2026年8月8日土曜日

2026年8月8日(土) 明治安田J2リーグ第1節 北海道コンサドーレ札幌vs徳島ヴォルティス 〜パッションをどう解き放つか〜

1.スターティングメンバー



  • 25シーズンは昇格プレーオフ決勝まで進出するも、ジェフをの前にあと1歩で涙をのんだ徳島。百年構想リーグでは増田監督→ゲルトエンゲルス監督に交代、黒部強化本部長と併せた体制となり「そうきたか〜」と思わされましたが、エンゲルス監督は百年構想リーグを完走できず5月に監督交代に踏み切ります。
  • 4月下旬までは9勝2敗で飛ばしていただけに決断の早さには驚きもありましたが、落とした試合が高知、FC大阪、愛媛といった勝たなくてはならない相手だけに意外と?しっかり強化体制が機能しているのかもしれませんし、J3相手にポイントを稼いで(色々な意味で)持ち直し、7連勝だ!と浮かれ気味だったコンサとは少し対照的でもあります。
  • そしてこの夏からのシーズンを前に高知をJ3に導いた吉本監督を招聘、ここもいいところに目をつけたなという印象で、やはりこのシーズンも上位争いに絡んでくるチームなのではないかと思います。

  • 選手では、25シーズンのオフに主力ではGKの田中とDFエウシーニョが退団。GKは百年構想リーグでは期限付き移籍の永石を起用したりもしていましたが、その永石もレンタルバックということで藤枝から加入の北村はキーマンとなりそうです。
  • 他は目立った新加入選手は修行が続くDFの田中隼人、ヴェルディでそこそこ出場機会のあった稲見といったところで、全体としては前線のバルセロス、トニーアンデルソンを含め25シーズンの主力がまだ残っているように思えます。

  • シーズン移行により地元北海道でキャンプを張らずに調整可能となったコンサ。名古屋とのトレーニングマッチがYouTubeで配信されていましたが、やはりコンディションは相当良さそうに見え、(名古屋相手ということで)マンツーマン同士の攻防が多かったですがコンサの方が走れていた印象でした。
  • そのトレーニングマッチでもスタメン起用されていたヴィニ ペイショット、唐山が前線でスタメン起用されています。家泉の移籍もあり、またJ2上位クラスとはまだ実践経験がないだけに、梅津がCBとして独り立ちできるか、もしくは他の選手で格となれる存在が出てくるか、がこのシーズンのポイントになるかもしれません。

2.試合展開

序盤のターニングポイントと、FW白井起用が的中:

  • 徳島の試合の入りは悪くなかったと感じます。
  • コンサに田川という極めて守備範囲が広いGKがおり、コンサがハイラインながらDF背後に単純に放り込むだけでは難しいことは当然徳島は把握していたのでしょうけど、立ち上がりからGKやDFからのロングボールが多かったのは、慎重に入りたいからということもあれば、トップのアンデルソンやシャドーのバルセロスが前を向いてプレーするスペースを確保するためにコンサDFを押し下げたいとか、またアンデルソンならアバウトに押し付けたボールも幾分かはマイボールにしてくれるという計算があったのかもしれません。

  • ただ徳島は放り込むだけではなく、コンサのセット守備に対し、↓のようにWBがコンサのウイングのすぐ背後をとるようなポジショニングから、コンサの右サイドであればティラパットと髙尾の間に高木が潜り込むようにボールを動かして、構造上コンサが捕まえにくいところでボールをキープする形は持っていました。

  • そこから徳島はウイングバックがいきなり放り込んでくるというよりは、中央の児玉と鹿沼を経由して、ピッチの広い範囲にパスを出せる状況を確保してから、中央というよりはサイドのスペースにスルーパスを出してシャドーやWBの選手を走らせることで、4バックの1-4-4-2か1-4-2-4でセットするコンサの泣きどころとも言えるスペースを使おうとしていました。
  • なんとなくイメージとしては、重廣がバランスをとるか、パスの出し手になりつつバルセロスが裏抜けを狙ってくるように思えましたが、実際には重廣も西野と髙尾の間から背後に抜け出す動きを繰り返しており、システム1-4-4-2に対する1-3-4-2-1のセオリーでもありますが、シャドーが動き出しでパスの出し手に選択肢をなるべく作りつつチームとしてDFの間を狙っていいました。

  • そして13分に、バルセロスがシンプルな放り込みを、コンサのCB梅津との競り合いを制してキープしてからスルーパスに重廣が抜け出して田川との1v1を制してネットを揺らします。が、ギリギリのところでオフサイドの判定。完全にコンサのDFは崩されていましたが、かえってそれで重廣が焦ってしまったかもしれません。

  • これを凌いだ直後15分、徳島のボール保持から左WBの高木を使った展開が3回目くらいだったと思いますが、児玉に白井がプレスバックして奪ってから、反対サイドのヴィニ ペイショットが見事なコントロールショットで先制します。

  • 試合を通じた徳島の傾向として、中盤の中央2人を経由するとして、この2人が身体的な速さや力強さがそこまでなく、プレー選択としても意図的にそうした速いプレーをしていないのでしょうけど、一方でコンサは白井というフィジカル面で優れた選手がプレスバックすることで、この2人に当てる形となって、徳島の上手さやポゼッションを発揮できないようにした策がこの場面以外も何度か効いていました。
  • そして遡ったところで、重廣がビッグチャンスを逃した後でコンサが先制する展開となったことは、徳島の守備のやり方を考えると非常に大きく、その意味ではこの10分過ぎの攻防は試合の明白なターニングポイントでした。

パッションは十分だが…:

  • 徳島は前線守備は、シャドーがコンサのCB2人を見る形。
  • そこから撤退すると、重廣が左MF、高木が左SBになる1-4-4-2で、アンデルソンとバルセロスを2トップとして残す、増田監督時代と似た形を使い分けますが、この試合はまずあまり撤退して対応したくなさそうというか、前から捕まえる形で戦っている時間が多く見られました。

  • コンサはGK田川から始まるとして、まず田川がCBの梅津や西野にボールを出せそうか、出せなければ田川はより長くて難易度の高いパスで局面をスタートさせなくてはならないですが、徳島はマンツーマン気味でありながらコンサのCBに対してそこまで捕まえに来ないので、まずスタンスとして徳島は中途半端に見えました。
  • それはコンサのSBとWBのマッチアップも同じで、コンサのSBもWBに前方を塞がれることはほとんどなかったと思います。

  • 前線の選手の中で、トップのアンデルソンはハイプレスへの意識が特に強そうでした。が、この選手の役割はまずコンサの中盤の選手を捕まえるところから。徳島がコンサのCBやSBに対して早いタイミングから捕まえられればプレッシングのスイッチが入ったのでしょうけど、その肝心な役割の選手の起動が遅くちぐはぐ感というか、前からいくのかいかないのか意思統一が弱そうに見えました。

  • そしてコンサがリードする展開で、徳島はGK田川も誰かが見なくてはならない。この役割を(一番熱心な)アンデルソンにすると、コンサのボランチを見る仕事との並行した遂行が難しくなってしまうので、ここでも徳島はどうやって嵌めるか解決策を見出せませんでした。

ストップに何人必要か?:

  • 互いにカウンターや半カウンター的な局面では、相手の前線の選手に対しDF何人で対応するか?という観点だと、まず徳島はセット守備の時に1-4-4-2になることもあり、カウンターというか前にアンデルソンとバルセロスが残っていることが多い。
  • これをコンサはCB2人で見るのですが、百年構想リーグでは西野と家泉のユニットでJ3の選手にもぶち抜かれたりもしていて大丈夫かな?と思いましたが、この日はパワフルで粘り強い西野が戻ってきた感じがして、簡単に裏抜けや突っ込んでくるプレーに対してはやらせない対応ができていました。

  • コンサの前線が白井、唐山、加えてワイドのヴィニとティラパットだとして、まずワイドや2列目の選手の性質としてコンサの方が攻撃的というか、少ない人数で攻撃を完結できたり、スピードに乗った状態で驚異になれる選手がワイドもしくは2列目にいるので、そもそものこうした選手起用の部分でカウンターの際にコンサの方が迫力を出しやすいというのはあったと思います。
  • なのでオープンになるとコンサに分があるとして、徳島はこのコンサの前線4人に対処するのにDF3人+SB化する高木、だけでは難しそうでした。

  • 白井や唐山が前を向いた状態でスピードに乗って仕掛けてくると、徳島のDFは1人でストップすることが難しく、前半2度ほど唐山に突破を許してGK北村のセーブに救われたほか、左にヴィニに対しても1v1での対処できておらず、徳島はDFと、中央の鹿沼と児玉など、枚数が揃ってからでないとコンサの選手の仕掛けに対応ができていませんでした。
  • この徳島のDFの対応だと、剥がされた時に後ろが手薄になりがちなハイプレスよりもリトリート主体で対応した方がよかったように思えますが、スコアが前半のうちに動いたことがゲームプランに影響したかもしれません。

  • 後半に入って早めの時間帯に、徳島が前に出てきて、コンサが凌いでオープンな展開となって、徳島のDFの個の力が問われることとなりましたが、やはり試合序盤から感じていたパワーバランスは覆らず、58分にヴィニの柔らかいクロスから白井が決めて2-0。

  • 徳島は岩尾、渡といったベテランが出てきますが、前からはめることは最後までうまくいかず、前線のキーマンも消耗して反撃できずそのまま終了します。

雑感

  • まずコンサのトレーニングマッチでの好調さというか、地元で調整できたことからのフィットネス的なアドバンテージがあることは非常に感じ、動きの量も動きの速さもシンプルに上回っていたと感じます。
  • 選手でいうと川井監督が白井に言及していますが、白井以外だと2得点に関与したティラパットが前線で味方の動き出しに合わせられる選手としてやはり重要で、個人的にはこのシーズンは日本のフットボールファンがティラパットに気づくシーズンになるのではないかと思っています。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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