1.スターティングメンバー
- ジェフは2-3月が6勝1敗(1試合平均2.57pt)、4-5月が5勝4分2敗(1.73)、6-7月が1勝1分3敗(0.8)、8-9月が4勝1分2敗(1.86)、9月が1勝1分1敗(1.33)。夏場に失速しつつも中断明けに立て直し、依然として自動昇格を狙える位置につけます。
- 左MFの椿と右SBの高橋以外は、割とどのポジションも複数の選手を使い分けており、開幕当初の対戦時とはメンバーが入れ替わっています。またスタメン級のGKスアレスと右MF田中の負傷離脱もありましたが、シーズン中にもカルリーニョス、森、イサカゼインといったメンバーを加えるなどバックアップもされている印象を受けます(フクアリの飯屋は常に並んでいる印象なのでそちらも2-3程度補強して欲しいところですが)。
- この試合はイサカと田口が出場停止で、それぞれ杉山と品田を起用。
- コンサは荒野をトップに置いて、中盤に宮澤→木戸。DF中央に宮(負傷?)→浦上。GKは夏場の復帰後に一貫して起用されていた高木から19節(6/15vs今治)以来となる菅野。引退表明の深井がベンチ入り。システムは非保持の振る舞いから1-4-4-2とします。
2.試合展開
脇腹に杉山:
- それぞれの自陣・敵陣でのボール保持・非保持の際の(あくまで)”初期配置”をなんとなく図にするとこんな模様で、
— AB (@british_yakan) November 2, 2025
- 特徴的なのは、ジェフの左の椿と右の杉山が、それぞれどの局面においても高い位置でかつワイドに張っていることが多い。(あくまで)としたのは、それぞれの局面の初期状態ではこのような形になりやすいという話であって、例えばジェフがコンサ陣内でボールを持った時には中に入っていくこともありますし、逆にコンサがジェフ陣内に入って近藤にボールが渡った時は、椿は全速力で戻って近藤に対し日高と2v1関係を作ろうとします。
- 3月にコンサのホームで対戦した際は、ジェフはセンターFWがポストプレーをして中央で引きつけてその背後にワイドの選手が中央で飛び出す形を用意していました。この方がよりゴールに対してワイドの速い選手が最短距離で向かっていく形になりますが、今回は一旦ワイドを使ってコンサのDFを広げて攻撃する狙いがあったのかと思います。
- このワイドの杉山と椿に対するは、コンサは左のパクミンギュと右の髙尾。ボールを持った時にはパクはウイングバックとして前に出ていく役割で、髙尾は前に近藤がいるので後方支援がメインであり左右アシンメトリーの形になります。
- そしてこの試合の全般において、コンサはジェフとマッチアップが噛み合う1-4-4-2の布陣を採用しましたが、このジェフのSHとコンサのSBのところで両SBの選手、特にパクが杉山をストップできなかったことでマンツーマンベースでマークをはっきりさせてタイトに対応するという目論見が早々に崩れてしまいます。
- このシーズン、相手の仕掛けてくる選手に対し、なかなかいいところを見せられないパク。この日も左利きの杉山ということでボールの持ち方や切り返しには左利き特有の形がありますが、パクは見ていて毎回後手に回ってしまい相手の得意なプレーを阻害できていない印象でした。
- そして7分にその杉山のクロスからジェフが先制します。
杉山直宏からカルリーニョス ジュニオ!
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千葉が早い時間帯に先制💪
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🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 千葉vs札幌
🔢 1-0
⌚️ 7分
⚽️ カルリーニョス ジュニオ(千葉)#Jリーグ pic.twitter.com/4vU481D7Ft
- まずゴールキックからのプレーですが、この時もやはり杉山と椿が高い位置をとっている。
- ここでコンサが跳ね返したりでボールを回収して素早く前線に展開すれば、ジェフの両ワイドが手薄な状態で仕掛けられますが(実際そうした場面は何度かありました)、この時はFWの石川が粘ってマイボールに。その石川の浮き玉のスルーパスに杉山が抜け出しますが、コンサは髙尾がラインアップに失敗してオフサイドを取れず。
- 中央では右CB浦上が迅速に戻っていましたが、杉山が逆足の右足でクイックにクロスボールを供給。杉山が左足に切り替えしていれば浦上がカルリーニョスの位置を確認し身体を寄せるくらいの最低限の対応をする時間があったかもしれませんが、それを許さないクイックなプレーの選択が明暗を分けたかもしれません。
タクマのサッカー観:
- ジェフの前線守備の形は、カルリーニョスをトップ、石川が下り目でエドゥアルドが上がり目になる1-4-1-4-1気味の形。前線はコンサのDF3人とMF2人に枚数を合わせています。
— AB (@british_yakan) November 2, 2025
- 対するコンサのbuild-upは、まず久々登場のGK菅野起用の影響が小さくありませんでした。高木はギリギリまで粘って中央で受け手を探し、低くて速い20-30m級のパスを狙うことができる。時にこれがミスとなって失点に繋がりもしますが、先日のvs徳島での近藤のゴールのように成功すればリターンが大きいプレーです。
- 菅野は高木よりもリスク回避的なプレー選択が多く、カルリーニョスが寄せてくることがこの試合早々にわかると以後のプレーでは毎回、前線への浮き玉の長いパスを選択しますが、前線に浮き玉処理が上手い選手がいるわけでもなければこうしたプレーからボールが繋がることは簡単ではありません。
- ですのでコンサはまず菅野から始まる浮き玉をうまく処理する必要がありますが、意外だったのはこちらも(かなり)久々にFWとして先発の荒野がDFを背負ったり、浮き玉を処理する仕事からマイボールの機会を何度か作れていた点でした。
- 荒野はやはりキャラクター的にも慎重さや正確さが求められる中盤よりも、ある程度リスキーなプレー選択も許容される前線の方が合っている気がします。もっともそのクオリティがJ2でトップを狙うチームの水準に達しているかは別ですが、この日は先述のようなプレーではしっかり貢献していたと思います。
- 浮き玉の処理というタスクは菅野の選択によって荒野以外の選手にも分散されますが、他の選手も少なくとも前半のうちは、荒野に牽引されるかのようにこの簡単ではないタスクに向き合っていたように思えます。
- コンサがジェフ陣内でマイボールの機会を作るとほぼ毎回左右どちらかのサイドに展開しますが、右は近藤の周りになるべく人が寄らず、近藤の速さと単独突破力を活かす狙いが明白でした。
- ジェフも近藤の突破はやはり警戒しており、日高ともう1人、エドゥアルドか椿で必ず対応するようにしていましたが、近藤に2人がつくところでコンサはポケットに長谷川や木戸、髙尾が飛び出してくる。
- これに対し、コンサの左サイドはパクミンギュには近藤ほどのボールを持っての突破力はなく、かつパクはSBとして低い位置からスタートすることもあるので、まずスパチョークに当ててジェフの右SB高橋を引き出してから、ポケットを取るというよりは高橋の背後にパクがオーバーラップする機会を狙っていました。
- ですのでコンサは近藤1人である程度成立する右よりも、左サイドの方がキャストの枚数とタイミングが揃う必要があり緻密さが求められることもあって、左サイドからの攻撃はジェフの前線を剥がして西野にボールが渡ってから発動していたと思います。
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- コンサは左右両方でこのワイドの選手が関与する形は前半から何度か見られ、そこはある程度形として整理されているのは間違いない。
- 一方でまず近藤もパクもワイドからクロスボールを空間に蹴ってピンポイントで合わせるような能力に秀でるとは言えないですし、かつ中央で待つのが荒野と長谷川なので、この2人も(それこそマリオ セルジオのように)DFがマークして周囲にスペースがない状態で一瞬の動き出してマークを外してシュートの余地を作るみたいなプレーには期待できない。
- ですのでコンサがサイドからのクロスボールで得点するには、ジェフのDFおよびゴール周辺にスペースがある状態、ジェフのDFが整っていない状態を狙う必要があり、それはジェフが前がかりになって一旦前に出てきてから、後ろに戻って枚数が揃うまでに速い展開でゴールに向かっていくプレーが必要と言えそう状況でした。
- 「速い展開」での攻撃の発動には、相手が前がかりになってプレッシャーを感じている状況下で、縦にパスを正確につけ、前線へのスプリント(パクのオーバーラップなど)を発動させ、相手が戻ってくる前にコントロールしてまた正確にパスを出す必要があります。
- DFとして杉山のマークを担っているパクに、この左サイドにおける重要な役割も持たせるのはなかなかの重労働だった印象です。普通の選手はこのプレーを何度も繰り返すことは終盤の体力に響きます。
- 21分のコンサの同点ゴールもそうした構造…まずジェフのSHが高い位置にいてコンサのサイドアタッカーがSBと勝負できるシチュエーションが、こちらも高い位置をとる近藤のサイドで、ジェフのゴールキックからのボールを回収した後の浦上からの浮き球パスで発動、というものでした。
- 浦上のパスからの展開は近藤に対峙したSB日高のミスが大きく、縦を完全に意識したポジショニングと1発でのストップを狙うような間合いでしたが近藤は進路を内側に変え日高を置き去りに。
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🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 千葉vs札幌
🔢 1-1
⌚️ 21分
⚽️ スパチョーク(札幌)#Jリーグ pic.twitter.com/4F9IiM8o3a
- 最後は荒野が背後をちらっと見る”アシスト”でしたが、このプレーに限らず全体的に、荒野がFWとして何らか関与しようとするならばこうした相手のDFが揃っていなくてスペースがあり、かつそこに荒野がスピードを上げたランで走り込みジェフのDFの足を揃えさせたりスピードを警戒されるような展開でしょう。
- 逆説的に言えば、コンサが速い攻撃に持ち込めなくてジェフのDFが揃っている状況だと、荒野や長谷川といったコンサの前線の選手個人もそうですし、チームのユニットとしてもスペースが消された状態でできることは非常に限られてくる。
- ですので見事な得点ではありましたが、見ていて感じたのは「ジェフがこうしてゴール前で荒野や近藤が突っ込むスペースを与えるとか、DFが揃っていない状況が試合中にあと何度あるだろうか?」ということと、「その時にスピードアップして前線に選手を送り込める体力がコンサの選手は試合のどこまでもつのか?」、「なんとかスコア1-1で後半に持ち込んでマリオセルジオが登場するような局面では別の戦い方にシフトできるのか?」といったことでした。
- 得点となったスパチョークのシュートも、この試合コンサが初めてボックス内で相手にブロックされない状態でGK若原を脅かすようなシュートに成功した場面でした。荒野や長谷川などに前半何度かシュートチャンスがありましたが、コンサのそれはボックスの外からワンチャンを狙ったものだったり、DFがボールにアタックできている状態で強引に放ってブロックされるものでした。
スペースのある状態でのマンツーマンベースの攻防:
- 20分過ぎから前半終了まではやや膠着状態というか、互いの前線守備が一定の抑止力となって簡単に前にボールを運べず、ロングボールを前に蹴るしかない状況に持ち込ませることになり、互いの前線の選手が前を向いて仕掛ける形にはなかなか至りませんでした。
- 互いに何度か敵陣でプレーした機会の特徴としては、コンサはロングフィードから荒野のポストプレー成功と、長い距離を走ってのカウンター。一方のジェフは自陣でコンサの前線守備を、右SB高橋のところで外してコンサ陣内に入るプレーが目につきました。
- 冒頭に書いたように、コンサはシステムをジェフに合わせて1-4-4-2でマンツーマンベースの対応を想定していたと思いますが、トップの荒野が最初にジェフのCB(鈴木)-中盤センター(品田)のコースを切りながらGKにも寄せて、鈴木にも寄せて…というアクションの頑張りに割と依存している印象でした。
- というのは例えばSB高橋の担当はスパチョーク、品田の担当は高嶺なのですが、スパチョークと高橋のマッチアップにおいて、例えば高橋にボールが入った時にスパチョークがゼロ距離まで詰めて完全に自由を奪うような対応はほぼなく、その際に品田も高橋からの斜めのパスを受けられるポジショニングの確保にはほぼ毎回成功していました。
— AB (@british_yakan) November 2, 2025
- ですのでコンサはマンツーマンベースということで一応の担当者は明確になっているものの、このあたりのマッチアップにはチームとしてボールの奪いどころと言えそうな余地が見当たりませんでした。
- よってジェフのCB鈴木が荒野を外して高橋に出して、高橋が前方向の視界確保とボールコントロールに成功すればコンサはジェフ陣内ではめられる箇所を喪失する。あとはジェフが中央の品田やエドゥアルドを経由して前線の選手に難なく届けられるので、前で構えていたコンサの選手は数十メートル戻って撤退を余儀なくされます。
- コンサが前半そこから持ち堪えられていたのは、遅攻時のジェフの前線のクオリティもありますが、加えて荒野や高嶺、スパチョークといった選手のプレスバックの意識は強く、自陣で枚数確保とフリーの選手を作らないことは意識はしていた点が挙げられます。
- 高嶺に関しては、浦上の起用時には相手を問わずプレスバックで相手のFWの選手を得挟み込むことはほぼ定番ですが、反面これが高い位置で品田を捕まえることの障壁になっていたかもしれません。
- 互いに攻守の切り替え、特にボール非保持→保持の切り替えの速さが目につく前半でしたが、その中でコンサの高嶺とジェフのエドゥアルドという、互いに中盤センターにスキルとパワフルさを兼ね備える選手が徐々に前に出ていき前線の選手を助けられるかがポイントになりそうな展開でした。
- この2人が両者の中盤センター2枚のうち左を担当していて直接マッチアップしないことと、ジェフがエドゥアルドが前、品田が後ろを担当する縦関係のため高嶺が持った時に品田が寄せきれずスペースを享受することがあったことも、なんというか絶妙だなと思って見ていました。
- もしどちらかが右の担当でチ直接マッチアップする関係性だと、この2人のところで潰し合い、よりプレーが途切れるような試合展開だったかもしれませんが、両者ともこのキーマンがそこまで潰されない展開だったのでハイテンポで推移していったと感じます。
「ルヴァンカップ決勝のような撃ち合い」がもたらす現実:
- 後半早々50分にジェフがカルリーニョス、55分に椿の連続得点で一気にスコア1-3と試合が動きます。
- 50分の得点は、コンサが荒野のフリック→近藤のポケット侵入から獲得したCKをジェフが守ってのカウンター。
- 最後エドゥアルドが、コンサの選手がこのシーズンずっと示せていない「空間に蹴って点で合わせる能力」を示しましたが、その前に↓でも指摘されているように、私もメインスタンドから見てまず浦上が中央を切れずカルリーニョスのドリブルでの横断からサイドチェンジを許したことは目につきました。
千葉vs札幌
— 近藤直也 (@do3_naoya) November 2, 2025
人を掴む守備#近藤直也失点分析
pic.twitter.com/075gKATuZS
千葉のロングカウンターの場面で、
まずはドリブルしている選手に対して、中を切って外へ追い出し、2対2での守備対応をしたかったが、
実際にはその千葉の選手に中へドリブルで侵入され、逆サイドへパスを出された。…
- ただ一般にはこうしたサイドチェンジで目線を変えられマークがズレるということは確かにありますが、この場合はサイドチェンジから整える時間はありそうでしたので、シンプルに髙尾と浦上のところの対応不備でしょうか(vs磐田でも似たものがありました:松原の2点目)。
- 55分の椿の得点は、直前にジェフが日高のフィードでコンサ陣内に入り、クロスボールをコンサが跳ね返してマイボールにしてから、木戸の周りで2度のパスミスが生じたところから。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) November 2, 2025
🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 千葉vs札幌
🔢 3-1
⌚️ 55分
⚽️ 椿 直起(千葉)#Jリーグ pic.twitter.com/sFF4070Y3Z
- コンサのスタメンで現状最も若い木戸と西野が、自陣ゴール前ではやってはいけない軽率なプレーが出てしまったところですが、まずこうした味方に預けて何とかしてもらうプレーが1stチョイスになる時点で既にかなり疲れているのかな?と感じました。
- 柴田監督も同じことを感じたのかわかりませんが、5分後にコンサは交代カード:木戸・長谷川→青木・マリオ セルジオ。
- 木戸だけではなく前線も既に負荷が大きくプレスバックが遅くなっている印象はありましたが、長谷川を下げて荒野は中盤センターで残す対応。荒野の走りと献身を相当あてにしていたチームでのマリオのトップ起用は、言うまでもなくプランの変更を意味します。
- 2点ビハインドなので必然なのかもしれませんが、2トップのマリオと青木が相手のCBに突っ込んでなるべく早く、高い位置でボールを奪おうとすると、それ以前にコンサの懸念だったジェフの中央の品田やエドゥアルドが浮きやすいという現象はより顕在化し、中央の選手が更にフリーになる典型的なオープン気味の展開になります。
- マリオは以前の試合(vs大宮)では非常にプレスバックを頑張っていたので、そこは意識は低くないのでしょうけど、この試合に関してはコンサは荒野が後ろ方向(プレスバック)だけではなくハイプレスも頑張るという方針でトップを務めていたので、荒野を代替することとなったマリオも話が変わってきます。
- そして前線ではボックス内でラストパスが欲しいマリオでしたが、この試合はシュートゼロで終わります。
- そして前半中央で浦上や西野の縦パスの受け手となっていた木戸を、疲れた荒野に代替する交代となりましたが、もともとこの位置では下がってくる傾向のある荒野に代替したことで、浦上が中央で預けられる選手を見つけることはより困難になったと思います。
- 67分にコンサはパクミンギュ→白井でそのまま左SBに。ジェフは72分にカルリーニョス・エドゥアルド・杉山→呉屋・小林・石井。
- コンサは77分にスパチョーク・荒野→田中宏武・深井。この少し前くらいから曖昧でしたが、コンサはおそらくこのタイミングで完全に1-3-4-2-1に変えたと思われます。
- ただ交代直後にジェフが日高のクロスから最後は石川が詰めて4点目。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) November 2, 2025
🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 千葉vs札幌
🔢 4-1
⌚️ 78分
⚽️ 石川 大地(千葉)#Jリーグ pic.twitter.com/ClCypdN36u
- これも今のチームにおいて顕著になっている気がするので言及しますが、クロスボールに対しDFのマーキング能力の欠如というかシンプルに人を見ていない状況があります。
- この時は押し込んだジェフのFW石川が遅れて入っていって、その石川が遅れている状況ではコンサ視点ではゴール前にジェフの選手2人と見て、西野と田中宏武がその2人を見て浦上が浮く状況で構えたのでしょうけど、まずそもそもこうしてマーク関係を決めて相手選手から目を切るのが早すぎるように思えます。
- コンサは途中交代で深井、青木と並ぶようになり、それまでの速さ重視からじっくり動かしてDFが空くところを狙うようになりますが、85分にジェフが5点目。コンサの曖昧になった1列目を剥がして中央の選手が浮いて、横山(直前に椿と交代)がスルーパスでコンサのDFを切り裂いて難なくボックスに到達という形でした。
千葉がゴールラッシュ!🔥
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) November 2, 2025
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第35節
🆚 千葉vs札幌
🔢 5-1
⌚️ 85分
⚽️ 呉屋 大翔(千葉)#Jリーグ pic.twitter.com/vVu6qm4bOf
雑感
- 「札幌のサッカーはルヴァンカップ決勝で見せたような撃ち合いなんだ」というのがこのクラブの実質的なオーナーでありクラブいちの熱烈サポーターであり、経営者を兼ねる石水社長の弁。
- そんな社長の強い意志を柴田監督が汲み取ることに成功したのか?前線に速い選手を擁するジェフに対し、コンサもフィジカル的な力強さや速さ、走力が要求されるスタイルで真っ向勝負?撃ち合い?を挑んだところ、見事粉砕されたとの感想です。
- 一般に身体負荷がかかり、プレーのスピードも上がると技術的な要求、判断や認知の要求は高まりミスが生じやすくなります。もうこの話はしつこく繰り返さなくてもいい気がしますが、コンサがそうした能力にフォーカスして選手を集めているわけでもないし育成をしているわけでもない。
- さらに近年は主力選手の高齢化もあり走れなくなっているという状況で果たしてこのスタイルを選ぶ、というか、ここまで振り切ったことをやるのはアリなのか?と感じましたが、結局は(試行錯誤を続ける)柴田監督なのか、前監督の下ではコンディションサーベイ結果が悪化した一部の選手なのか、こうしたスタイルがいいと望み、信じる人物が一定数いるのでこうなったのでしょう。
- あとは柴田監督のコメントから「スペースアタッキング」なる謎の概念を捻り出している地元メディアがあるようですが、とりあえず「スペースを突きたいなら、別に45分でバテバテになることを覚悟で速く走り続けることは必須ではない」ということは指摘しておきます。
- 加えてクロスボールへの対応が全体的にイージーすぎるのですが、宮も家泉もいない4バック採用でしたが、まずゾーンで守るCKでは全体的にゴール前のパワー不足、高さ不足が目立ちます。流れの中では相手選手を捕まえるマーキングに問題があるのは↑に書いたとおりです。
- あとは、荒野のFW起用については、荒野自体は(FWで出ている時は)この試合のコンサ側でのベストプレイヤーの1人かもしれません。
- 一方で、FWにこれだけ前方向にも後ろ方向にもスプリントを求めるなら、もう外国人FWを何人も抱える必要はなくこうした仕事に理解を得やすい、日本人選手中心で編成すべきではないでしょうか。
- 膿を出し切るとか損切りとか、選手の(絶対的な)能力を疑問視する以前に、まずそこの整理が欠けていて、そもそも膿の温床となるような問題を常に継続して生じさせながら「出し切る!」と言っているような状態でもあります。
コンサドーレ J1昇格の可能性消滅…来季へ向け強化費と保有選手数スリム化の方針…石水社長「予算は削らないと」
— スポーツ報知 サッカー取材班 (@hochi_football) November 2, 2025
記事はこちら▼https://t.co/nO2RefNpU4
- 最後に、ジェフは両SBの剥がす能力が特徴的なチームで、この点では4バックにしてマッチアップを合わせてジェフのSBへのマーキングを明確にしたかった、という柴田監督の考えは理解できます(もっともコンサの守備はたくさん走ってはいたが、効果的だったかというと…)。これ以上言及するとなんかめんどくさくなりそうなのでこの辺で。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。



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