2023年2月26日日曜日

2023年2月25日(土)明治安田生命J1リーグ第2節 北海道コンサドーレ札幌vsヴィッセル神戸 〜ツケを払う時が来るのか〜


1.ゲームの戦略的論点とポイント

  • 札幌は菅野が「足の違和感」で欠場。18人メンバーで見ると変わったのはここ(菅野→大谷)だけで、スタメンはゴニをベンチスタート、2日前に試していたとする荒野の前線起用で、また広島戦と異なりスタートから浅野がシャドーでした。
  • この荒野の起用理由は監督会見に書いていました。
  • 神戸は開幕戦の1-4-3-3と、この日の1-4-4-2のオプションを持っているようで、あとはイニエスタが復帰したらトップ下に入って1-4-2-3-1も採用するのでしょう。メンバーは開幕戦で右SBに入った酒井のところに飯野。武藤が2トップの一角に入って、右に佐々木。大崎がベンチスタート。昨シーズンから、佐々木は1-4-4-2で手堅く入りたいゲームの時に先発起用が多い印象です。

2.試合展開

荒野の前線での起用理由と影響:

  • 神戸は武藤と大迫が2トップで1-4-4-2。札幌は宮澤が「最終ラインと中盤を往来する役割」でスタート。
  • 神戸はボールを保持する意図があまり感じられず、最終ラインを押し上げてから前線の大迫や武藤に蹴ってセカンドボールを拾うことが多くなります。その押し上げたラインは機能していたと思いますし、個人を挙げると斉藤のボール回収が光っていたような気がします。

  • 問題は札幌の方で、半端にボールを保持したいとする欲と、無理だから前線に蹴ろうとする現実的な対処が中途半端に入り混じった状態。
  • ミシャの会見で言及されたように、荒野を先発のFWとした理由は、前線で身体を張れる選手が必要で、かつそれはゴニがスタートからだと不十分だから。
  • かといって荒野もポストプレーが得意でもないので、だから荒野を使いたいというよりは、ゴニを勝負どころの時間帯に取っておきたいとする采配だったと見ます。

  • ですので、コンサはピッチ上にボールをキープして攻撃の時間を作ってくれる選手がいない。個人でいないなら組織でなんとかしたいけどそれもできない。

  • 9分の神戸の先制点は、GKソンユン→福森へのフィードから始まっていますが、これはクリティカルな話をすると福森のボールの逃し方がよくなかった(普段はダイレクトで前に流したりします)のと、神戸はスライドを頑張れる佐々木の起用が当たった形だったと思います。

  •  その福森の対処以外のところに目を向けると、ソンユンがサイドの詰まりやすいところにフィードする積極的な理由もなかった気がします。サイドは追い込まれやすいからです。
  • じゃあなんでソンユンがそうしたかというと、荒野の起用がそうであるように、コンサはピッチ中央にボールが収まったり空中戦で競ってくれる選手がいないからサイドに蹴るしかなかったのだと思います。
  • こういう雑というかあまりクリーンでない展開でも、そんなに勝ち点を失わなかったのは、ピッチ中央に高嶺、駒井、荒野といった切り替えが速くプレーできる選手がいたのも要因の一つですが、それらの選手がいずれもいないコンサのセンターラインは、この試合はいつも以上にスローで、たびたび神戸の速攻の餌食となります。


コンサのやり方に不慣れな馬場:

  • そのピッチ中央で何が起こっていたかという話をします。
  • コンサがボールを持っている時に、神戸はまず2トップで中央を切って、コンサの左右のCB→サイドにボールが出たらスライドして追い込んでいく。コンサは配置的には、GKソンユン、右に岡村、左に宮澤、アンカーの位置に馬場が多くて、この4人が菱形の配置になっている。
  • 神戸の2トップが岡村と宮澤を意識しすぎると、アンカーがフリーになって前を向ける。そこに神戸が他の選手を(大体は山口か斉藤ですね)付けると、中央にスペースができる、という構造になる。
  • だからコンサは後方からボールを出すときに、宮澤、岡村、馬場の誰かがフリーになりやすいので、それを見極めてボールを動かしたいところでした。

  • が、コンサは中央にいる馬場にボールが全然出てこなくて、それは普段からそういうサッカーをやってない(コンサのアンカーはアンカーの位置にいなくて最終ラインまで下がって、他のDFを前に押し出すことが多い)からでしょう。
  • 局面的には、例えばソンユンが持っているときに大迫か武藤が馬場を見ていて、空いてないから出せないというのもあるのですが、そしたら岡村か宮澤どっちかに出して、そこに出てきたらまたGKにバックパスして空いている選手にだす…となればいいのですが、細かくいうとキリがないんでこの辺にしますが、コンサは何回もこの展開をやり直して組み立てることができない。
  • だから結局前線に放り込むしかないし、もうジェイも興梠もいないのでそこから攻撃機会が生まれないというものでした。


  • 結局コンサは馬場を前半だけで交代させて、後半頭からゴニを入れます。ゴニは相手の足が止まってスペースができると足元にボールを置いて攻撃を作ってくれるのですが、まだ45分の段階だと劇的な変化は起こらないなという印象でした。

  • 59分に神戸が2点目を挙げます。
  • まず大迫の、空中戦からそのままボールをキープして、潰されないまま反対サイドにパスを通す個人能力や力強さが光ります。
  • この時の札幌の対応は、福森が中央に絞るのか中途半端な状態で、もし絞るなら菅がその背後というか、佐々木の狙っていたスペースをカバーする必要がある。
  • ただ、ゴールキックからそのまま前線に移行する速い展開なので、最初相手のSBを見ていた菅が50mくらいプレスバックして守るのはかなりきついですね。
  • だからこういう失点を避けたいなら、まず「マンマークのプレスなんかやめろ」という話になります。これが今まで露見しなかったのはGKがすごいからです。


3.雑感

  • まだ2試合なのでわからないですが、2試合とも「あとは決めるだけ」の3段階前くらいのところで詰まっている感じがします。要するにまずボールをキープできなくて試合にならないんですよね。
  • それは、相手のプレスがもっとしょぼいなら問題にならないとも言えますけど、相手のプレスが一定以上だとするなら、こちらで対処しないといけない。
  • そしてその対処法は、ここ数年一貫して傑出した個人能力(一人でボールを収められるジェイ、チャナティップ、興梠になんとかしてもらう)だったので、それらの選手がいないなら小林に期待するのか、諦めて他のやり方にするのか、といったところでしょうか。次節は新潟がビビらずに高い位置からプレスをしてくると苦戦するかもしれません。相手のCBの強度次第でもありますが。

  • あとは、断片的にしか知らないのですが、キャンプで速攻の練習をしていたようですね。その割にはあまり速攻の攻撃の形にならない(そもそも小柏不在だと、浅野以外速い選手がいなくて、浅野を活かすような感じにも見えない)のが気になります。

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