1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- 恒例の?2023年の決算を参照すると、熊本は売上12億円。いわき、栃木、水戸、山口といったクラブが同程度、売上10億円を超える程度で、その上のグループが20億円前後の岡山、長崎(今はもっと上でしょう)、甲府という状況。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/club_info/j_kessan-2023.pdf
- 2022年にJ2に復帰してからの順位は4→14→12位と、大躍進(not毛沢東)の22年から河原、髙橋、杉山、坂本、菅田…とごっそり主力を失った割にはまずまずのポジションにつけており、流石は和製ビエルサ?和製ゼーマン?の大木監督といったところでしょうか。
- 開幕戦では1-4-2-3-1ないしは1-4-1-2-3の長崎に対し、相手のシステムにマッチアップを合わせてのハイプレス+ショートカウンターで長崎から先手をとります。後半に長崎が前線の外国籍選手にロングフィードを当てて起点を作ることに成功してから立て続けに3失点を喫し敗れたものの、(おそらくコンサもそうなのでしょうけど)そこまでボール保持に長けているわけではないのにボールを持ちたがるチームは格好のカモになりそうだな、という印象でした。それは22-23年くらいのコンサがJ1でそこそこ勝ち点を積んでいたのと同じような話ではありますが。
- メンバーは、開幕戦から大崎→藤井。アウェイでの開幕戦もベンチ入り7人でしたがこの日も7人のままで、またその面々も入れ替わっている(GK佐藤史騎→武者、DF李泰河→黒木、大本、小林→竹本、ペジョンミン)ので、選手が怪我しているのでこれで全てという状況ではなさそうに思えますが…。オフシーズンは中盤から前は比較的、選手を残すことに成功しているようです。
- コンサはこの週、引き続き熊本・大津町で調整し、月曜日には福岡大学とのトレーニングマッチが組まれ、中島が得点したり田中宏武がアピールしたりといった程度の情報は入ってきましたが、その中島や田中宏武だけではなく、DF右に西野、中盤に馬場、前線に長谷川と田中克幸と6人を入れ替えてきました。
- ベンチはゴニと家泉が外れ、岡田と出間が入り、競争を掲げる岩政監督がなかなか明快なメッセージを内外に向けて掲出してきた印象ですが、ゴニは切り札として残していてもいいように思えます。
2.試合展開
流動性と決め打ち:
- コンサがボールを持っている時によく見られた構図が↓。
- 「流動性」がキーワードというか一人歩きしている感のあるコンサですが、確かに西野は右DFから中継画面に映らないくらいまで、終始ポジションを変えていましたし(ですので実は↑は幾分か想像であって、西野が佐藤優也と談笑するくらいの位置までいたかもしれません。というのはないと思いますが)、田中克幸や高嶺、馬場が中央で動き回って、基本的には「落ちてくる」動きでボールを受けようとポジションを探します。
- 一方で「流動性」が言葉通りの意味ならあまりそれを感じさせない選手もいます。GKの菅野もそうですけど、大﨑とパクミンギュは前半必ずこのポジショニングからスタートしていました。
- この2人がボールを持っている時のキーマン、というか、右なら大﨑、左ならパクがまず味方に確実にボールを届けるというのが、コンサのボールを持っている時のプレーにおける前提になります。そこから、パスを受けた選手がなんらか前を向いてまた次の選手にボールを届け、最後は大嘉が裏抜けなどで熊本のDFと勝負するか、もしくは本来エース級の近藤が右から仕掛けるか、左で宏武が仕掛けるか、仕掛ける選手をおとりに使ってスペースに走り込むか…ゴール前ではやりたいことが色々あるのでしょうけど、まず敵陣にボールと共に皆で侵入しないとそれもできません。ボールだけが敵陣にあってもやりたいプレーはできないのです。
- まずコンサの問題は、パクミンギュと大﨑、役割的には菅野も含めて、ボールの出し手となるこの3人のところで受け手に”貯金”を作れないことでした。
- 「流動性」と言いますがコンサの受け手…ボールホルダーの近くに寄ってくるのは主に高嶺と馬場の2人で決まっています。
- この2人が動いているのはマークを外したいためですが、熊本はマンツーマンでついてきます。それでも永遠についてくることは不可能だし、どこまでもついてくるわけでもないので、この2人がなんとかマークを外したところでタイミングを見てボールを渡す。
- そうすると高嶺や馬場が前を向くことができ次のパスコースを探せますし、場合によっては再び受け手となる…といったプレーができれば徐々に熊本のマンツーマンを剥がせるのですが、大﨑もパクミンギュも、熊本の半代、藤井にマンツーマンで正面に立たれると、高嶺や馬場の準備が整う前に簡単にボールをリリースしてしまう。コンサの受け手の選手は準備ができておらず、熊本の選手を背負って自陣ゴールを向いた状態でしかボールに触れず前方向に前進することが難しくなります。
- 大﨑は必死に周囲の選手とコミュニケーションをとっている様子が見られましたが、おそらく大﨑のイメージでは、熊本のpressingの仕方だと、半代はGK菅野までは追ってこないので、菅野がフリーになるから菅野がもっとボールを持ったらドリブル(conducción)をして前に出て欲しい、みたいな考えだったでしょうか。
- ただ菅野はそこまでリスクを負うことは考えておらず、半代が菅野を追いかける状態を作って、引き付けて、菅野は大﨑に渡して、最終的には大﨑がフリーになる状態を作って大﨑が運んでくれ、という考えだったのではと推察します。ともかくパクミンギュも含め、コンサはこの3人のところで熊本のpressingを剥がせないので、その次の受け手の選手が苦労することになります。ここは約束事、というと岩政監督に違うんだよ〜と言われそうですが、イメージの共有くらいはないと即興では難しいように思えます
「マンツーマン」も色々ある:
- 熊本は開幕戦の長崎戦では、前線の守備の仕方は、ボールホルダーに何がなんでも強く当たる(ミシャ的なスタイル)というかは、長崎のDFにはまず持たせて、運ばせて、ボールを持っているDFが長崎のゴール前や中央から動かされた状態を作ってからpressingのスイッチを入れてボールを奪い、長崎のDFが中央から離れている(≒整っていない、崩れている)状態を作ってショートカウンター、という感じの振る舞いだったと思います。
- この日のコンサはどうだったかというと、そもそもコンサは熊本にそうして動かされる(操られる)以前に、勝手に大﨑とパクミンギュが左右に開いて中央からいなくなる。
- ここでボールを失えば、大﨑が中央に復帰するには時間がかかりますので、コンサがボールを持っている時は常にバランスが悪い状態でスタートしていたと見ることもできるでしょう。
- 奪ってからquickに攻撃したい熊本としては、コンサのDFが勝手に中央からいなくなったり、連動して他の選手もオリジナルのポジションから移動する…こうした三上GMの仰るところのコンサの”連動性”は格好のカモだったと思います。これだけ中央から離れるなら、コンサはなんのために3バックのシステムにしているのか存在意義も怪しいと感じます。
- 対する熊本がボールを持っている時の話をします。
- 岩政監督以下コンサ陣営はJ2において「圧倒して勝ちたい」ということで、相手にあまりボールを持たせることをさせず高い位置からpressingを仕掛けてボールを奪いたい、ということは2試合を消化してなんとなく見えてきました。
- ですのでコンサも熊本陣内のペナルティエリア付近からハイプレスを仕掛けます。この時の構図は↓。コンサはFWの中島が中央でステイしてアンカーの上村を背中で消して、熊本が左右どちらかのCBに渡した時にシャドーの長谷川か田中克幸がボールホルダーに当たる、というのが大体のスタートですが、
- このサイドのDFが持った時に熊本は選択肢が3つある状態で、このうち中央のDF袴田への横パスと、アンカーの植村へのパスコースはいずれも中島が見ないといけない状態というか、中島はアンカーを高嶺や馬場に受け渡せないことが多く、熊本はここでコンサのpressingを何度か突破できていたと思います。
三角形を作る:
- グラスルーツのシーンなどで、サッカーの基本として「味方と三角形の位置関係になりなさい」と言われたり見聞きしたことがある方もいるかもしれません。熊本がコンサのpressingを難なく剥がしてコンサゴールに速くクリーンに向かうプレーが何度かできていたのは、皆で三角形を連続で作るようにポジショニングするという共通理解ができているからでしょう。
- 例えば上村が持った時に、コンサは高嶺や馬場が(やや遅れて)猛烈に寄せてくるとして、必ず斜め左右のベクトルに味方がパスコースを作ってくれるので、上村ほか熊本のボールホルダーはパスコースを一から探すとか創出するということはしなくてもよい。
- DFと中盤の選手の誰に渡っても三角形の位置関係になることは不変で、コンサの”フィルター”である高嶺と馬場のところを剥がしたら、古長谷、半代、藤井の3トップがスペースに走ってスピードに乗った状態でボールを受けることが可能になります。
ゴール前の決め打ち①:
- この過程で熊本も幾分かポジションチェンジを見せるので、”流動性”を感じる方もいるかもしれませんが、熊本はコンサほど流動的ではなくパターンは決まっています。パターンが決まっているからこそ、認知(判断)もアクションも早く(速く)、その速さを活かした攻撃が可能になります。
- 具体的には、28分の半代の先制点はコンサのGKとDFの間への速いクロスボールから生じましたが、この低くて速いクロスボールは熊本の得意なパターンのようで、長崎との開幕戦でも2得点を挙げています。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 23, 2025
🏆 明治安田J2リーグ 第2節
🆚 熊本vs札幌
🔢 1-0
⌚️ 28分
⚽️ 半代 将都(熊本)#Jリーグ pic.twitter.com/1PaCnJVxPA
新10番・古長谷が流し込んでゴール!
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 15, 2025
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🏆 明治安田J2リーグ 第1節
🆚 長崎vs熊本
🔢 0-1
⌚️ 10分
⚽️ 古長谷 千博(熊本)#Jリーグ pic.twitter.com/CyJ8ikEh6l
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 15, 2025
🏆 明治安田J2リーグ 第1節
🆚 長崎vs熊本
🔢 3-2
⌚️ 89分
⚽️ 塩浜 遼(熊本)#Jリーグ pic.twitter.com/3nrdKdfedc
- これはGKとDFの間にスペースがある局面でないと難しいプレーであるため、ボールを持ってから時間をかけると守備側の枚数が揃って足元のクロスボールを味方に通すだけのスペースがなくなってしまいます。
- 熊本はここにスペースがある局面を作って常に狙っており、またゴール前ではニアに1人入って(潰れて)ファーサイドも長い距離を走って、フットサルでいうところの「ファー詰め」のようなタスクをウイングの選手が似ないます。
- 左ウイングの古長谷は70分で交代しますが、60分くらいで明らかに苦しそうな素振りを見せていました。これはそれだけ熊本のこのポジションの選手のアップダウンのタスクが大きいことの証明でもあるでしょう。
- なお熊本の1点目は非常に典型的な、熊本の狙っていたパターンだったと思いますが、コンサはニアで潰れてクロスボールが抜けて、西野の前で半代に合わせられてしまいます。
- 半代に対して西野の警戒が薄かった感じはしますが、西野だけでなくコンサは熊本がこうしたクロスボールを得意としていることが頭に入っていたのか?全体的に予測が足りない印象は受けました。
- この試合、序盤は割とオープンな攻防の応酬になる時間帯があり、コンサは右で前残りしていた近藤にボールが渡って人数関係3v3か4v4くらいの、先制ジャブをかますには絶好の場面もなくはありませんでした。
- こうした熊本のDF枚数が少なく揃ってもいない局面で、コンサも近藤から速いクロスをGKとDFの間に入れて中島が飛び込んで…とできたらよかったのですが、コンサのそれはオープンな攻防から生じた偶発的な事象だったので、近藤が前を向いても大嘉はまだゴールから離れたところにいてクロスボールに飛び込む準備はできず…で、近藤はラストパスを出せず時間をかけると熊本のDFが戻って、チャンスは潰えてしまいます。
ゴール前の決め打ち②:
- そんな速攻ができない(ついでにbuild-upもできない)コンサは、熊本陣内では、岩政監督が言うところの「ポケット」(チャネルでしたっけ?)を突く狙いはあったとは思います。
- 前提として熊本は、コンサが開幕戦で対戦した大分のように5バックが低い位置に下がって4MFと共にスペースを埋める「J2らしいサッカー」はしないので、最終ラインは3〜4枚で対応していることが多く、ワイドの近藤や田中宏武がタッチライン付近でボールを受ければ、そのうち1人のDFをワイドに持ってくることができ、その背後というか隣り合う選手との間には簡単にスペースができます。
- この際、コンサは中島が必ずファーサイドで待つようになっていて、熊本は中島を1人で対処できる屈強なDFがいないのもあって中島にも熊本のDFが引きつけられることも、「ポケット」を生じさせる好材料になります。
- ただコンサがその割にポケットを使った攻撃があまり効果的にならなかったのは、まずポケットにもっとタイミングよく受け手のパスを誘発するように走れなかったと言うことかと思います。
- 高嶺や馬場も頑張って走っていましたが、システムや人の配置を考えると基本的にはこの役割はシャドーやトップ下の選手でしょう。その意味では、田中克幸はもっとこの動きの量が求められると思いますし、高嶺や馬場もここまで走る”流動性”を想定しているなら、build-upの段階で彼らが後ろに下がらざるを得ない状況を作っていた時点で、かなり難しい絵を描いているな…との印象です。
- もう一つは出し手の問題で、やはり近藤は大分の対応ほどタイトではないですが、近藤に渡ると複数の選手が寄ってきます。そうした状況だと浮き玉のパスを使うなどしてDFを出し抜く必要があります。
ボールを晒すvs最後まで見極める:
- スコア1-0で折り返して、ビハインドのコンサは後半頭からパクミンギュ→中村桐耶。
- 冒頭に書いたようにパクミンギュと大﨑(と菅野)のところで受け手を困らせていたので、後ろをなんとかしたいという考えで中村桐耶の投入は理解できます。家泉もいませんので変えるならまず左DFでしょう。
- 中村桐耶はパクミンギュほどの落ち着きや堅実さはないですが、スピードに乗った状態ではドリブルで20-30mボールを運べる稀有な存在ですしそこに期待していたのだと思います。
- ただ、そうした中村の思い切りの良さ(危なっかしさでもある)が発揮されて欲しいはずのこの局面で、ボールを持った時の彼のプレーは消極的というほどではないにせよ、中村が熊本の1st DFを剥がす場面は45分間で殆どありませんでした。
- 70分頃に一度、中村桐耶が左から中央方向に打開しようとする選択をとりましたが、この際は熊本の左〜中央付近の選手が3、4人で圧縮してスペースを塞いで中村はストップしてしまいます。この辺の熊本のマンツーマンを捨てる臨機応変さも感心しましたが、桐耶なら3人いてもぶっちぎれることもあるので、やはり彼の本来の思い切りの良さを感じられないところはありました。
- ともかくコンサのbuild-upのスタートとなる、DFを変えて状況を打開する狙いは不発に終わります。
- 逆に49分に熊本がおひさま(らしいです)アタッカー・渡邉怜歩の見事な個人技で追加点を奪います。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 23, 2025
🏆 明治安田J2リーグ 第2節
🆚 熊本vs札幌
🔢 2-0
⌚️ 49分
⚽️ 渡邉 怜歩(熊本)#Jリーグ pic.twitter.com/2pTXKrXpaP
- まず大﨑は左足(GK菅野から見てファーサイド)を切って、なるべくゴール正面から外側の角度がないところに追いやって最後に距離を詰めて、というセオリー通りの対応を企図していましたが、シンプルにその大﨑の予測よりも渡邉のクイックネスと技術が上回っていて、大﨑が距離を詰める前に撃たれてしまい、しかも大﨑が切っていたはずのファーサイドに流し込まれて菅野にはハードなシュートでした。
- もう一つ、このプレーで指摘したいのは大﨑の頭でのクリアを中村桐耶がリカバリーに失敗したところ。
- 中村桐耶の前方向から半代が迅速なトランジションで迫ってきて、桐耶は自陣ゴールに向かってのプレーで視界も確保されておらず難しい局面でしたが、気になったのは、桐耶の選択は結果的にボールを晒すようなファーストタッチになって、ボールが身体から離れてしまったことで審判からもコントトールできていないとみなされ(ファウルをとってもらいにくい)ますし、ここでボールを足元というか体幹直下でコントロールできていれば潰されて奪われてもファウルをとって貰えたかもしれません。
- このあたりは、普段のボールを晒す持ち方をして、得意な間合いで急加速して抜き切るというDFらしくない、危なっかしいんだけどそれでも抜けてしまう彼の特性でもあるのだけど、ある種の癖みたいなのが出たと言えるかもしれません。
- 対照的に、この試合最も熊本で印象的だったのはアンカーの上村。上村は見ているとステップワークも(それこそイニエスタみたいに)めちゃくちゃ軽快でもないし、ボールタッチもちょっとガシャガシャした感じはするのですが、ボールを晒す持ち方をせずにルックアップしているので最後までコンサのpressingの方向を見て、コンサの選手がいない方向にボールを動かす選択ができる。
- 69分にコンサは中島に変えてジョルディを入れて、このやる気満々のジョルディは前線で熊本の選手1人だけでなく2人目にもプレスというか追いかけるプレーをするのですが、上村はジョルディがの動きをギリギリまで見極めてその反対方向にボールを動かすので、動きの量で勝負するジョルディ(というかコンサ前半)のpressingは虚しく空転します。
- 終盤はやはり熊本は足が止まってコンサが押し込み、2点差でもコンサは十分勝ち点を持ち帰れる見込みはあるな、と見ていました。しかし終了間際の近藤の左足シュートはクロスバー直撃(最大の決定機でした)、逆に熊本が、カウンターから半代が大﨑を惹きつけて塩浜のコントロールショットで3-0。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 23, 2025
🏆 明治安田J2リーグ 第2節
🆚 熊本vs札幌
🔢 3-0
⌚️ 90+1分
⚽️ 塩浜 遼(熊本)#Jリーグ pic.twitter.com/2fAeNd1IO6
雑感
- まずあえて雑な表現で言うと、シンプルにコンサの方が下手で熊本の方が上手かったと思います。大分と熊本は全く別のプレースタイルですが、共通しているのは、コンサに対しマンツーマン気味に対応されてDFの選手が出し手としてのタスクを遂行しづらくなると、「ボールを持ちたがる割には、ボールを持った状態から何かを産み出すほどの技術や戦術が備わっていない」というここ7年ほどの課題がJ2のステージでも悲しいほどに露見されることとなっています。
- これでコンサの方が選手の質だか能力だかは上、とサポーターが言うのは勝手ですけど、この試合を見てコンサの方が上手いはず…とコンサのフロントなのか、トップチーム強化に携わる人なのか、育成に携わる人なのかが思うなら今すぐ危機感を持つというか、価値観をアップデートしないとまずいんじゃないかと勝手に警告を発しておきます。コンサの場合、ピッチに立っている選手がよそのチームから引き抜いた選手だろうと下部組織出身の選手だろうと外国籍選手だろうと、または監督が200勝の名将だろうと気鋭の若手理論派監督だろうと、このチームは30年間まともにbuild-upができてないということが言えます。文字通りbuild-upと言いますが、サッカーではこの”土台”ができてないとそのあと全てに影響するということが開幕2試合でも示されていたでしょう。
- もうこれは誰が悪いという以前にまずこの事実を受け入れることが必要でしょうし、まだ2節ですが、今年は再構築以前に、まずは事実を受け入れる・現状認識を改めるために時間を使うシーズンになるのか、そもそも刷新された社長以下のキーパーソンは受け入れることができるか?という点にも注目していこうかと思います。15年前にコンサを去ったGK佐藤優也が三浦ヤス監督の北九州、ヴェルディ、エスナイデル監督のジェフと渡り歩いて大木監督の熊本でGKに求められる役割を遂行しながら今も現役を続けられるのも、どこかで自分に求められるプレーと現状とのギャップについて現状認識がされて、そのギャップを埋めるために彼なりに努力を続けた賜物でしょう(相変わらずポジショニングetcは怪しかったが)。
- 熊本は「速くて上手い」、開幕戦も長崎に対してスペクタクルなプレーを披露していましたが、改めて非常に感銘を受けました。速く(クイックに)プレーすると質や正確性を担保するのは難しくなりますが、組み立てやトランジションなどミスが失点に繋がるフェーズでも落ち着いて、かつ速く正確にプレーしコンサを終始振り回していましたし、終了間際の近藤のシュートが仮に決まってスコア2-1とか2-2で終わっていたとしても、熊本に対する好印象は変わりません。
- ただ夏場はこのスタイルだとキツイとは思います。もっとも我々は屋根付き空調付きの環境をアウェイチームに対しても提供するのですが…
- コンサについてもう少し掘り下げると、まず大﨑のDF起用が早くもボトルネックになりかけています。開幕戦を見ても、岩政監督はそんなにボールを持ってからのプレーにこだわりがないのかな?と思っていましたが、「J2らしいサッカー」が嫌だということで、そんなことはないようです。
- であれば大﨑、パクミンギュでうまくいかないなら、即効性のある話としては選手の自主性に任せるよりも、幾分か約束事を作るとか、もしくはこの試合では封印していましたが中島のような選手に当ててセカンドボールを拾うとか、何らか考えておく必要はあるでしょう。
- ただ思うのは、昨シーズンの英雄大﨑がかつての河合(現・C.R.C)のCB起用と似た現象になりつつあるというのは、ある意味で結局そこはGMというかフロントの、選手を編成している人およびその価値観やサッカー観が不変だから、ということも根幹にあるでしょうか。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
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