2019年8月25日日曜日

2019年8月24日(土)明治安田生命J1リーグ第24節 北海道コンサドーレ札幌vsFC東京 ~裸のどつきあい~

0.スターティングメンバー

スターティングメンバー

 札幌(1-3-4-2-1):GKク ソンユン、DF進藤亮佑、キム ミンテ、福森晃斗、MF白井康介、荒野拓馬、宮澤裕樹、菅大輝、鈴木武蔵、チャナティップ、FWジェイ。サブメンバーはGK菅野孝憲、DF石川直樹、MFルーカス フェルナンデス、深井一希、中野嘉大、早坂良太、FW岩崎悠人。前節とメンバーは同じ。
 東京(1-4-4-2):GK林彰洋、DF岡崎慎、渡辺剛、森重真人、オ ジェソク、MF大森晃太郎、橋本拳人、髙萩洋次郎、東慶悟、FWディエゴ オリヴェイラ、永井謙佑。サブメンバーはGK児玉剛、DF丹羽大輝、MF三田啓貴、内田宅哉、アルトゥール シルバ、FWジャエル、ナ サンホ。室屋は体調不良で欠場。


1.想定されるゲームプラン

1.1 札幌のゲームプラン


 札幌は、「東京は(いつも通り)ボールを放棄して自陣に撤退する」という想定の下でゲームプランを考えていたと思う。
 ⇒そうだとすると、東京陣内に侵入することは容易。侵入した後が問題で、高さのあるDFと堅牢なGK林を崩しにはペナルティエリア内で揺さぶることが必要。そのためには、チャナティップやジェイ、武蔵などクオリティのある選手が前線で時間と空間を得る必要がある。
 ⇒前線に時間と空間の”貯金”を作るために、後方でボールを保持して東京のディフェンスを剥がしてフリーの選手を作り、”貯金”を繋いでいく。

 このプランは東京がボールを放棄せず、また札幌ゴール付近からのプレッシングを敢行したことで瓦解している。

1.2 東京のゲームプラン


 札幌は二面性(本来の志向はボールを大切にしたいけど、ジェイや荒野、キム ミンテ、福森といったダイレクトなサッカーに向く選手もいる)、もしくは三面性(チャナティップ、武蔵の速攻)を持つチームだ。
 どこを切り取り、どこで戦うかの選択で言うと、東京は札幌の後方でのボール保持を高い位置からのプレッシングで阻害し、前方へのパスを簡単に出させないようにし、あわよくばそのまま高い位置で奪って攻撃につなげてしまおうという戦略だった。
 併せて最終ラインを高く保ち、後方の選手が前線をサポートする。これは、鈍足のジェイを東京のゴールから遠ざけることで無力化させることにつながる。武蔵が裏に飛び出すスペースを与えることになり、また東京の重心が高くなると永井のスピードも活きない。しかし札幌の「苦し紛れのジェイ」を消すことは、そのデメリットを差し引いても損得プラスになる、とする考え方だったのだろう。

2.基本構造

2.1 ボール保持時の東京のアクション/リアクション


 東京の選択は、「1.2」に書いたように、札幌に対して重心を上げての真っ向勝負。いつもの、ボールを放棄するサッカーではなくボールを握るサッカーだ。ボールを握るサッカーを志向するなら、そのシチュエーションで相手に対してどのようなアクションをとるか(厳密には、相手の守備を見てから対応するのでリアクションだとする見方もある)の準備は欠かせない。

 東京の”準備”を図示すると、両SBが高いポジションをとるが、これはこのサイドの選手が単独突破というより白井と菅を引き付ける役割が大きい。札幌のWBが前進し、最終ラインにギャップができると、そこに永井、ディエゴ オリヴェイラを走らせる。
 もう一つ、札幌のような[1-5-2-3]型の守備陣形に対して刺さりやすい狙いである、中盤センターの宮澤と荒野の脇は大森と東、時折ディエゴもここに出現して所謂”起点”として使う。札幌は7枚ブロックだとしたら、この両方を消しきるのは難しいので、札幌の対応を見ながら空いたところを使っていこう、との考えだっただろう。
後方のボール循環から、ギャップに永井が走ったり

札幌の[2]の脇で受けたりを狙う

 東京の最終ラインによるボールの循環は、札幌を7枚ブロックにする(最終ラインで回していると、そこに制限をかけるために前3枚の[1-5-2-3]にしたい。[1-5-4-1]ではなく。)狙いもあっただろう。もっとも、それがなくともカウンターを仕掛けたい札幌は7枚ブロックにしていたと思うが。

 札幌の対応に関して言うと、序盤、東京のセントラルMF2人がいずれも中央に陣取った時は、チャナティップと武蔵が2人を捕まえる。ただ基本は橋本と髙萩が縦関係で、この状態ではどちらかを捕まえるというよりも、3枚を横並びにしてとりあえず中切り、という状況だった。
東京の中盤2人が中央に残る場合の札幌の対応

2.2 前線圧力と圧縮でジェイを置物化する東京


 普段の東京は、相手がボールを保持するシチュエーションではリトリート優先。ボールホルダーへの圧力は散発的に行われる場合もあるが、高い位置でボールを奪いきるとする意志は殆ど見られない。この試合は、やはり世界一快適なスタジアムでのプレーということもあってか、高い位置から奪いきる気がかなりありそうな様相だった。
 札幌のボール保持に対しては、中央で永井とディエゴが関与する選手を監視する。加えて両サイドハーフの大森と東が2人に加勢する。これでボールホルダーが顔を上げて、落ち着きを持ってボールコントロールすることを難しくしてミスを誘う。こうなると、最終ラインの裏を狙うような精度の高いロングフィードで背後を取られる危険性も少ないので、陣形をコンパクトにし、ジェイやチャナティップ、武蔵がプレーするスペースを奪うべく、最終ラインをかなり高い位置に押し上げて圧力をかけていく。

 対する札幌。基本的にはいつもと同じだが、この試合は福森があまり下がらずに最初から高めのポジションで”待っていた”。この影響は詳しくは「3.」で言及する。
前線からの守備でボールの出所を抑え、ライン押し上げでジェイをゴールから遠ざける

3.斬り合いの予兆と札幌のボトルネック

3.1 札幌左サイドの逆ベクトル


 序盤はピッチ全域で、札幌を研究してきたであろう東京の前掛かりなアクションが目立ったが、例外は札幌の左サイド、福森周辺のマッチアップ。「2.2」で触れた通り、FC東京は前の4人が前プレ部隊で、大森もこれに含まれる。システムのかみ合わせ上、大森とのマッチアップが多い福森は、札幌のボール保持時にビルドアップ部隊から離れるように前目で”待っている”。お互い退かない状況だ。
 この対峙する2人の、それぞれ逆ベクトルへの前進による”斬り合い”の関係は、序盤は札幌にとって望ましい状況を生み出していた(≒福森の前残りが、「損得プラス」になっていた)。札幌が福森にボールを逃せば、最終ライン4枚+中盤2人で守る東京に対し、ピッチ横幅を最大限に使った得意の横幅アタックが発動する。東京は4枚でサイドをカバーすることはできないので、逆サイドの白井だけでなく、福森と同サイドの菅が裏に走ることへの対応も後手に回っていた。
福森も大森も前方向を意識してプレーするので互いに斬りあう関係に

(14'02")東京の4バックでカバーしきれないサイドのスペースを狙う

 札幌のストロングポイントである横幅アタックが序盤から発動する。東京はそれでも強気さを失わない。福森が余る状態に対しては、最終ラインから岡崎が特攻して対応。こうなると、東京はワイドに張る札幌の5トップをDF3人+MF2人で守る必要がある。岡崎が背後を取られるとかなりリスキーだが、それでも前から行くぞとの意思は失わなかった。
余る福森にはSBの岡崎が特攻で、最終ラインンを削ってでもボールへの圧力を優先

3.2 1家に2台は…


 福森サイドから何度か突破口を開いていた札幌。しかし堅牢なGK・FC東京の林を脅かす機会は、4分のチャナティップ⇒白井のサイドチェンジからの横幅アタック(ジェイのシュートを林がDFと接触しながらセーブ)くらいだった。

 札幌の問題は、ゴールまでジェイと同格のクオリティを持つ2枚看板の1人、チャナティップがビルドアップ時に下がってしまうので、フィニッシュに絡めないことだった。福森をビルドアップに含めないと、フィールドプレイヤーの数では4(宮澤、ミンテ、進藤、荒野)on4(ディエゴ、永井、東、大森)。クソンユンを含めて何とか数的優位になる。この状況で東京が人を捕まえてくると、そのプレスからボールを逃がすにはもう1人は選手が欲しいところだ。
 オールマイティな能力を持つチャナティップは”ビルドアップの出口”として、頻繁に下がってくる。それは後方の選手としてはボールの預けどころになるが、チャナティップが低い位置で捕まる(ボールは奪われないにしても、前を向かせないよう東京はタイトに対応する)と、そこから前方に展開できたとしても、チャナティップが最終局面に関与するにはその攻撃への再参加のための時間が必要になる。林の前に、スペースが消失しないうちに白井や菅が速いクロスで勝負しようものなら、チャナティップ抜きでの勝負になってしまう。
チャナティップが下がってビルドアップを助けるとカウンターのフィニッシュ時にゴール前にいない

4.塩漬けの15分以降~東京の先制と同点劇


 15分以降は東京がボールを回し、札幌はブロックを作って受ける展開。といっても、東京は札幌が5バックでスペースを消すと無理をしないので、セットオフェンスからの決定機やシュートチャンスはあまりなく、トランジションやミスの隙を突いてクソンユンを脅かそう、という振る舞いだった。
 特筆するとしたら、”ジェイ周辺”がボール保持の安全地帯だと見切って”緩く”ボールを保持する東京は、その余裕を活かして前線の選手のポジションチェンジを活発にする。それはレーンが被らないといったディシプリンの下で動いているというより、マンマーク主体の札幌を混乱させるためにかなりフレキシブルに動くものだった。

 37分、サイドで前を向いたディエゴ オリヴェイラがファウルを受けてフリーキックを獲得。東のクロスはファーサイドで、渡辺が武蔵の上からヘッドを叩き込んで東京が先制。2018シーズンはキムミンテだったが、2019シーズン狙われているのはアンデルソン ロペスと武蔵。警戒すべきシチュエーションだったがやられてしまった。

 スコアが動いて札幌は緩めの前線守備を開始。もっとも本格的なものではなく、本番は残り45分、といった空気で後半戦へ。

 後半の開始1分。最初のオフェンスは東京。札幌はペナルティエリア付近でボールを回収すると前残り気味のチャナティップへ。この時、東京は最終ラインがハーフウェーライン付近で4人+橋本が残っていたがチャナティップはフリー。札幌の枚数を考えると、4枚残しておく必要はなくチャナティップへのネガトラ対策をしていても良かったと思うが、そこが起点となり左の菅へ展開。菅の縦突破からの低空クロスは、中央の武蔵がコントロールショットで合わせるとジェイに当たってゴールの中へ。GKが林なので、至近距離で揺さぶるような展開でなくては難しいと思っていたが、結果的には至近距離で反応できないシュートのような形になって札幌が”いい時間帯”に追いついた。

5.実はお互い薄着だった

5.1 札幌の勢い


 うまくいくかわからないような、日本語で言うところの”微妙”な状況では勢いが出るような、背中を押されるような何かのきっかけが必要だ。いつもの札幌で言うと、ハーフタイムのミシャのゲキかもしれないし、この試合では後半開始早々の同点ゴールだった。
 仕組みは大きく変わっていないが、追いついた後の札幌は一転して東京に対しアグレッシブな守備を敢行する。東京はサリーダ・ラボルピアーナで3枚となった最終ラインからボールを逃がしたい。SBに逃がすなら、札幌はWBが前進して突っ込む。ここに札幌市清田区出身のニシダイゴくんのような1on1で逆を取れる選手がいると突っ込むだけでは解決できないが、東京のSB相手ならこれでもなんとかなってしまう。
 併せて、東京の前3枚に対してはようやく、ボスロイド 動きます。チャナティップ、武蔵と合わせて数的同数守備を行い、荒野と宮澤は特定の人と言うよりその周囲のスペースに現れる選手を潰す。
「対面の選手」に突っ込んでボール回収を狙う札幌

 守備のスイッチが入っているともいえるけど基本はスペースを管理しない、個人が責任を持つことに特化した各個撃破型の守備だ。誰かが剥がされると一気にピンチになるが、後半立ち上がりの10分ほどではその問題は顕在化しなかった。
 札幌の選手の前方向の意識が強くなる。しかし札幌は、前半の東京と違ってあまりラインを押し上げて守らない(守れないとも。永井相手に安易にスペースは与えられず、常に対策が必要)ので次第に両チームの陣形が間延びする。ここでボールを落ち着かせるような選手、プレーの選択があると秩序は保たれるのだが、時間がたつたびにこの傾向は強まっていたように思える。札幌も東京も、秩序を取り戻すのではなく、スペースを使ってハイテンションな状態でカウンターの応酬になる。
前方向の意識が強い状態で攻守が目まぐるしく入れ替わると陣形が間延びしてスペースができる

 52分には永井の突破を止めてアドレナリンが一気に噴出したキム ミンテが38度線の向こう…じゃなくてFC東京側のゴール裏に向かってガッツポーズ、他にも色々な小競り合いがあったが、こうした外的環境も互いの選手の振る舞いに関係していたかもしれない。

5.2 (断続的に続く)裸のどつき合い


 70分前後に札幌の勢いに陰りが見え始めると、人への圧力でもっている札幌の守備強度は落ちる。それは東京がボールを保持した時に前進を容易にしていた、札幌にとって危険信号でもあったが、どちらかというと双方のゲーム進行のテンポはスローダウンし、一種の休戦協定のような状況になっていたと思う。
 ルーカスとナ サンホの投入はそのタイミング。札幌は3バック+守備に回るとWBが下がって5バックだが、東京もハイプレスをやめてからは、ペナルティエリア幅を4枚で守るので、その4枚+SH2人で6バックのような構造にもなっており、ウインガーを増やして前への圧力を高めることと共に消耗が激しいサイドの選手を入れ替えた、とも見ることができたと思う。
74分~

 その後も互いに消耗が激しそうなポジションの代替的な性質のカードを切る。札幌は83分に菅⇒中野、東京は82分にディエゴ⇒ジャエル、88分に東⇒三田。
 展開は大きく変わらない。札幌はオープンな展開からカウンターで横幅アタック、東京はよりボールを保持して、緩い札幌守備のゾーンの合間を突いていく。スコアは動かず。

6.雑感


 東京の試合の入りは見事だった。対する札幌は、ここ数試合と同様にジェイの個人能力にかなり頼った組み立てをしてくると思ったが、それは「しなかったし、できなかった」。東京のハイテンションが90分続くことはないので、そのガス欠を待つような戦略もありだが、基本的にジェイを起用するとビハインドを追いかける展開では厳しくなる(前線からの守備でボールを回収できないので、所謂ポゼッション型の試合展開よりも守ってダイレクトにカウンター、とする展開になりがち)。その意味では、後半早々に追いつくことができたのは非常に僥倖だったし、前半序盤から東京の圧力に押されて失点⇒そのまま逃げ切られるという最悪のシナリオも十分に想定できた。

 試合後、長谷川健太監督が言っていたのは「札幌戦はいつもこのようになる」。互いに噛み合わないシステムの状態で相手に忖度せず、そのギャップがをお互い利用して攻撃することを優先すると、この試合のようなオープンで、制御できない展開になる。一方ミシャは「面白いサッカーを見せられた」との総括だったが、素人目にはお互い防具もつけずに全裸でどつきあっているような試合に見えた。そのオープンな状態で殴り勝てる自信は札幌のストロングポイントの一つだが、首位を走る東京相手には完全に崩しきるには至らなかった。東京の堅牢さもあるが、ノーガードで殴り掛かるだけでなくもう一工夫が欲しいところだった。


用語集・この記事上での用語定義


1列目守備側のチームのうち一番前で守っている選手の列。4-4-2なら2トップの2人の選手。一般にどのフォーメーションも3列(ライン)で守備陣形を作る。MFは2列目、DFは3列目と言う。その中間に人を配する場合は1.5列目、とも言われることがある。ただ配置によっては、MFのうち前目の選手が2列目で、後ろの選手が3列目、DFが4列目と言う場合もある(「1列目」が示す選手は基本的に揺らぎがない)。攻撃時も「2列目からの攻撃参加」等とよく言われるが、攻撃はラインを作るポジショングよりも、ラインを作って守る守備側に対しスペースを作るためのポジショニングや動きが推奨されるので、実際に列を作った上での「2列目」と言っているわけではなく慣用的な表現である。
サリータ・ラボルピアーナセンターバック2人の間にセントラルMFの選手が降り、計3人で3バックの配置にしてからビルドアップを行うこと。相手が2トップで守備をする時に3人で数的優位かつ、幅をとることで相手2トップがカバーしきれないポジションからボールを運べるようにする。最近誰かが「サリーちゃん」と言い出した。
質的優位局所的にマッチアップしている選手同士の力関係が、いずれかの選手の方が優位な状態。攻撃側の選手(の、ある部分)が守備側の選手(の、攻撃側に対応する部分)を力関係で上回っている時は、その選手にボールが入るだけでチャンスや得点機会になることもあるので、そうしたシチュエーションの説明に使われることが多い。「優位」は相対的な話だが、野々村社長がよく言う「クオリティがある」はこれに近いと思ってよい。
ex.ゴール前でファーサイドにクロスボールが入った時に、クロスに合わせる攻撃側がジェイで、守備側は背が低く競り合いに弱い選手なら「(攻撃側:ジェイの)高さの質的優位」になる。
→「ミスマッチ」も参照。
守備の基準守備における振る舞いの判断基準。よくあるものは「相手の誰々選手がボールを持った時に、味方の誰々選手が○○をさせないようにボールに寄せていく」、「○○のスペースで相手選手が持った時、味方の誰々選手が最初にボールホルダーの前に立つ」など。
数的優位局所的にマッチアップが合っておらず、いずれかのチームの方が人数が多い状態。守備側が「1人で2人を見る」状況は負担が大きいのでチャンスになりやすい。ただし人の人数や数的関係だけで説明できないシチュエーションも多分にあるので注意。
チャネル選手と選手の間。よく使われるのはCBとSBの間のチャネルなど、攻撃側が狙っていきたいスペースの説明に使われることが多い。
トランジションボールを持っている状況⇔ボールを持っていない状況に切り替わることや切り替わっている最中の展開を指す。ポジティブトランジション…ボールを奪った時の(当該チームにとってポジティブな)トランジション。ネガティブトランジション…ボールを失った時の(当該チームにとってネガティブな)トランジション。
ハーフスペースピッチを縦に5分割した時に中央のレーンと大外のレーンの中間。平たく言うと、「中央のレーンよりも(相手からの監視が甘く)支配しやすく、かつ大外のレーンよりもゴールに近く、シュート、パス、ドリブル、クロスなど様々な展開に活用できるとされている空間」。
ビルドアップオランダ等では「GK+DFを起点とし、ハーフウェーラインを超えて敵陣にボールが運ばれるまでの組み立て」を指す。よってGKからFWにロングフィードを蹴る(ソダン大作戦のような)ことも「ダイレクトなビルドアップ」として一種のビルドアップに含まれる。
ビルドアップの出口後方からパスを繋いで行うビルドアップに対し、相手は簡単に前進させないようハイプレス等で抵抗する。
この時、ハイプレスを最初から最後まで行うとリスキー(後ろで守る選手がいなくなる)ので、ハイプレスは人数やエリアを限定して行われることが多いが、ビルドアップを行っているチームが、ハイプレスを突破してボールを落ち着かせる状態を作れる場所や選手を「ビルドアップの出口」と言っている。
ブロックボール非保持側のチームが、「4-4-2」、「4-4」、「5-3」などの配置で、選手が2列・3列になった状態で並び、相手に簡単に突破されないよう守備の体勢を整えている状態を「ブロックを作る」などと言う。
マッチアップ敵味方の選手同士の、対峙している組み合わせ。
マンマークボールを持っていないチームの、ボールを持っているチームに対する守備のやり方で、相手選手の位置取りに合わせて動いて守る(相手の前に立ったり、すぐ近くに立ってボールが渡ると奪いに行く、等)やり方。
対義語はゾーンディフェンス(相手選手ではなく、相手が保持するボールの位置に合わせて動いて守るやり方)だが、実際には大半のチームは「部分的にゾーンディフェンス、部分的にマンマーク」で守っている。
ミスマッチ「足が速い選手と遅い選手」など、マッチアップしている選手同士の関係が互角に近い状態とはいえないこと。

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