2024年8月17日土曜日

2024年8月16日(金)明治安田J1リーグ第27節 北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖 〜フリースタイル ブレイキングフットボール〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:


  • 今節唯一の金曜日開催。札幌は中5日で移動なし、鳥栖は中4日で移動ありというスケジュール。
  • 鳥栖は14節以降なんとか17位をキープしてきましたが、湘南と京都が一気に勝ち点ペースを上げたことで19位に転落。といっても数字的には17位磐田と勝ち点差4なので、これを落とすとほぼ絶望的になるコンサよりはかなりマシに感じます。
  • 夏のマーケットではMF菊池が名古屋、手塚が柏、長沼が浦和、そして横山がバーミンガム、8/8付で川井健太監督の契約解除と主にOUTの方で最も動いたチームになっています。INはFC東京からジャジャシルバ、7月加入の清武と西矢、6月加入のヴィキンタス スリヴカと枚数は補充していますが、19位のチームの動きとしてはやや心もとないでしょうか。
  • 前節浦和戦では左ワイドに20歳の楢原、トップ下には21歳の日野、左SBにはFW登録の19歳・堺屋がスタメン起用されており、こうした経験の浅い選手からなんとか可能性を見出すしかなさそうではありますが、連戦でのパフォーマンスはどうでしょうか。

  • メディアの「残留のために必要なことは?」という問いに対し、コンサの三上GMは「8月の福岡、鳥栖、磐田戦に3連勝」との回答。「必要なこと」というのはアクションとか方針を聞いているのだと私は解釈しましたが「3連勝」というのはそのアクション(インプット)に対するアウトプットなのでなんか噛み合ってない気がしますが、ともかく重要なゲームで勝ち点1にとどまり、また湘南、磐田が前節勝ち点を積んだことで、この試合は絶対に落とせなくなりました。
  • 菅が出場停止。バカヨコは登録が完了し今節から起用可能となりましたが、火曜日に宮の沢で見た感じでは軽快な動きを見せていましたし、コミュニケーションもとれている印象でした。
  • 試合前の練習では浅野が負傷し、スパチョークが急遽スタメン、空いたベンチ枠には白井を入れています。


2.試合展開

おびただしいミスマッチのツケを払う:

  • コンサのボール保持・鳥栖の非保持からスタート。コンサは前日木曜日のトレーニングで確認した通り1-4-1-5の陣形でボールを運ぼうとします(練習ではアンカー大﨑でしたがこの試合では序盤は馬場でした)。
  • 鳥栖は↓のように、福田が最終ラインに吸収気味で5枚として枚数を合わせて、前線はマンツーマンに近い対応でコンサにpressingを仕掛けたかったようでした。
  • しかしアンカー大﨑のところに河原を当てるつもりだったのでしょうけど、河原や中原、楢原が中盤の位置からスタートすると、大﨑や髙尾、パクミンギュとはかなり距離があり、鳥栖の問題はまずここにどこまで寄せたかったのかはっきりしない状態で、中盤の選手が長い距離を繰り返し走らされる構図だったことがいえます。

  • かつ、鳥栖は最終ライン4枚が中央に絞った状態でセットして、そこに福田を下がり気味に配置した形なので、タッチライン付近で待つコンサのWBやSB(パクミンギュ)に寄せることができない(もしくは寄せる気がない)。
  • なのでコンサは多少山なりのボールであってもWBへのサイドチェンジが成功する状況で、鳥栖としては前線からpressingというかハメに行ってもダメ、サイドにも振られて横幅もケアしなくてはならない、という状況でピッチ縦幅も横幅も目一杯コンサに使われる状況。「まじでコンサというかミシャのこと何も知らないのか?」と思ってしまうほど、試合の入りにおける鳥栖のこうした戦略面での選択は著しく悪かったと思います。

  • というのがシステムのミスマッチ。コンサの形はわかりきっているのにこのようなハマりずらい対応としたのは、鳥栖としては開始早々準備不足を露呈した格好で、コンサとしてはイージーな状況でした。

  • もう一つ、人のミスマッチだったのはコンサ右の近藤と鳥栖の左SBの堺屋。堺屋は去年の鳥栖ユースの10番でどうやら攻撃的な選手のようですが、少なくとも近藤のようなフィジカルに優れた選手に対して高卒新人かつ本職ではない選手を当てたのは完全に近藤をなめているのか、ガチで他に候補者がいないのかわかりませんが、このマッチアップを終盤まで放置したことで鳥栖には大きな傷口となりました。
  • 近藤はそんなにプレーの幅が広いタイプではなく、ボールを持った時の選択肢はほぼ縦突破なのでフィジカルで同等の選手とマッチアップするときついのですが(だから左サイドでも試されていたのでしょうけど)、堺屋相手だと縦突破一辺倒でもほぼ勝ててしまう状況でした。

  • 鳥栖陣内で近藤にボールが渡って仕掛けに繋がったシーンをカウントしてみると、
  1. 開始40秒、左のスローインからスパチョークがサイドチェンジ→近藤の仕掛けから雑なアウトサイドパスは失敗
  2. 8分、鳥栖右サイドのFKをコンサが凌いで自陣ボックス付近から近藤がドリブルで特攻。日野を振り切りながら80mほどコーナーフラッグに向かって進み、楢原のファウルを誘ってFK。(→FKからスパチョークのゴールで先制)
  3. 40分、右サイド高い位置で1v1。強引な縦突破からグラウンダーのクロス(鳥栖がクリアするがセカンドボールを拾ってコンサのボール保持が90秒ほど続く。最後は再び近藤が右からカットインし、河原のファウルを誘ってFK
  4. 44分、右サイド高い位置で1v1。抜き切らない状態から低いクロスを入れ武蔵がシュートを狙うも山﨑がブロック。
  5. 45+1分、GK菅野がボールを保持する際に鳥栖はハイプレスを狙うもロングボールで回避される。この流れで堺屋が戻り切らない状態で近藤が右サイドでフリー。ボールが渡ってボックス内にカットインするも河原がストップ(ただしセカンドボールを髙尾が拾ってCK)
  6. 47分、岡村のフィードを近藤が頭で落として、髙尾とのワンツーからカットイン。ボックス外からのシュートはGKパクが横っ飛びでセーブ
  7. 46分、右サイドボックス外から左足クロスは鳥栖CBがクリア。トランジションから再び近藤に渡って1v1から縦突破→グラウンダークロスも合わず。
  8. 62分、馬場のスルーパスに抜け出してGKと1v1から折り返しがゴール方向に転がるが山﨑がクリア。
  9. 69分、カットインからグラウンダークロスで4点目をアシスト
  10. 86分、縦突破から切り返して堺屋のファウルを誘ってPK

  • という具合で、上記の「2.」、コンサの1点目はセットプレーからのカウンターなので堺屋の責任ではないとして、4,5点目は完全にこのマッチアップの問題から生じていて、事実上、試合を決めたポイントだったと言えるでしょう。
  • 堺屋と近藤のところで、これだけ能力差があると、チームとして堺屋にもっと効果的な策を授けておくべき…例えばスピード勝負では厳しいので縦に行かせてクロスはマイナス方向をカット、とか、前からのpressingを控えめにして後方5-3気味の形を早く作るようにして、近藤にボールが渡る瞬間に詰めてスピードに乗らせない、とか、SHが絞るようにして縦方向と中方向を2人でケアする、とか、です。
  • ここに酒井高徳のような1v1でも負けない選手がいたら戦況は大きく変わっていたと思いますが、そうではなく堺屋を送り出すには準備不足でしたし、(監督交代の混乱?もあってか)コンサに対する情報収集も足りなかったかもしれません。

鳥栖のセンターラインの強度:

  • 近藤が縦突破に成功するなどコンサの選手がサイドで前を向いてボールを持つと、クロスボールを警戒で鳥栖のDFは後退します。この際鳥栖はマンツーマンで責任を持って1v1でマークというよりは、コンサのセンターFW・武蔵に複数の選手で対応する方針だったと思います。
  • 別の言い方をすれば鳥栖は武蔵1人に2人のDFが引っ張られることが多く、その分スペースが空きやすい状況でした。
  • ↑の3点目はコンサの前線の選手の特徴が噛み合ったプレーでもあり、武蔵が中央でDF2人を引きつける。スパチョークは武蔵とは逆方向…ゴールから遠ざかるところに動くとDFが下がる分必然とフリーになれる

  • そして最後は駒井がダイレクトで自身2点目となるシュートを決めましたが、鳥栖で気になるのはクリアボール、特にヘディングでのクリアの質。
  • この駒井のゴールもそうですし、10分のコンサの1点目、スパチョークのゴールも、富樫の頭でのクリアをスパチョークが拾ったところでしたが、クリアボールの質としてはゴール前中央方向に転がる最悪のボール。ボールに関与した選手の体勢が厳しいのはそうですが、シンプルに鳥栖はクリアが下手というか、放り込みに対する耐久性が脆弱すぎる印象で、それは2020シーズンの徳島ヴォルティスを想起させるものでした。
  • ただ鳥栖がギャップができやすい構造とはいえ、ギャップで受けてDFの間にボールを落としたスパチョークのフィーリングはこの試合冴えていて、浅野の負傷はこの試合に限ってはコンサには僥倖だったでしょう。

  • そして11分、駒井のゴールはDF山﨑→GKパクイルギュへのバックパス→福田へのパスがずれてスパチョークと馬場でインターセプトしたところから。
  • 駒井が追ったことでパクイルギュが慌てた格好でしたが、左CBの木村はバックパスの瞬間に全力スプリントでパクイルギュの左前にポジショニングすべきで(全般に日本のチームはボールを保持したがる割にこのポジションニング及び、やり直すプレー非常に雑)、連続失点ということでこれも戦況を左右する痛恨のミスだたったと思います。
  • ただ浮かせるラストパスを選択したスパチョークの判断も光るところ。宮の沢でのトレーニングでも休養明けもあってか体が切れていてやってくれそうな雰囲気でしたが、鳥栖の若いDF相手に違いを生み出していたのは確かでしょう。

鳥栖のシステム変更と前線のアンマッチ:

  • 開始3分20秒ほど、中盤で拾った河原からマルセロヒアンに浮き玉のパス。リーグ戦で12ゴールを挙げている鳥栖のエースにとってはこの試合最初のプレーでしたが、岡村の背後に走った際に筋肉系のトラブルが発生し、富樫と交代でピッチを後にします。
  • 「駅スタ」での2節でコンサのDFを粉砕した際もそうですが、ヒアンは前を向いてスピードに乗ったら独力でフィニッシュに持ち込む力がある。富樫にはそこまでのクオリティがないので鳥栖はいきなり戦略の修正を迫られます。

  • 更に16分でスコア3-0となったことで、ボールを持っていない時の対応も整理する必要が生じます。
  • 16分以降の鳥栖の形は↓。左SHだった楢原を右に回して5バックでコンサの前線と枚数を合わせます。先述の堺屋のところを考えると最初から絶対こうしておくべきだったと思います。


  • もっとも16分以降スコアがしばらく動かなかったのは、鳥栖が落ち着きを取り戻したというだけではなくてコンサが勝手にスローダウンしたというのもあるでしょう。ただ中央の3人のDFは仕事が減ってやりやすくなった印象でした。
  • あとは鳥栖としてはある程度前で奪ってショートカウンターとしたかったように思えますが、この形だと福田が前に出て枚数を合わせるにしても、常にコンサのボールを持っている選手を捕まえることは難しくなりますし、ボール回収位置を高くすることはできずしばらくは我慢の時間が続いていたと思います。

  • ボールを持っている時はこのようになります↓。4バックの形から楢原が左→右に移動したような感じですが、元々右にいたDF原田と2列目のMF中原はあまり位置関係が変わっていない。日野も左シャドーというかフリーマンか中央〜右よりに頻繁にいたと思います。
  • 要するに右サイドにはメインキャストが残っているのもあって、ここからは鳥栖はほぼ右サイドから形を作ろうと模索し始めます(あとはおそらく、DFとGK、中盤センターが皆右利きなのも影響しているでしょう)。


  • 鳥栖は最終的には前線で身体を張る富樫に当てて、セカンドボールを拾って何らかコンサ陣内でプレーしたかったと推察しますが、前3人で完結できることは稀で、WBに回った堺屋と楢原の攻撃参加を待ってクロスでフィニッシュが多かった印象でした。ただシンプルなクロスは前半はコンサのDFが跳ね返していて、シュートを撃てない時間が続きます。
  • ただ岡村と富樫のマッチアップで、富樫はあまり時間を作れない中で、もっとシャドーの選手(中原と日野)が効果的なサポートをしてあげれば、という状況でした。特に2人ともどちらかというと足元で受けたいタイプなのかもしれませんが、富樫がDFを背負うと鳥栖は裏に抜ける選手がほぼおらず、サイズと対人の強さで上回るコンサのDFが前半は楔のボールを難なく対処していたと思いますし、この前線の関係性は鳥栖としては梃入れしないと反撃が難しそうだな、と思って見ていました。

青木とパク ミンギュ:

  • ↑の図で鳥栖の楢原が高い位置を取り、シャドーの中原がボールを受けようとして下がってくると、コンサはマンツーマンでついていく関係でパクミンギュが前、青木が後ろのような位置関係になることがこの試合は多かったと思います。
  • 構造的に青木が後ろでの仕事が増える状況でしたが、青木は楢原の攻撃参加(基本的には足元よりもフリーラン)の処理だったり、岡村と富樫のマッチアップ、髙尾と日野のマッチアップのカバーリングだったりDFとしての仕事をそつなくこなしていて、スパチョークや駒井ほど印象は薄いかもしれませんが影のMOMだったかもしれません。
  • この青木とパクの前後逆転関係はボールを持っている際もそのままの位置関係でプレーするため継続することが少なくなく、この際もボールプレイヤーの青木が下がって、大外でプレーするタイプのパクがサイドの高い位置に出ていく…という関係性はやりやすそうでしたし、3-0となってからは急ぐ必要性がないので青木が後ろでボールを保持できる状況になったことは落ち着きをもたらしていたと思います。

  • あとは、コンサは近藤を走らせれば右サイド奥深くに侵入できていたので、左サイドで青木がそうした役割をしなくても、近藤さえ前に押し出していれば鳥栖のDFを押し下げること自体はできていた、という点も、ウイングのプレーをあまりしない青木を起用してもネックにならなかった理由の一つでしょうか。


1-3-1-4-2の配置に異様に弱いコンサの純粋マンツーマン対応:

  • 後半頭から鳥栖は日野→久保で2トップの1-3-1-4-2に変更。


  • マンツーマンのコンサはマッチアップが↓のように変化します。大﨑が下がってCBに。SBは鳥栖のインサイドハーフを見る形なのですが、今に始まった事ではないですがこの1-3-1-4-2というシステム相手だとどうしてもオリジナルポジションから乖離する選手が生じる。


  • 試合の入りの戦略で完全に失敗していた鳥栖のベンチがこのコンサの構造に気づいたかはわからないですが、大﨑がCBとして最終ラインに吸収されることが多くなるため、コンサは鳥栖のボール保持時に中央に馬場だけ、DFとして5〜6人が並ぶような状況が多くなり、そしてその馬場も河原にマンツーマンなので河原が下がると馬場もついていて中央からいなくなるような状況になります。
  • こうしてピッチ中央からコンサの選手がいなくなり、かつ鳥栖の選手に対するマークが外れている、DFラインに人が並んで押し上げもしない…といった状況が徐々に生じるようになると、前半ボールを持てない、拾えない状態だった鳥栖は中央で一気にプレーしやすくなります。
  • 53分に原田が富樫へ斜めのパスを入れる場面はまさにその形が現れているのでわかりあやすいと思います。コンサのDF5,6人が並んだ状態なら鳥栖DFからの長いグラウンダーのパスも”障害物”がなく通りやすくなりますし、コンサは枚数がいるだけで誰がどうマークするのかが不明瞭になっています。


難しい戦況は 絶対読めないわ〜:

  • これを受けて54分に武蔵と山﨑の接触で山﨑が傷んで中断した際に、ミシャが馬場に戦術ボードを使って何か話していました。
  • しかしその山﨑が痛んで鳥栖が1人少ない時間帯の56分にスコア3-1となるゴールが生まれる、コンサにとっては大失態を犯すことになります。

  • コンサは↓のようにスパチョークと武蔵を前2枚並べ、駒井をトップ下にして河原を見る形にして最終ラインに1枚余る、かつ髙尾とパクが本来のDFとして振る舞える形に変えていました。山﨑が負傷から復帰してもDF3枚を2人で見ることはできなくはないので、この選択自体はおかしくないと思います。

  • ただ福田→富樫と渡った時に、富樫と久保に対してDF3人が揃っていましたが、この3人で2トップを見るような想定を普段していないからなのか、髙尾が富樫、岡村が久保を捕まえてパクが余るという関係性をうまく作れず、富樫に簡単にターンを許してしまいそのまま持ち運びから中原→福田と渡って簡単に崩されてしまいました。

  • 続く59分には鳥栖左サイドで富樫がキープ→福田→堺屋のクロスに久保。

  • これもコンサの視点だと問題は基本的に同じで、富樫に渡ったところで岡村はマンツーマンならそのままついていけばいいと思うのですけど、岡村は中央にステイして富樫を近藤に任せます。すると堺屋がオーバーラップした際に、本来この担当は近藤なのですが富樫を見ていたので対応が遅れる。
  • 最後は富樫がゴール前に入ってきて、コンサのDFはそれに気を取られたか、誰を見たらいいかわからなくなったか、先ほどまで岡村が見ていたはずの久保がフリーでシュート、という状況。
  • 基本的には人を捕まえて守るという極めてシンプルなルールで運用しているはずなので、それを崩した選手が原因になるのでしょうけど、鳥栖が少し形を変えただけで大混乱に陥るというのはさすがこのチームという感じでしょうか。


今こそロンドでは?:

  • スコア3-2となりますがまだコンサがリード、鳥栖はボール非保持の際はある程度枚数をかけて対応する必要があるので極端なハイプレスはできない状況なので、コンサとしては自陣で数的優位の状況を作ってゆっくりとボールを動かして時間を使いながら、鳥栖がバランスを崩して前に出てきたところでスピードアップして(あわよくば)4点目を狙うという戦い方でよかったはずです。
  • 一応ダントツ最下位に沈むチームにそうしたスマートかつ合理的なやり方ができるわけがないのはわかっています。ただトレーニングでは毎日ロンド系の練習に20-30分ほどは割いているので、今こそロンドでしょ、と見ていたのですが…
  • ともかくコンサは青木や大﨑のような一部の選手を除いて、ボールを持ったらすぐに前に蹴るとか(例えば馬場の60-70分くらいのプレーを見てください)前で要求するので、追いつきたい鳥栖としては、勝手にボールを捨ててくれるのでコンサからボールを回収するにはそこまで苦労しない状況だったと思います。

  • 64分にコンサはスパチョーク→中村桐耶。故障明けのスパチョークが下がるのは想定内として、中村桐耶も落ち着かせるタイプでは到底なくむしろ前に突っ込んで展開をスクランブルにする選手なので、この交代カードはどうか…というところでした。
  • 配置は↓で、一瞬だけ青木のポジショニングで混乱がありましたが1人余る形を維持していました。


  • ロンドで落ち着かせる気はないコンサですが、今度は鳥栖の方から崩れてくれて4点目をゲットします。

  • 堺屋の対応(縦突破しかないとヤマを張っているような体の向きですが、それなら中は閉じれるような立ち方をすべき)は非常にクリティカルでしたが、その前の髙尾がボールを持った際に福田がふらふらっと前に出て、堺屋の前のスペースが空いて挟み込む対応ができなくなったところで近藤の仕掛けが決まっています。
  • ですので鳥栖としては戦況(コンサが勝手に慌てて崩れてくれる)を考えると、ボールを奪いに前に出るような福田の対応は余計というかもう少し慎重でも良かったはずです。


  • 74分に鳥栖は福田→清武。76分にコンサは髙尾・馬場→宮澤・アマドゥ バカヨコ。
  • このコンサの交代はコンサのCKの際に行われ、鳥栖のクリアを拾っての二次攻撃の際に青木のパスミスから鳥栖のカウンター。一度はストップしますが、バカヨコから鳥栖が再び奪ったところから4-3となるゴールが生まれます。

  • 清武は左のインサイドハーフに入っていましたが、この時は流れの中で得意な位置(右ハーフスペース)に流れてきました。コンサは駒井の担当だったと思いますが、トランジションが連続するカオスな状況で対応は難しかったと思います。
  • 個人的には清武はあの位置を得意としているというか、ボールが渡った瞬間に既視感というか予感のようなものがして、堺屋のクロスへの入り方も清武からは絶対ボールが出てくるとわかっているかのような感じでしたがコンサのDFの予測はどうだったでしょうか。ともかく堺屋が近藤に(2度目の)やり返す格好でまたも試合はわからなくなります。

  • 互いの配置はこんな感じになっていて、疲労もあってプレーの精度や判断が雑になるのは仕方ないにせよ、コンサはバカヨコ(アマドゥ呼び推奨らしいですが)がトップ、武蔵と青木がシャドーで、鳥栖のアンカー河原をフリーにするという、この試合の推移を考慮するとちょっと不可解な配置になっていて、かつバカヨコに何がどこまでできるのか不透明なこと、対照的に計算できるはずの宮澤も落ち着かせるというより前に蹴って走るようなプレーを繰り出すこともあって、最後までギャンブル性の高い展開だったと思います。


  • ようやく試合が決まったのは、計9ゴールのうちそれぞれ2ゴールに直接関与することなる、近藤と堺屋のマッチアップから。
  • 86分のPK獲得の構図は、70分のコンサの4点目と似ていて、これも福田が前に出てコンサのDFに圧力をかけてボールを回収しようとしたところをコンサが剥がして、堺屋と近藤の完全な(サポートのない)1v1を近藤が制したところでした。
  • 先の4点目のところでは、福田について「もう少し慎重でも良かった」と書きましたが、この時間帯になるとかなり体力的には厳しい中で、焦るというか前に出たくなる気持ちはわかります。
  • ただやはり鳥栖はそうなると、DFが1v1である程度対処できる前提になりますし、中盤3枚のうち前に出てコンサのDF3枚に枚数を合わせて圧力をかける役割は、よりフレッシュな清武でも良かったかもしれません。


雑感

  • 互いに20位と19位の位置にいる理由をフリースタイルで体現し合う名勝負でした。
  • 記事中にも書きましたが、Jリーグでは簡単に放り込んで何かが起こるのを期待するチームが一定数あるので、鳥栖はそうしたプレーにDFやセンターラインの選手が対処できるかが残留へのキーになりそうです。
  • コンサはなんというか…全般に選手の運動能力を前面に押し出して戦っているので、暑さが続く9月末くらいまでのアウェイゲームが来週早速磐田と、9月に町田でありますが、やはりこれらは苦戦しそうに思えますし、間に挟まっているホームゲームでとにかく勝つということになるでしょう。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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