1.スターティングメンバー
- 長崎は6/16に下平監督と契約解除し、ここ2シーズンは現場を離れていた(それこそジップラインを飛ぶような役回りでしたね)高木琢也新監督に託すという、拡大を続ける路線とは反面スモールクラブっぽい選択をとります。
- ただ以降の5試合は熊本、山形、大分相手に3連勝、いわき、仙台相手に引き分けと、流石はリーグ戦600試合近くを戦ってきた監督の手腕を発揮しているように思えます。
- 夏のマーケットでは6/4に江川、7/22に翁長といずれも復帰となる即戦力級の選手を加えましたが、後者に関しては6/28に松澤、7/7に増山とワイドの主力2人が退団したため動かざるを得ない状況でした。特に増山はキャリアのピークというか、外国籍選手と笠柳、松澤といった若手がひしめく中でも特に信頼できる選手だったため結構大きいだろうと予想します。
- このほか中盤の安部も移籍しており、送り出す側と言えば良いでしょうがスカッドのキープが難しい夏を過ごしています。
- 下平監督体制の、5/18の16節(vs大分)から3バックの1-3-4-2-1を採用しており、霜平監督期は最終的にはマテウスをトップに配していましたが、これも積極的にそうしているというよりは、失点を減らすことに苦心する中でこれしかない状況まで追い込まれていた感はあります。高木監督体制ではトップにフアンマを戻して、バランスをリセットした印象を受けます。
- この日のメンバーは前節からフアンマ→エジガル ジュニオ。エジガルも下平前監督期はやや序列が下がっていた印象ですが、監督交代でリセットされたのでしょうか。DFにエドゥアルドが前節から戻ってきたのは非常に明るい材料でしょう。
- コンサは前節試合中に受傷したと思われた高嶺もスタメンに名を連ねており、スタメンは前節と同じ。サブに出間→長谷川の変更のみですが、DFの並びが西野を左、浦上を右、宮を中央とし、高嶺と田中克幸の並びも前節と左右入れ替えています。
2.試合展開
放浪の旅の末、西野に白羽の矢が立つ:
①下がってポストプレー②味方に渡して前に行く、③フィニッシュに顔を出す 3つの役割がマテウスにあるとして、
— AB (@british_yakan) August 9, 2025
1つ目をサクッと省エネで遂行してからより重要な23に移行したいんだけど、西野が下がんないで身体当ててくるから1つ目だけで手一杯になってるね
- 長崎のエース、マテウスジェズスは概ねこうしたタスクを担っている。これはコンサにおけるバカヨコと似ており、マイボールになった際に最初に味方が探すのは彼らであり、それでいて最後にゴール前でも重要な役割を期待されています。
- あとは書き忘れましたが、カウンターの際にもメインキャストとして振る舞うことも期待されており、この点はマテウスの方がやや期待が大きいかもしれません(マテウスはカウンターの際に最初に彼がボールを持って敵陣に突っ込んでいくことも多いが、バカヨコはボールを持ってカウンターというよりはフリーランに期待)。
- 一方でこれらの重要な役割を複数与えられることは選手にとって負荷が小さくない。しかもバカヨコはこれらに加えて前線で1stDFとして振る舞い、かつ1列目が突破されたらプレスバックもする、という仕事も加わります。
- 岩政監督はこれら質量共に重厚なタスクを、29歳の外国籍選手であるバカヨコに要求してきましたが、なかなかその期待に応えてくれず、練習から外したり前半途中で2度交代させたりといった仕打ちで対抗することになります。
- このちょっと重すぎる愛にようやくバカヨコが6月くらいから応えてくれてきたという、選手と監督の成長物語なのか、安っぽいソープオペラなのかを我々はこのシーズンの数ヶ月間見せつけられていますが、マテウスと長崎の監督(新旧ともに)の関係はバカヨコ×岩政カップルよりもサステナブルかつstableに見えます。それはマテウスはバカヨコほどの守備タスクを要求されておらず、どっちかというと”最後”に余力を残させてそこで爆発させる、という運用を許されているからです。
- 試合に話を戻しますが、長崎はボールを持っている時に1-3-4-2-1の形でスタートしますが、毎回すぐにマテウスが下がってくる。以前下平監督の時期に1-4-1-2-3のシステムだった時は本当にフリーマンという感じで右にも左にもいましたが、この試合に関しては中央に2人並ぶ山口蛍と松本の右隣、右のインサイドハーフくらいの位置でほぼ決まっていました。
- そして長崎はDFが左にズレて、江川が左SBのようになることで左右のバランスを考えていたと思います。
— AB (@british_yakan) August 10, 2025
- 先に述べたように長崎はマテウスに縦パスを当てるところからほぼ毎回プレーが始まるので、コンサとしてはマテウスへのパスを断つか、マテウスに渡った後で制限をかけるか、諦めてその次の局面に備えるか、となどの選択肢から選ぶことになります。
- コンサの選択は西野を左に置いてマテウスの担当とします。西野の能力を買って白羽の矢が立ったのもあると思いますし、長崎の前線はコンサから見て左(マテウス)と中央(フアンマまたはエジガル)にパワーのある選手がいるので、浦上は別で使いたいとの意図もあったのかもしれません。
- 序盤マテウスは西野のマンツーマンを退けつつ自らのタスク…ボールキープに成功します。
- しかしマテウスにボールが入った時に西野に全く邪魔されずにボールキープして簡単に前を向くような状況になっていれば、コンサはパスやドリブルを警戒してDFが下がったり、コンサゴールやペナルティエリアに近いところでマテウスがキープしても同様に脅威となりますが、そうした状況に陥ることを回避するのには西野は成功していたと思います。
- そしてマテウスのボールタッチ位置がコンサゴールやペナルティエリアから遠ざかると、マテウスが一度ボールタッチしてからゴール前に出ていくまでに時間がかかりますし、マテウスはそこで勤勉にスプリントでアップダウンするような選手でもない。
- マテウスのキープから長崎は左に展開して、左から澤田か翁長のインスイングクロスでフィニッシュ。前半長崎にできることはほぼこれが全てではありました。
- ただしキックの精度はまずまずでしたし、エジガルがコンサのDFを釣った状況でファーサイドを狙ってくることもありますし、コンサがこのパターンに万全だったわけでもない(大外を腹が守っているのもありますし)。
- 一度、マテウスがファーでフリーになるもわずかに合わず、他にはファーで折り返して中央でエジガルがフリーで合わせる、…といった、コンサにとっては危ない場面もありました。
- ただマテウスをゴール前の仕事に専念させず、負荷をかけ続けた西野は十分に仕事をしていたと評価できると思います。
- 前半は29分に、初めてマテウスが下がらず我慢することとなり、この時のターゲットはエジガル。エジガルがマイボールにすることに成功して、ボックスすぐ外の中央に移動したマテウスが左足で巻いたコントロールショットを放ちますがGK高木の正面。
- やはりなんらかタスクを分散させた方が良さそうな光景でしたが、マテウスが前半イレギュラーな振る舞い(下がってポストプレー、をしない)をしたのはほぼこの時だけで、前半は西野を背負ってのポストプレーに忙しくなる状況を、コンサが強いることに成功します。
健全に見える関係の裏:
- マテウスと長崎の関係はサステナブルかつstable、と書きましたが、それは片方が本来要求すべきことを要求していないから。楽しくやれているのかもしれませんがプロの世界はエンジョイできれば問題がなくなるわけではありません。
- コンサがボールを持っている時は、長崎は1-5-2-3でセット。対するコンサは、西野を左インサイドハーフとする1-2-3-5でスタートします。
- これまでの試合との違いは、これまでは西野が右でフリーマンであり明確に「ここにいて何をしなさい」というタスクは決められてはいなかった(髙尾や右サイドの選手とタスクをシェアする)ですが、この日はポジショニングが明確に決められていました。そしてこの岩政監督による長崎対策が完全に決まって前半コンサが先手を取ります。
- 長崎は1列目の「3」の仕事が、ボールホルダーにどれくらいからアタックするのか、その際に2人目の選手はマンツーマンなのか、ボールホルダーと連携してパスコースを切るのかが不明瞭でした。基本的にはステイなのでパスコースを切る対応かなと思いますが、そもそもあまり要求をされていないのかもしれません。
- コンサの後ろ3人、浦上、高木、宮は長崎のこのかなり緩めな1列目の間を通す縦パスを序盤から狙い続けます。宮と浦上がそうした姿勢を見せると、長崎は彼らがボールホルダーの時には前に立つようにしますが、コンサがGK高木にバックパスするとそこまで追ってくるほどの熱心さはありませんでした。
- この程度の前線守備で、受け手もフリーなら高木には楽勝のシチュエーション。コンサは高嶺にボールを入れて、長崎はアンカー高嶺にもあまり対応が決まっておらず高嶺が受けてから考えるという感じでしたが、多かったパターンとしてはコンサは西野を経由して左WBの原に展開して敵陣で勝負する場面を作っていました。
— AB (@british_yakan) August 10, 2025
- 西野に渡ると、ここでもマテウスはあまり熱心さを見せずプレスバックをあまりしないので、長崎のマテウスの背後かつ山口の隣のスペースを常に西野は使える状況でしたし、山口は毎回そこに出なくてはならず難しい状況でした。
- 一方で、コンサは肝心の原に渡ってからの仕掛けの威力がまだ力不足で、ここに「左の近藤」、もしくはそれこそ後半から猛威を振るった長崎の笠柳のような選手がいれば、前半のうちにもっとスコアは動いていたかもしれません。
- WBに渡して単独で仕掛けることが念頭にある以上、コンサは長崎の1列目を越えることに成功しても髙尾・田中克幸の右サイドはほぼ全く使いませんでしたが、その捨てていた右サイドから18分に、コンサの先制点は生まれます。
- この時は高嶺が松本から得意の形でボールを奪って、スパチョークが右サイドを見たところから。
キャプテンの一撃🚀
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) August 9, 2025
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第25節
🆚 長崎vs札幌
🔢 0-1
⌚️ 18分
⚽️ 高嶺 朋樹(札幌)#Jリーグ pic.twitter.com/tYsEPCuD1x
- 24分に飲水タイムがとられ、1分間で長崎は前の守備の形を整理するくらいならコミュニケーションできるかな?と思いましたが、特にそうした痕跡はありませんでした(確信的に1分をオーバーして会話しているチームもありますが、長崎はその点はクリーンでした)。
- 時に、エジガルとマテウスが突っ込むというか宮と浦上にマンツーマン気味になることがあり、その際は澤田が流れの中で気を利かせてトップ下っぽくなって高嶺を見ることはありましたが、それはあくまで「流れで」だったのでしょう。前半長崎はここに手を打てず、コンサは左WB原に何度もボールを届けることに成功します。
いつもと違う浦上の隙を窺うエジガル:
- 長崎は前半ボールを持つとほぼ全てロングフィードを選択します。
- コンサはオーソドックスに1-5-2-3でセットして、長崎がポジションチェンジをしない限りはマンツーマン色の濃い対応が主になります。先に書いた通り、長崎はマテウスと江川がオリジナルポジションからややズレてスタートしますが、マテウスへの対応はこれまた先に書いた通り。江川は白井が監視していたこともあって、あまりその左足を披露する機会がなく、GK後藤のフィードで終わることが多かったと思います。
- マテウスに西野が前線する隣で、長崎はエジガルがたびたびその巧さを発揮してコンサのDFに混乱を生じさせようとしていました。
- 基本的には9番として中央から動かず、マテウスに寄ることもない。ただ例えばマテウスが前を向いてコンサのDF…西野だけでなく宮もそちらに視線が向くと引いて浮いたところに移動して右から左へとサイドを変えるのを手伝ったりする。
- 長崎は何度かエジガルに縦パスを入れる時もあり、サイズ的には10cm以上宮の方が大きいですが、毎回宮の前に先に入ってブロックする態勢を作る。マテウスはリーチの長さで勝負する部分が大きいですがエジガルは上体でボールを隠すのが上手く、宮も予測して先に動かないとボールを奪えない状況でした。
- あとは、この日右DFでいつもと違う役割の浦上の挙動が怪しくなる時も待っていたように見えます。浦上は対面の澤田が背後に走る、引く、の両方の選択肢を持つ中で、普段中央で起用されている時のように自らが中央でステイするよりも先に動いて潰すことが必要になる。それ自体は頑張っていたと思いますが、普段と役割を入れ替えた宮との関係はやや怪しい場面がありました。
- エジガルはそうしたエラーを待っていて、典型的だったのは23分の後藤→エジガルへのフィードを浦上が前に出て頭で触るもクリアミス→エジガルが拾って澤上へのスルーパスで抜け出した場面(宮がボックス内で追いつきスライディングでブロックしてガッツポーズ)。何度も自分からアクションを起こしているわけではないけど、ボールに関与する時は毎回効果的であり怖い存在でした。
展開を一変させた1つ目のトリガー:
- 後半頭から長崎は米田→笠柳。コンサは田中克幸→荒野。
- 言うまでもなく笠柳は長崎のジョーカー。加えてこの交代によって長崎は右WBも米田→翁長に替わりますが、マテウスが下がることで西野がついていき右サイドには必ずスペースができる。そこを突けるかも重要なのでより前での仕事が得意な翁長を右に移したという考えもあったと思います。
- コンサはピッチがややスリッピーで選手が滑る場面が何度かありましたが、それを割り引いても克幸は特徴を出せていたとは言い難く、早めに荒野で”この後の展開”に備える考えは理解できます。
- ”この後の展開”というのは、追いかける長崎が時間をかけずにゴールや前方向に突っ込んできて、コンサがそれを守ることから始まるオープンな試合展開に変わっていくこと。
- 近年長崎は前線に予算を割く編成をしており、これはモンスターFWを並べ、そこにボールを届ける手段は主にロングボール、というスタイルに陥りがちで、下平監督はそこをなんとかしようと頑張っていましたが、このシーズンも期待のエドゥアルドの負傷などもあり、結局は見慣れたこのようなスタイルになっている。
- なので私の印象では、長崎もミシャほどではないけど日本サッカー村におけるオープンフットボール民族の代表例というか、あまり考えずにとにかく前に蹴って、皆で押し上げてボールを拾って…、それを続けてオープンかつ高速な試合展開になった方が相手するには怖いと思っていました。
- 笠柳もその辺り…長崎の強みをわかった振る舞いをしていた印象でした。
- というのは、前半長崎はマテウスに当てて、一度展開して(中央に預けるとかサイドを変えるとか)、そこからマテウスがゴール前にゆっくりと加わるのに合わせて澤田や翁長が仕掛ける、というスピードでしたが、後半は笠柳にボールが渡ると、彼は味方がどのような状況でも1人で突っ込んでくるので、前半のようにコンサは人数を揃えてから対処できない状況も増えてくる。
- そして笠柳は髙尾1人だけでは難しいこともあるので、そのサポートに人が必要になると、コンサは押し上げて陣地回復が難しくなります。
2つ目のトリガーで完全にボールを捨てるコンサ:
- 長崎はコンサのボール保持に対しては、後半開始からエジガルとマテウスの2トップにして澤田が左のインサイドハーフになる1-5-3-2気味とし、アンカーの高嶺には松本が上がって対応することとしたようでした。
- ただこれもコンサのGK高木が依然として放置されていることもあって、試合に決定的な影響を与えたようには見えませんでした。
- 58分に長崎はエジガル・澤田→フアンマ・山﨑。笠柳1人でワイドはなんとかなる(サポートがいらない)とわかったので中央にターゲットを増やしたのだと思います。
- 同じタイミングでコンサは高嶺・スパチョーク・白井→家泉・青木・長谷川。高嶺は51分にピッチに足を取られて痛み、一度はピッチに残った後で×が出て交代を余儀なくされます。
- 後半頭の笠柳投入から長崎に押され続け、ボールを大事にすることができずクリアが精一杯だったコンサは、前半機能していたボール保持の際の後方のユニット…GK高木、CB浦上と宮、アンカー高嶺、インサイドハーフ田中克幸と西野 を崩す交代をしたことで、以降さらに防戦一方になります。
- ボール保持の際、コンサは前半は西野が3バックの一角から前に移動することで2CBとし、長崎の1列目3人の間にポジショニングしやすい形をしていたわけですが、右から浦上、家泉、宮の3人のユニットとなると、誰かが西野の役割をやるのか。おそらく西野の存在が大前提なのでやらないって共通理解はあったと思いますが。
- しかし、前半やっていたことをやらないならその時は残り40分、長崎相手にどうプレーするのか。「約束事を作るのではなく都度ピッチ上で判断する」とする岩政監督のチームですが、「どうプレーするのか」への解を見出すのにかなり苦労しているように見えました。
- 長崎は選手交代から前線のpressingの仕方を整理してきました。コンサのアンカーには松本を当てて山口はステイする。ボールサイドで人が足りない時は3バックの左右の選手がステイせず前に出てくる。これでマンツーマンの関係性をコンサの受け手となる前選手に対して成立させます。
- この対応でただでさえ受け手を探すのが大変なコンサ。加えてCB中央という、本来一番ボールに触って展開して欲しい位置に家泉を入れたことで、ボールを託されるGK高木や浦上は更に厳しい状況に追い込まれます。
- 私が彼に抱いているものと似たような印象をおそらく高木や他の選手も抱いているように見えましたが、家泉が自陣ゴール付近で何度もボールタッチする状況は避けたかったように思えます。
- となると高木としてはサイドのDF(浦上が右に開くとして)に浮き玉でパスするか、1列飛ばして中央の西野、荒野、青木のところに渡すか。
- いずれにせよ、前半と違って出し手が高木や浦上に限定され、受け手も遠くの選手に限定される状況なので前半のシチュエーションよりも難易度が高くなる。先月(vs磐田)似たようなシチュエーションで自らのミスから失点している高木は慎重に出しどころを考え、時間を使うようになります(長崎のゴール裏からの大ブーイングを一心に浴びる)。
- しかし時間を使って考えても出しどころは見つからない(これは宝探しのように掘っていれば見つかるものではなく構造的なものなので)。
- 結局困った時のバカヨコへのフィードを選択しますが、疲れているバカヨコも期待に応えることができず長崎が回収、後半はずっと長崎のターンになります。
- 交代で入った青木。試合後のコメントで、「チームとしてやりたいことができていないと思って、前半は(ベンチで)見ていた。」。確かにDAZNのスタッツでは、前半のポゼッションが58v42で長崎優勢に見えるものの、ピッチ上で生じていた事象や構造は先に書いた通りだったかと思います。
- 私はマテウスを封じてクローズな展開に持ち込むのは想定通りだったのでは?と思いますが、後半苦しい状況で、青木がポジションを崩していたのはそうした彼の認識や考えがあったのかもしません。
- ただ高嶺がピッチから去って、長崎の猛攻が始まった当初は、例えば浦上はなんとかボールをキープして落ち着きを取り戻そうとして、そのためにはインサイドハーフが適正なポジションについて欲しいというようなコミュニケーションをしていたように見えました。
- 青木はボールサイドに寄ってきたわけですが、浦上から見てボールサイドに出すことが難しかったので、青木には左にステイして欲しそうに見えました。
- この辺はまさに岩政監督の「ピッチ上で判断する」が試されるシチュエーションでした。長崎がマンツーマンだと判断して、西野と青木がポジションチェンジして、西野が対面の松本を動かすとかができれば面白かったですが、ホーム長崎の押せ押せの雰囲気、蒸し暑い気候の影響もあってかコンサにそうしたバッファはなさそうでした。
- そしてコンサは後半途中から青木と長谷川がポジションを入れ替えて青木がFWになります。
モダンフットボールから乖離するとどうなるか:
- 長崎の猛攻が実ったのは68分。スローインもそうですが直前のプレーも、ペナルティエリアすぐ外で浦上に渡った時に同数関係を活かして山﨑が浦上に寄せます(山﨑に当たってスローインに)。
- 高嶺の交代から10分間経っても、コンサはマイボールになった時にどこにボールを動かしたら長崎の圧力から逃れられるかが見つからない。頼みのバカヨコも疲れてきており彼しかいないことが長崎もわかっているのでバカヨコには厳しく当たってくる。
- そうした状況で長崎が負荷をかけ続け、笠柳が髙尾を突破して…というプレーが出てようやく長崎がこじ開けることに成功。
- キックオフ直前にスタジアムにサプライズ登場した長崎のスーパースターのスピーチ以後、1時間以上も沈黙していた長崎サポーターがようやく沸騰します。
🔷🔶
— V・ファーレン長崎【公式】 (@v_varenstaff) August 9, 2025
𝙏𝙊𝘿𝘼𝙔'𝙎 𝙂𝙊𝘼𝙇⚽️✔️
🔢1-1
⚽️#マテウスジェズス 選手
左サイドの流れるパスワークから。#笠柳翼 選手のクロスに #マテウスジェズス 選手がボレーで仕留めて同点に追いつく。#vvaren #獲るぞTEPPEN #長崎札幌 pic.twitter.com/yrrm3NAuyC
- 72分にコンサはGK高木が負傷し児玉と交代。一向に立て直せず、ピッチ上で問題山積みな中でアクシデントにより交代枠を使い切ります。
- 77分に長崎は松本→中村慶太、82分に新井→照山。
- 長崎が押し込む中で疲れが顕著なバカヨコから青木にポストプレー役を変えて、前が仮になった背後をなんとか突いてカウンターしたいコンサ。
- 89分には足が止まった長崎相手にようやくボールキープに成功し、青木のスルーパスをバカヨコがボックス内でダイレクトシュートもクロスバー直撃。高嶺の負傷から40分くらい耐え続けた末に獲得した、これが後半唯一のシュートチャンスでした。
- それまでも長崎の攻撃に耐えてから青木や長谷川がポストプレーを試みて、逆襲を仕掛けられないか…という場面はありました。ただ前線にそうしたロングカウンターに向いている選手もほぼおらずバカヨコも疲れているので難しい。
- 終盤3度ほど見られた家泉の攻撃参加は、そういうチームを助けたい一心だったのでしょう。ただDFとしてはこの状況では何もしない方が正解でした。ATのマテウスの独創ゴールは、疲労困憊の宮を後ろに残し、家泉が攻撃参加した中で生まれています。
🔷🔶
— V・ファーレン長崎【公式】 (@v_varenstaff) August 9, 2025
𝙏𝙊𝘿𝘼𝙔'𝙎 𝙂𝙊𝘼𝙇⚽️✔️
🔢2-1
⚽️#マテウスジェズス 選手
後半アディショナルタイム劇的逆転弾。#マテウスジェズス 選手がクリアボールを猛追し、相手GKとの1vs1を冷静に仕留め切る。#vvaren #獲るぞTEPPEN #長崎札幌 pic.twitter.com/5zyldw7UB6
雑感
- 蒸し暑い時期になってようやく、ちょっとずつマシになってきた岩政監督のコンサ。前半は支配率こそ低かったですが、戦術的には長崎はロングボール以外で前進できないし、逆にコンサは容易に長崎の1列目を突破できる状態に。監督としてはこれは十分に仕事していると言えます(xGを参照しても、マテウスが解放された後半の方が長崎のチャンスの質が違います)。
【更新情報】
— SPORTERIA (@SPORTERIA_JP) August 9, 2025
J2 第25節 #長崎 2 - 1 #札幌
のデータ画像📊をアップしました!https://t.co/Rmrqpppyxu
SPORTERIAのブログ機能では、これらの画像を自由に使えます💡
試合のレビュー📝にぜひどうぞ!#vvaren #consadole
- 一方でコンサが1列目を突破した後のWBのプレー。
- 岩政監督は就任時から「ウイングがワイドに張って常に1v1を意識した振る舞いをするのはちょっと違う」みたいな話をしており、実際近藤はそんな感じでサイドアタッカーじゃない振る舞いを続けてきましたが、この試合は結局build-upが成功した後にコンサが選択した左サイドでで、WBが1v1で違いを作れるかどうかが重要になりました。
- ですので原が対面の米田相手にクオリティを発揮できないことが、build-upの質がスコアに直結しなかった一つの要因でした。原のところにそれこそ笠柳のような選手がいれば、前半から相手にもっと脅威を与えることができたはずです。
- 後半開始時点での田中克幸→荒野の交代と、高嶺の負傷に伴う家泉の投入について。ベンチには宮澤もいましたがオープンフットボール民族である長崎に対し、これから予想される高速化された展開では宮澤は厳しいということで、よりフィジカル面で優れた荒野、家泉をセンターラインに投入したのでしょうけど、またもこのシーズン岩政監督をずっと悩ませている編成の問題…①高嶺の相方となる中盤センターと、②(宮と浦上がきたけど)4人目のCB、が噴出し泣きを見ることとなりました。試合の裏で関係者が長崎に結集していて、なんか色々決まったみたいですが、それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
0 件のコメント:
コメントを投稿