かつて九州沖縄の案件を担当していた頃、毎年この時期は沖縄出張にキャンプ視察をねじ込めないか妄想していたのが懐かしい。妄想は上司の怒鳴り声で幾度となくかき消されて未遂に終わった。今は平々凡々な毎日を過ごしているが、キャンプを見に行ける気配は全くない。だから書いていることは殆ど妄想に近い記事でもある。
※()つきは他のポジションがメインになると思われる選手
選手の並びはスタメンに近いと思われる順
GK
クソンユン
菅野孝憲
カウィン
阿波加俊太
No.1はソンユンで揺るがない。おわり。
ただし”タイムリミット”は今シーズンいっぱい(前からわかりきっていた話だが遂にオープンに)で、クラブとしてはリスクヘッジを考えている。2019シーズンにコンサドーレをカップファイナルに導いた立役者の菅野、2021シーズンから加入する中野小次郎くんを保有しているが、それでもカウィンを連れてきたのは、チャナティップの話し相手の確保に加え、ベテランの菅野とプロでは未知数の中野を考慮すると「選択肢」を増やすのは悪くない、とする考え方もあったのだろう(単に、故障した阿波加の代役として第3・第4GKが欲しいなら、比較的安価で手に入れられる)。
一応それっぽいことを書いておくと、札幌のGKに求められるアビリティは、①ボックス内至近距離でのシュートストップ、②1on1でのシュートストップ、③最終ライン背後のケア。ソンユンはこれに加えて抜群のハイボール処理能力を持つ。菅野はここがネックで、レギュラーがソンユンなのでカップ戦で菅野に代わると、DFとしてはやりやすさが変わってくる。カウィンはシュートストップで菅野に劣るとしても、このあたりでバランスの良さを見せられれば面白い存在になりそうだ。
DF
右DF
進藤亮佑(田中駿汰)
(早坂良太)
濱大耀
「DFのスタメン3人が当然のように出れると思っているのが腹立つ」とは野々村社長の弁。しかしオフにこれといった補強もなかったことで、現実的に元日本代表の進藤を脅かす存在は大型新人なのにルーキーな田中ぐらいで、その田中もCB中央での起用がより有力、と考えると、社長がSNSでの炎上を懸念する進藤が起用されるだろう。サブは田中と、早坂か濱。濱は個人的には中央の方が適性がありそうだが、出られるポジションでアピールしていくしかない。
DF中央
キム ミンテ田中駿汰
(宮澤裕樹)
(進藤亮佑)
タイでのキャンプイン時はミンテがレギュラー組で起用されていたようだが、ここ2シーズンのミンテの起用のされ方を見ると、短い期間で序列が入れ替わってもおかしくない部分はある。有力候補は代表チームでこのポジションを任されていた田中。ただ、代表よりも”尖った”ミシャチームにおいては慣れが必要だろう。
この役割では限界を露呈している宮澤を起用することは、チームの後退を意味する。それならば、キャンプでわずかに試されていた進藤の中央の方がリソースを注ぐ価値はあるだろう。
左DF
福森晃斗石川直樹
(田中駿汰)
勝手なイメージだが、進藤が野々村社長に「当然のように出れると思っているのが腹立つ」と実際に嫌味を言われたとして、福森はその光景を微笑を浮かべて眺めていそうなキャラクターだ。が、実際は進藤以上に福森は無風状態。引退も考えていた石川では、バックアッパーとしてはともかく競争相手にはならない。
基本的に撤退して枚数を確保しない守備(キャンプで取り組んでいる「ハイプレス」もこれに分類されると思っていい)において、札幌の場合はだいたい福森がネックになっている。しかし代役が右利きだとかなりチームコンセプトが変わる。結局は福森の左足を選択することになるだろう。
MF
中盤センター右
宮澤裕樹駒井善成
(荒野拓馬)
藤村怜
”右”は、ボール保持時には中盤に残ることが多い。最終ライン中央がミンテなら、宮澤がこちらに入るのが基本だ。
復活を期す駒井。2018シーズンは左もやっていたと思うが、2019シーズンの離脱中に左右の役割が固定化されたことを考慮すると、”右”で宮澤と争うことになるだろう。
ミシャの寵愛を受ける荒野は、このポジションだけで見ると序列的には2~3番手だが、戦力としては中盤の3~4番手、18人枠に入ってくるメンバーとして捉えられているはず。速い展開で戦えるところは見せたので、課題はそれ以外、となる。
藤村は一応こちらに入れておくが、キャンプでは前目で起用されているようだ。ルヴァンカップではU21枠で適応されるが、檀崎の存在や、大卒新人3人衆がいずれも中盤ができることを考えると、勝負するマーケットを見極める必要があるだろう。
中盤センター左
深井一希荒野拓馬
高嶺朋樹
ボール保持時に「ミンテと福森の間」に落ちる役割。深井は例年通りキャンプではあまり負荷をかけていないが、開幕に照準を合わせているはず。まだ100%の深井ではない、と考えると、コンディションには配慮しながらもチームの主役としてより大きな期待がかかる。
荒野は深井のバックアップとして信用に値する守備能力(主に運動能力を活かしたマンマーク)と、深井にない上下動能力がある。高嶺はプロのスピード下で、変則的な役割に慣れたい。
右ウイングバック
ルーカス フェルナンデス白井康介
(檀崎竜孔)
(駒井善成)
早坂良太
ルーカスと白井は純粋にどちらが上か?これは監督の好みによると思うが、クラブとしては完全移籍で獲得したルーカスの市場価値が高くなって欲しい、とする考え方も一面あるはず。その意味では白井はかわいそうな役回りでもあるが、2019シーズンと比べると、獲得した信頼は段違いの状態でシーズンイン。スタメンを外れた選手は切り札としてベンチ入りすることが濃厚なポジションだ。
アウトサイドに挑戦中との檀崎は、シーズン序盤の最大の注目選手かもしれない。札幌にはワイドストライカー的なウイングバックがいないので、オンザボールだけでなくオフザボールで特徴を出せれば面白い。その点では、左よりも右で起用された方が、後ろを気にせずにプレーできそうな予感がある。
左ウイングバック
菅大輝中野嘉大
檀崎竜孔
(白井康介)
(石川直樹)
北海道とは本来縁もゆかりもないにも関わらず、歴代監督で最も道産子選手の起用に理解があると言っても過言ではないミシャ。当初菅はそうした背景もあり優先的に起用されていたと思うが、今では福森の補完役として左サイドに欠かせない。
キャンプイン時に「シャドーやりたいっす」と直訴したらしい中野。左のバックアッパー一番手でもあるので、どちらかというとそちらで働いてもらいたいが、ポジションの問題に加え本来は菅の控えに甘んじている選手ではない。コマ不足感はこちらも檀崎のコンバートで解消か。ブレイクする選手はこんなシチュエーションが少なくない気がする。
右シャドー
鈴木武蔵金子拓郎
(アンデルソンロペス)
(駒井善成)
前線のファーストチョイスは、チャナティップ+武蔵+あと1人という考え方になる。これがジェイなら武蔵は右シャドー、アンロペなら武蔵がトップ、アンロペがシャドーもあれば逆もある。個人評価としては、ミシャは万能アタッカーに進化を遂げつつある武蔵を右シャドーとして評価しているようで、右シャドーは最もレギュラー争いが激しいポジションになっている。
トレーニングマッチの川崎戦で3得点を挙げてアピールしたとの報道があった金子。選手特性的にはアンロペよりもミシャのイメージするシャドーに近いはずで、武蔵にはない効き足の優位性もある。2019シーズンの序列を崩せるとしたら最も有力な選手だろう。
アンロペが再び主役に返り咲くには、コンディションがトップフォームに戻っていることは大前提。その上で求められる役割を遂行できるかを考えると、FWのポジションで暴れる方が今の状況だとやりやすそうだし、ミシャもアンロペはトップで考えているように(報道からは)見える。
左シャドー
チャナティップ(駒井善成)
(中野嘉大)
(藤村怜)
(鈴木武蔵)
(荒野拓馬)
チャナティップの代表活動は2020シーズンも続く。東京五輪開催に伴う過密日程も考慮すると、バックアップの重要性は前のシーズンと同じかそれ以上に大きい。2019シーズンは期待の岩崎が全くチームにフィットしなかったため、武蔵や荒野の起用による解決も図られていたが、選手特定上両選手では代替にならない。スタメンが欠けると最も難しくなるポジションだ。
2番手以下の序列は読み切れないが、駒井は中盤センターよりもこちらで期待されているような起用法に見える。2018シーズンには主に三好の代役として何試合か右シャドーを務めており、中盤センターは計算が立つこともあって試されているのだろう。筆者もビルドアップの出口を作れる駒井はシャドーで期待しているが、三好の代役=チャナティップのパートナーであって、チャナティップの代替になるかは実は駒井も不透明だ。
中野は要望はしたものの、2019シーズンの起用法を見ると、ミシャが想いに応えてくれるかは別問題。中野が左なら、右にもう少し潰されない選手を置きたいと考えているのかもしれない(アンロペ?)。
新婚の藤村はキャンプ序盤はアピールに成功していたようだが、やはり主力級の選手が戻ってくると序列が下がってしまう。中野にも言えるが、ルヴァンカップでシャドーで出番があるとしたら、トップの選手が誰なのか、にパフォーマンスは左右されそうだ。
FW
ジェイアンデルソン ロペス
(鈴木武蔵)
ドウグラス オリベイラ
シーズンの1/3を欠場することがわかっていても、ジェイの起点創出能力を捨てられる監督はいない。ジェイに死角があるとしたら、右シャドーに左利きの選手(金子)が好調であること。その場合はベンチスタートからになりそうだ。
アンロペはシャドーよりもトップが良さそう、と言ったものの、めんこさ以外のほぼすべてのパラメーターでジェイが上か。途中出場で信頼できるようになれば大きな戦力ではあるが。
謎の転校生ドグちん。映像を見ると、東雁来というより自衛隊の駐屯地の運動場のようなピッチでこれまでプレーしていたようだ。「でかくてストライドが大きくて下手」…フォルタレザの暴れ馬を300万ドルに変えた闇商人・三上大将好みのスタイルに見える。野々村社長のメッセージからすると、いわゆる無限の可能性ダニエル・レモス枠だろうか。資産価値を高めるには何らかの試合で起用するしかないが、あまり戦術理解に乏しい選手だとすると、カップ戦で一緒に組む選手は大変だろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿