
  • パスやコントロールの質に非常にこだわる割には、build-upの際は随分と簡単にボールを捨てるというかロングボールをいきなり蹴ってくることが少なくないので、その様はまるでボール非保持型のチームのようなのですが、まぁ普通に考えればとにかく敵陣に効率的に入りたい、ヤードゲインしたいということかと思います。

大森は仕事を果たしていたので…:

  • 福島の自陣でのボール保持は例の中央密集と、↓の4(DF)-3(MF)のラインの近さが特徴で、ここでも狭い状況を作って足元に速い縦パスを狙っていくのは敵陣でのプレーと同じ。
  • 福島のSBは一般的な感覚では「もっと幅をとった方がいい」と言われそうですが、このチームにおいては、この自陣でのSBのポジションが最も幅をとっている状況でもあります。

  • コンサは福島の中盤3人に同数での対応、前線は4バックに対し3トップで数的不利からスタート。
  • FW大森が福島のCBどちらかを切りながらGKソンリョンにもボールを持たせないように頑張ってスプリントして、場合によっては反対サイドのCBまでも大森が1人で計3人見る、かなりハードで普通はこのタイプの選手にはここまでは1人でやらせないような対応をしていました。

  • まず感想としては、大森1人でもこの福島の3人を監視し、ボールの出所を限定させたり追い込んでいくことは、この試合に関しては十分に可能な状況でした。

  • なぜなら大森が担当していた福島のGKとCB2人の距離は通常のチームのそれよりも近めなので、3人を見ると行っても人間が現実的にやれてしまう程度の走行距離を用意すればよかったことと、
  • もう一つは、福島はCBの前にすぐ他の選手を用意していますが、反面、CBの前方向にドリブルしたりするスペースがないので、大森が突っ込んできた時にCBの選手がスペースに向かってドリブルしたり、そこでパスを受けたりしてプレスを回避する余地に小さいためです。
  • どれだけ”うまい”選手でもボールを受ける時に自分は周りの空間が狭くてアクションの余地に乏しい、相手はスプリントして迫ってくるという状況だと外したり変化をつけたりして”うまさ”を発揮できる余地が少なくなります。やはりbuild-upに関しては本来はもう少し広がって1人あたりのスペースを大きくすることがセオリーでしょう。
  • 特に左CB土屋が右利きで、右足にボールを置くので、右足に置いて視界確保する時間が大森の対応によって少なくなる、ということもあり、この傾向は顕著だったと思います。

  • ですのでコンサの視点だと、大森が1人でCBとGKという”ボールの出どころを”を全部管理できていたので、ここからうまく守備が機能していなかったとしたらそれは出どころよりも受け手を管理する他の選手の部分に課題があると言えそうです。
  • 結論としては、前半はコンサの対応は機能していなかった、は過言で、ボール非保持の局面で決定的な課題が露見していた印象はありませんでした。
  • これは福島が、大森が制限をかけた後にパスを受ける中盤の選手にボールが渡った際、コンサは前米、木戸、克幸でマンツーマンベースで見ていましたが、ここでの対応には幾分かさがあった(木戸は対面の上畑にしっかりついていたが克幸は狩野にそこまでついていなかった など)ものの、福島の中盤の3選手は足元にコントロールしてしっかり前方向を向いて…というよりは、全体的にどこか慌てたように縦方向にボールをすぐ送ることが多く、あまりクオリティを感じませんでした。

  • 福島で警戒が必要だったのは、FW3人が中央に密集した状態から、3人全員が足元で受けることと背後に抜けることの両方のオプションを持っており、かつ密集具合とポジションチェンジの余地によってコンサのマーク対象が曖昧になりやすいという状況でしたので、背後に抜ける選手の管理を怠ると1発で決定機を招きかねない状況でした。
  • ただコンサには田川がいるので、福島としても1発で背後を取るのは簡単ではなったとおもいますし、また一度FWにワンクッションというか当ててフリックしたりするような変化もなく、DFや中盤から長いパスが背後に蹴られることが多く、これ自体への対応は比較的イージーに見えました。

falso lateralの活かし方と適性:

  • コンサがボールを持っている時の福島のハイプレスの形はやや変則的で、右ウイングの清水がCBの西野に出て、SBの藤田がコンサの左SB堀米(左米)、CB藤谷がサイドまで移動して原を担当するという形でマンツーマンではめていくやり方を持っていました。

  • ただ上記は序盤にコンサのゴールキックを牽制するための”見せ球”みたいなところもあり、徐々により現実的というか右SBの藤田がここまで高い位置を取ることはなくなり、福島もコンサと同じく4人のDFを前線の3トップで管理するようになります。

  • 福島がマンツーマンではめていくことをあまりしなくなると、コンサは西野や家泉に時間が生じてきてボール保持時間が長くなっていきますが、ここからコンサは髙尾が左斜め中央、ピッチの内側に入っていくポジショニングを何度か見せるようになります。
  • 直近の試合でもそうですが、左米はほとんどこれをやらないので髙尾のサイドでやると決めているのでしょう。
  • 髙尾の周辺では、福島の3トップの左である岡田が家泉と髙尾の両方をケアするような関係性になっていて、ここで髙尾が中央に入って岡田の視界から外れると福島は誰が髙尾を管理するのか曖昧になるので、受け手としては非常に有効ではあるはずでした。

  • ただ、この時コンサは髙尾と家泉が縦に重なることが多く、岡田が家泉の前に立つことで髙尾がボールを受けられるポジショニングになれない状態で、かつ家泉は髙尾が右隣からいなくなり、アンカーポジションの克幸も福島のFW石井が管理していたので、家泉がボールを持つと困ってしまう(彼はそういう時に躊躇なく前に放り込むので、”困っている”という感覚がないようにも見えますが、普通のDFはこの状況だと困る)状況でした。
  • コンサがこの4DFから1人枚数を調整して3DFにするなら、残っている家泉・西野・堀米がもう少し右寄りのポジションになって、家泉と髙尾が縦のラインで被らないように調整すればそこへのパスコースもできやすくなるし、家泉からウイングの佐藤にも直接配球しやすくなるはずです。この形をうまく活用するためには髙尾のポジションを調節するだけでは不十分に思えます。

  • もう一つ、コンサは右ワイドの佐藤が、見たところボールを持った状態での1v1でそう簡単に違いを作れるタイプではない(ウイングではない)ので、髙尾は攻撃参加というか高い位置をとった際に佐藤が孤立しないようにサポートしてあげる必要があったと思います。
  • 具体的には、佐藤にワンツーなどで裏抜けさせるような余地を作るため、受け手と出してになれるポジションを取ったり、逆に髙尾が裏抜け(≒ポケットを取る)して佐藤からのパスを引き出すなりが考えられます。髙尾はこれらができないわけではないのですが、この試合に関しては佐藤が1人で解決しなくてはならない状況が多かったように思えます。

  • 前半コンサのほぼ唯一の決定機(≒ボックス内である程度、体勢を確保した状態でのシュートチャンス と定義します)は25分、コンサが中央で克幸が簡単に前を向いて、左の原に30mほどのパス。原が1v1の形からカットインしてインスイングクロス、大森のヘッドはうまく当たらず枠外…という場面でした。
  • やはりこの前線の構成と、コンサのボール保持局面でのチームとしての低クオリティから、打開できるとしたら左の原のところになったでしょう。

  • 福島も決定機は40分頃までは1回のみ。しかしその1回で先制に成功します。背後への長いパスが不発に終わりますが、拾ったコンサの家泉のクリアミスというかパスミスだと思いますが、そこから清水が詰めて37分に先制します。
  • スコアが動いてからはコンサは福島のビルドアップに、前線の選手が各々の判断でバラバラに食いつくようになって各個撃破というか剥がされる傾向になります。そこから40分に福島がCKを得てヘディングシュート(田川がセーブ)、43分にも原や佐藤が食いついたところから剥がされて福島は右SBの藤田がボックス内で切り返しからシュート。

シンプルにクオリティ不足か?:

  • 後半頭からコンサは大森・佐藤→青木・長谷川。また家泉と西野を入れ替えてきました。これは髙尾を活かそうとするなら妥当でしょう。
  • 後半開始直後、克幸の中距離パス→原が走って受けてからのカットインという、前半の決定機と全く同じ形でチャンスを迎えます。この時は原がクロスではなく強引にシュートして、DFに当たったボールを青木が詰めますがGKソンリョンがスーパーセーブ(&青木がオフサイド)。

  • コンサはボール保持時に木戸が下がって克幸と並ぶようになり、この2人がそれぞれ西野と家泉の前方、ちょうど福島のFW石井の両脇でパスコースを作るようにポジショニング。この並びに変えたことでCBから一つ前にボールを運ぶ作業は幾分か整理されます。
  • そして全体的に食いつく傾向のある福島が、インサイドハーフの狩野と上畑に木戸、克幸という”餌”が撒かれた形になり、この2人が前に出ると、青木や堀米がその背後のスペースで活動する余地が生まれます。

  • そして敵陣に入った後は、マンツーマンベースの福島に対して食いついてきた背後を取る形でスペースに走るアクションが目立ち始めます。
  • 特に長谷川のところで、足元で受けて仕掛けるのではなく髙尾と共に右サイドでのスペースへのランが目立ちました。59分には長谷川がポケット侵入に成功、右クロスを原が触りますがシュートには至らず、という場面がありました。

  • 59分に福島は石井→中村で右に入れ、清水を中央に。コンサは64分に前米→バカヨコで青木を左、長谷川を2トップの一角に。
  • コンサはバカヨコも中央というより福島の左SBと左CBの間くらいに立って、アンカーの脇周辺が空く福島の構造を引き続き意識していました。

  • しかし71分に、この試合、福島が何度か見せていた浮き玉を蹴って裏に走る形(この時の局面が浮き玉のフィーリングは一番良かったし出し手と受け手の距離が近くGK田川の処理が困難でした)から、最後は岡田が詰めて2点目。

  • 72分にコンサは克幸→福森。76分に福島は岡田・狩野→當麻・泉を入れて5バックに。次第に福島のスペースがなくなり、コンサの勢いもなくなって…という形で終幕します。


3.雑感

  • 過去に何度か似た話を書いていますが、
  • これらの項目を見るとそのチームがどれくらい強いかはだいたい把握できます。
  • コンサのことは置いておいくとして、福島は確かにパスは繋ぎますがクリーンに前進しているかというとそうでもない。ゴール前で強度があったり脅威になれるわけでもない。そういうチームに普通に負けているというのはシンプルに弱いし深刻だなというのがまず感想です。
  • 点が取れないとか、枠内にシュートを飛ばせそうなシチュエーションに持ち込めないのはこの試合に限ったことがないので、今日入ったメンバーの問題というよりも、もう少しマクロかつ包括的な問題でしょう。

  • あと(こっちのじゃくてあちらの)キングにも言われていますが、川井監督体制で9試合を経過しましたが、基本的に非保持の際に誘導してボールを狩るようなアクションがほとんど見られず、マンツーマンでとりあえず捕まえるだけなのがかなり気になります。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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