1.ゲームの戦略的論点とポイント
クライシスを経て過渡期へ:
- 2024シーズンのJリーグで危機?混乱?に見舞われたチームといえば、J1では前半戦にコンサ、後半戦は鳥栖が盛り上げていましたが、J2では開幕10試合で1勝2分7敗、7節で吉田達磨監督が辞任した徳島が似たようなポジションでした。徳島は選手の突然の引退や移籍もあり、コンサと鳥栖のミックスのような状態だったかもしれません。
- 徳島は監督と共に強化本部長の岡田明彦氏が退任し、後任は黒部光昭クラブアドバイザーが務め、監督人事は増田功作ヘッドコーチの昇格という展開になりましたが、増田監督は就任後31試合で15勝6分10敗で勝ち点51を稼ぎ、1試合平均だと勝ち点1.65を稼いでいます。
- このシーズン5位、6位の岡山や仙台がだいたい1試合あたり1.7ですので、監督交代後の混乱期に清水、ジェフ、長崎とこのシーズン上位でフィニッシュしたチーム相手に1分2敗だったことも考慮すると、徳島のこの意思決定がどのように行われたのかは気になりますが、かなり”当たり”を引いた印象です。
- コンサも徳島から1年遅れで三上GMが退任しサポーターに就任。こちらの後任は空席となるようですが、コンサはミシャ監督を引っ張ってオフに岩政新監督を招聘。なんとなくですがこの辺にクラブのカルチャーや価値観が現れる感じがします。岡田本部長が去っても徳島はフットボール的に立ち返るところがあるのなら大成功でしょうし、コンサはまだそれがなく、監督人事もピッチ上のこと以上にネームバリュー(三上サポーターの表現では「コミュニケーション能力」)の方がまだ大事なのでしょう。
- 片方は監督が元日本代表選手選手で強化担当が選手としては無名、もう片方は逆に監督が選手としてはそこまで目立たない人で強化担当が地元出身の元日本代表選手。このあたりも対照的ですが、黒部強化本部長の手腕が見えてくるのはまだこれからでしょうか。
- 2023シーズンの徳島の売上は約20億円。J2降格1年目の2022シーズンから2億円程度減少していますが、主力選手のOUTが複数あったのでその違約金による変動の影響はあるのかもしれません(ただし「その他収入」は両年とも2億円台でものすごく変動しているわけではないですが)。
- 予算規模的には今のJ2で2.5番手〜3番手グループになるかと思いますが、2025シーズンはここまで7試合で3勝3分1敗で6位のスタート。長崎には敗れたものの、仙台、山形、そしてRBの名を冠して好調の大宮相手に計2勝1分で乗り切っており、十分にプレーオフ圏内を狙えそうな状況にあります。
- オフの動きはoutが7ゴールのブラウンノア賢信とCBの森がJ1のクラブへ移籍したのと、柿谷の引退が目立ったところで、inが左WB/SBの高木友也、CBの山田奈央と山越、前線にはジョアンヴィクトルとルーカスバルセロスといった外国籍選手で補っています。ただスタメンを見ると、杉森、杉本、渡、児玉といった馴染みのメンバーが引き続き主力を張っているようです。
スターティングメンバー:
- 徳島はどちらかのサイドの選手の高さを変えることで、試合中に3バックの1-3-4-2-1と4バックの1-4-4-2を使い分けます。通常はボール保持時に1-3-4-2-1または1-3-2-5で、4バックで守るチーム相手にギャップのできる形からスタート。ボール非保持の際は1-4-4-2ベースでスタートすることが多い傾向にあります。この日のメンバーは前節から右シャドー/右サイドハーフの役割に重廣→杉森。
- コンサは木戸を中央に入れて、高嶺を左SBに起用する前節の後半を意識した配置ですが、あまり機能していたようにも見えない形を継続してきました。左CBは中村桐耶→西野。