2024年7月21日日曜日

2024年7月20日(土)明治安田J1リーグ第25節 浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌 〜ピッチは空模様を映す鏡〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • 浦和はDFの大畑がU23日本代表に招集中。夏のマーケットで酒井とショルツが移籍し、前線は中島翔哉と安部、リンセンが負傷中。アウトサイドの選手として本間至恩と二見が加入しましたが、大久保、松尾、前田といった選手もまだ100%ではないということで、渡邊凌磨が左ウイングだけでなくインサイドハーフでもフル稼働という状況(こんな感じで、だいたいどのチームも10人くらいは離脱者がいますよね)。
  • ショルツが抜けてからの4試合は名古屋、磐田には完封勝利したものの、ここ2戦はホーム(駒場)で湘南相手に2-3⚫︎、アウェイで京都相手に0-0と降格圏のチームに勝ち点を配っている状況。グスタフソンの欠場は前節途中交代の影響でしょう。

  • コンサはこの週、4人目の新加入選手:「左のDF/WB」が水原FCから加入のパク ミンギュ、5人目:「浅野のような裏抜けが得意なシャドー」がFC琉球から加入の白井陽斗と発表され、それまでの加入分と合わせて大﨑、ジョルディサンチェス、フランシスカン、白井は登録が完了したという状況。ジョルディは紅白戦にも参加しており、「思ったより動けている」ということでこの試合の遠征メンバーにも帯同しています。
  • 他、宮澤は5/19柏戦以来のメンバー入り。近藤も6/23の横浜FM戦以来ぶりに帰ってきたところです。

2.試合展開

膠着の30分(①全然ボールを運べない浦和):

  • 今回も「ペナルティエリア内でのボールタッチ」を特にピックアップすべきプレーとしつつ振り返っていきたいのですが、37分にセットプレーから岡村のゴールでスコアが動くまでは、互いにそうした「特筆すべき局面」を迎えることは稀で、膠着状態のまま時間が過ぎていきました。
  • なおコンサ(ミシャ)はセットプレー練習は特にしないという話ですけど、キッカーに対して相手の守り方は情報としては伝えられているようです(田中克幸のインタビューでそんな話をしていました)。この青木のアシストも、ゾーンの純度高めでマークにつくのが遅れる浦和に対して刺さる、低くて速いボールで狙い通りだったのではないでしょうか。

  • 浦和はボールを持っている時は初期配置を崩さず1-4-2-3-1の陣形でスタート。配置や初期状態からのアクションで特筆するとすれば、左の渡邊凌磨と中央の武田は多少入れ替わっていることもあるのと、中央には伊藤か安居が適宜出てきて、どちらかが臨機応変に”グスタフソンの役割”を担えばいい、という考えだったと思います。
  • プレーや振る舞いに関して特筆するならば、浦和はかなりボールを大事にする意識はあったといえ、GKやCBへのバックパスを積極的に使って、コンサの2トップの武蔵と青木を自陣ゴール付近でリスクを冒しながらも引きつけて、その背後で誰か(というか伊藤か安居ですね)がボールを受けて前を向いた状態から、中央からボールをコンサ陣内に運びたかったのだと思います。

  • しかし浦和は伊藤と安居のどちらもグスタフソンの役割ができないというか、中央でボールを受けてターンをして前方向に展開できたことはこの試合、非常に稀だったと思います。
  • あくまで参考ですが、パスソナー↓を見ると、伊藤は自分の前方向の選手にほとんどパスを成功させていない。安居は60分でピッチを後にしており、それまでに渡邊凌磨には何度かパスを通していますがボールタッチ数は22。フル出場したホイブラーテンと井上のCBコンビと単純比較はできないのですが、彼らは80程度のタッチ数でその多くはDF同士のパス交換である。伊藤と安居もそうですが、浦和はまずDFがほとんど前方向にボールを運べていなかったということがなんとなく伝わるでしょうか。
  • これは安居や伊藤がこのシチュエーションでターンが上手いかどうかとか、縦パスを通せるかどうかとかいった個人の能力も論点になりますが、加えて浦和の場合はコンサのマンツーマンの対応を混乱させるようなローテーションの仕組みにも乏しかったと思います。
  • 浦和のDF/中盤センターの選手の中で最もボールを運ぶ能力がありそうだったのが右の石原で、浦和のボール保持機会はCBやGKにバックパスした後、①中央に縦パスを通せずサイドに迂回して石原がなんとかしようとする(斜めにドリブルして中央方向のスペースを使うおうとする)か、②GK西川が松尾や、その前方のスペースにロングフィードをするしかなかったと思います。

  • その松尾はセンターFWとしてはやはり、裏抜けや、オープンな展開で岡村に向かって仕掛けるなど限定的な仕事しかできず、14分に武田のスルーパスから抜け出してシュートという局面はありましたがコンサとしては難なく対処できていたと思います。
  • 特にコンサのマンツーマンの対応でDFやMFが前を向いてボールを運べないので、浦和は所謂シンプルに蹴る、という選択をどうしても取らねばならず、その際にFW松尾だと味方がセカンドボールを拾えるような状況を作ることは難しいですし、せめてイーブンな局面を作れるといいのですがそれも難しそうで、ルーズボールを拾ってややオープンな状態から前に運べていたのは、(後半展開がぐちゃぐちゃになるまでは)コンサの側だったと思います。

  • 前半、浦和がコンサのボックス内またはその付近でプレーできたのは、
  1. 7分、大久保→松尾へのスルーパスを菅野がクリアしてのスローインから、石原→大久保と再び右サイドに展開して、伊藤がバックステップで馬場から遠ざかりながらボックス付近で大久保のスルーパスを受けてターンを試みますがカバーの岡村がブロック。
  2. 11分、自陣で安居が馬場に潰されながらも伊藤に繋いで、伊藤がドリブルで中央を運んで左の渡邊凌磨へ。渡邊がボックス付近まで運んでから右に展開し、石原のクロスに渡邊凌磨がヘッド、菅野が横っ飛びでセーブ。これがコンサのFW背後で前を向けた数少ない場面でした。
  3. 14分、コンサのクロスを石原が胸トラ処理→コンサがマンツーマンの体制を整える前に西川スローから安居が前を向いて中央を運ぶ→武田のスルーパスに松尾がボックス内に侵入しますが左足シュートは枠外。
  4. 19分、コンサが岡村の縦パスを武蔵→駒井でフリックを狙うも失敗し浦和が回収してカウンター。武田→松尾でボックス内侵入から、渡邊凌磨が左足で狙うも力なくGK正面。
  5. 飲水タイム明け25分、西川のフィードを安居が岡村と競り、セカンドボールを大久保が回収して、コンサDFが揃わないうちにボックス内へドリブルで侵入。平行方向へのラストパスから渡邊凌磨が正面でシュートも岡村がブロック。
  6. 30分、松尾と岡村が競り合ったセカンドボールを安居が拾い、大﨑のチャージを受けながらもドリブルで運んで大久保へ。中央に走り込んだ伊藤がボックス付近でシュートも戻っていた駒井がブロック。
  7. 44分、コンサの浮き玉のパスを自陣で関根が回収、トランジションでコンサが戻り切る前に渡邊凌磨が50mほどドリブルで運んでボックスすぐ外からシュートもGK菅野の正面。

膠着の30分(②ゴール前までは到達できないコンサ):

  • 対する、コンサがボールを持っている時の状況としては、浦和はコンサほど高い位置からpressingを仕掛けてくることはなく、2トップ(武田が松尾と並ぶ)の位置はセンターサークル頂点より少し前くらいと所謂ミドルブロックで、コンサは岡村と大﨑(この日は岡村の隣からスタートすることが多かった)はボールを持っている時にそこまで追い込まれる局面は少なかったと思います。
  • ボールを持っている時の初期配置からなる構図は両者とも割と似ていて、2CBがいかに相手の2トップの背後にボールを届けてターンさせるか、がコンサも「できるならやりたい」形だったと思いますが、アンカー(コンサでは馬場)にあまり縦パスが入らない、ターンができないのも共通していて、この点ではあまり浦和とコンサには差はなかったと思います。

  • 差があったと言えるのは、コンサは青木がフリーマン的に積極的に持ち場を離れて下がってくるのですが、この青木をどこまで捕まえるかを浦和ははっきりと決めてないというか放置することが多く、アンカーのところで前を向けない問題をコンサはもう1枚(青木)を投じることで解決していたといえます。
  • そして浦和の対応は、5トップで幅を使ってプレーするコンサに対し、4バックと中盤センターの2人をなるべくステイさせて、コンサが多用するサイドチェンジで浦和のSBが引っ張り出されてスペースが空いた時に、中央の選手がスライドしてカバーできるように備えていたのが狙いというか意図だったと思います。

  • ですので浦和は前の4人(2トップとSH)はボールホルダーに割と食いついてくることもあるのですが、後ろの6人がステイする意識が強くて、前の4人をコンサが一度剥がした状態になる(青木を使うほか中村桐耶もドリブルで剥がそうと頑張っていました)と、4人と6人でやや分断気味になることもあって、そのギャップでコンサは前を向いてプレーすることができていたと思いますし、浦和の対応は、食いついてくる前の選手とステイする後ろの選手でやや連動性に欠ける印象でした。
  • ↑の図に示したのですが、ステイする浦和の選手の周囲のスペースがコンサにとっては使いやすい、ボールを受けやすいところで、前線の武蔵、駒井、青木がこのスペースでプレーできている時は浦和としては嫌というかやりづらかったと思います。

  • ただ先述の通り、浦和は自陣ゴール前に枚数を残すための対応をしていたので、ラスト30mより手前ではコンサは多少ボールを持てたかもしれませんが、肝心のラスト30mは浦和はしっかり守っていたと思います。
  • 特にコンサが大外から中央に放り込むクロスボールは、浦和はゴールエリア付近を簡単にオープンにしませんし、武蔵はホイブラーテンがしっかりブロックしているのでクロスボールに合わせて身動きもとれない。
  • 前半、コンサが浦和のボックス内またはその付近でプレーできたのは、
  1. 上記、浦和の項目で述べた11分の浦和のチャンスの際に、クリアボールを前残りしていた武蔵が左サイドで拾って突進→数的同数カウンターで駒井→浅野と繋ぎますが浅野が潰されてシュートを打てず。
  2. 13分、浅野が右からカットイン、武蔵のフリックに駒井がボックス付近右サイドで抜け出しますがクロスはカットされCKに。
  3. 32分、ボールが主審に当たってのリスタートから、駒井が攻撃参加した大﨑とワンツーで浦和のDF-MF間に侵入、平行パスから青木がボックス付近でシュートもブロック。
  4. 33分、トランジションから中村桐耶が左サイドをオーバーラップ。浦和のDFが揃う前にカットインから右足シュートもブロック。
  5. 35分、右サイドから得意の?フリックとワンタッチを使って浦和のMFのラインを越えることに成功。馬場→菅への長いパスが通ってCK獲得(このCKから先制)。
  • という感じで、コンサもセットされた状態の浦和を崩した局面は、上記の35分のプレーくらいで、2本のシュートはいずれもDFにブロックされGK西川を脅かしたものではないなど膠着状態だったと言えるしょう。

命取りとなった2つのエラー①:

  • 雷による中断(後半開始の遅れ)の前後で、浦和は試合を決めるレベルに重大な致命的なエラーが生じて自滅したという印象です(いや、試合は決まらなかったんだけどね…)。
  • 一つは45+2分の武蔵のゴールの際に石原が残ってしまってオフサイドトラップを失敗したこと。ここまでボールを運んだり、縦に突っ込んでくる菅に対応したりと石原は負荷が高めだったと思いますが、この局面はシンプルに気を抜いたというか裏へのパスを予測していなかったように見えました。
  • なおセルフジャッジ云々も言われていますけど、井上はこのシチュエーションでかなりベストに近い対応だったかなと思います(井上の視点では完全に武蔵はオフサイドでしたしこれ以上の反応速度は難しいでしょう)。


命取りとなった2つのエラー②:
  • 0-2で後半は浦和がラッシュをかけてくるか、と思いきや雷雨で後半キックオフが45分遅れる事態となります。この中断がフィジカル的にリカバリーになるとするなら、普通に考えたらマンツーマンで消耗が早いコンサの方に優位なような気がしますが実際はどうなのかはわかりません。
  • 2つ目のエラー(ミス)は、後半開始時のヘグモ監督の選択。武田を下げてチアゴサンタナを投入で2トップに移行し、中盤は大久保をトップ下とする1-4-3-1-2(1-4-♢-2)とします。
  • しかしこのシステム変更が浦和は全くハマらず傷口が更に広がることとなりました。ただこれは浦和のエラーでもあるけど、システム変更に対してコンサの選手が予想外の対応力を見せたとも言えるかもしれません。


  • 浦和の狙いはいくつかあって、まずボール保持時に中盤をダイヤモンド型の4枚にすることで、コンサが前半と同様の配置ならアンカーのところがフリーになれる。

  • 逆にコンサがボールを持っている時に、この日のコンサは大﨑が下がって中央2-1の枚数関係で始まるので、そこにマンツーマンで対応できるようにした、ということもあったと思います。
  • あとは最後のシュートだけではなく前線で起点を作るために純粋なセンターFW(サンタナ)が必要、というところでしょうか。

  • 後半はコンサボールののキックオフでスタートします。おそらくキックオフ時点では、サンタナが入って松尾の立ち位置を見ると2トップか?とは思ったでしょうけど、浦和が1-4-3-1-2になっていることは判別することが難しい状況だったと思います。
  • 後半立ち上がりは、コンサは浦和のボール保持の局面で↓のような感じで対応していました。おそらく駒井と馬場は前半とマーク対象が変わらないので違和感はなかったと思います。
  • 逆に髙尾はマーク対象が渡邊凌磨なのは変わらないけど、その振る舞いは前半と違って中盤の選手の一角となったので、自分のマークでいいのかは迷うところがあったかもしれません。どこまでついていくか考えているような場面もあり、その際は渡邊がフリーになっていました。

  • 浦和のエラーというかヘグモ監督がコンサを舐めていたというか、読み違えていたというか…なのですけど、おそらくヨーロッパのチームだと相手の配置を見てどこを空けてはいけないか、という考え方をする。
  • ただコンサはそういうチームと異なり、とにかくマンツーマンでマッチアップを合わせることを考えているので、このシステム変更だと安居-駒井のマッチアップは前半と変わらないし安居は前半からアンカーっぽい振る舞いだったのもあって、駒井のところで対応を迷わせる効果はなく、コンサの2トップの背後で前を向くという試みは失敗に終わります。

  • ですので浦和としては、アンカーのところに安居ではなく別の選手が降りてくる(たとえば大久保とか)だとコンサは対応をより迷ったかもしれませんし、あとは後半開始時からシステム変更せずにわざと3分くらい経ってから変更する、みたいな対応があっても良かったかもしれません。
  • あとは浦和はボール保持の際に毎回GKやCBに戻して整えてからプレーするのですが、もう少し全体的な展開のスピードがあればマンツーマンのコンサがマーク確認をする時間を削ることにはなったかと思います。浦和は毎回”整った配置”から始めるために時間を要しますので、その際にコンサもマーク確認を都度行える状況ではあったので、中村桐耶が下がって岡村とCB2人になって対応することができたのはこの要因もあったでしょう。

  • システム変更の影響もあってまだお互い慎重さを感じた51分にコンサが3点目。
  • 一連のプレーは、浦和のボール保持で渡邊凌磨が浮いて西川からパスを受けてターン成功。ここまでは良かったのですがサンタナへの縦パスを岡村が潰してコンサのカウンター。一度スローダウンしてDFに戻し、中村桐耶の縦パスから右に展開して浅野→髙尾→駒井、という流れ。

  • このプレーもそうなのですが、浦和が1-4-3-1-2となって中村桐耶が左CBのような役割が多くなってからは、浦和がサイドの高い位置に人を置かなくなったことで中村の前方(というか厳密には左前あたり)にスペースができやすくなって彼のボールを運べる能力が活きる展開になります(特にマッチアップする右側のFWがサンタナだと尚更)。ここは浦和のシステム変更が寧ろコンサにプラスに作用した点だったと言えるでしょう。

  • あとはこのゴールの場面でいうと、1-4-3-1-2の浦和はDFラインの前を守る意識が安居以外は希薄で、渡邊は多分ここは頑張って戻ってスペースを埋めないと中央1枚か2枚になってしまうのですけど、急造布陣ということもあってかそこまでは求めるのは難しい状況だったかもしれません。
  • 57分の武蔵の2点目のゴールの際も、自陣ゴール前での浦和の対応は不明瞭で、
  • ↑の切り抜きでは見切れているのですけど、コンサのボール回収から髙尾が浦和陣内に運ぶところから。

  • これもスローダウンして浦和が撤退での対応になるのですが、この局面(図は忠実に作ってないです。実際には大久保が下がってカバーリングしようとしている)も渡邊凌磨-安居-伊藤のユニットが中央を閉めることに専念するのか、サイドに張る選手に渡邊が出ていかないといけないのかが不明瞭で(関根は駒井が気になって出ずらい)、コンサは構造的に馬場のほか、浅野や髙尾が浮きやすい状況だったということを考慮する必要があるでしょう。

前に出る以外の振る舞いを知らないことから空模様は混沌と:

  • スコア4-0となって浦和は選手がセンターサークル付近に集まって話し合っていましたが、おそらく渡邊をトップ下とする1-4-2-3-1か1-4-1-2-3に戻したようです。もっともへグモ監督も同じことを考えていて、61分の選手交代で4選手を投入し↓とします。コンサは浅野→近藤。

  • ここから試合は動くというか、カオスになるというか、浦和が意地を見せるというか、で3ゴールが入る展開になるのですが、61分〜76分の時間帯で浦和がコンサの1stディフェンスを突破した展開を見ていくと、
  1. 63分、左SB渡邊→右IH伊藤への斜めのパスが入り、伊藤がスラローム的に馬場を振り切ってドリブルでコンサ陣内に侵入。
  2. 64分、渡邊のタッチライン沿いのパスにサンタナが抜け出し、ボックス左からクロス→二田のヘッドがクロスバー直撃。
  3. 70分、コンサがトランジションから駒井が浦和陣内に単独で侵入しますがストップされトランジション。コンサが整う前に小泉→サンタナのポストプレーから右の二田→石原が長い距離を走って追い越してシュート。
  4. 72分、伊藤が右サイドタッチライン際に飛び出しから二田のクロス。セカンドボールを小泉がボックス内でボレーシュート。
  5. 75分、本間がセンターサークル付近まで大移動からフリーになり札幌陣内に侵入に成功。左への展開から渡邊凌磨がボックスすぐ外の位置でシュート→DFブロックでCK→浦和の1点目(サンタナのヘッド)。
  • という感じで、浦和がコンサを崩したというかは、トランジション等の際にダイレクトにプレーする、スピードアップすることでコンサ陣内に侵入していたと思います。それまでの時間をかけて陣形を整えてからコンサのpressingを剥がすというやり方はかなり希薄になっていました。

  • 78分にコンサは長谷川、宮澤、ジョルディを投入。


  • 81分に二田の見事なゴールでスコア2-4となります。
  • コンサはサンタナに対応していたのが岡村ではなく髙尾。岡村は何をしていたかというと、直前のプレーでインターセプトしたところから相手ゴール前まで突っ込んでいて戻れない状況(宮澤→ジョルディのスルーパスは合わず)。この得点もやはり剥がしたとか崩したというかは、DF側のエラーとボール保持側のダイレクトな選択から生まれたものでした。
  • この2点目が入る前後、コンサにがボールを持っている際に見られたプレーをいくつか列挙すると、
  1. ジョルディがファーストタッチで見事なコントロールからキープ→宮澤に戻して「落ち着かせよう」とのボディランゲージに見えるが、宮澤はダイレクトで左の菅の前方のスペースに蹴って菅を走らせる。
  2. 左サイドでのキープから中村桐耶にリターン。浦和は全員が撤退している状況で中村はバックパスではなく斜め前方向(中央方向、浦和のゴールに向かう方向)へのドリブルを選択。
  3. 左サイドで抜け出したジョルディは股抜きからゴールに向かう仕掛けを選択。
  4. 右サイドのスペースで抜け出した近藤は縦突破からクロス。
  • …という感じで、もちろんこの間にバックパスしたりもあるのですけど、スコアと状況的にもっとスローダウンでもいいところで全然そうした選択を取らないコンサでした(まぁだからこの順位なんでしょうけど…)。84分に交代で入った田中克幸だけは、多分彼の選手特性もあって他よりもスピードを落としてプレーできていましたが。
  • そして85分に浦和のCKの競り合いから馬場のタックルがVARを経てPKとなるのですが、このプレーも中村桐耶が最終ラインから持ち運びを図ったところをサンタナがつついてのボールロストから。
  • 2点目の岡村もそうなんですけど、build-upがろくにできない浦和に対してコンサはDFが勝手にいなくなったり必要ないところで前に急いでボールロストして、浦和が前に出ていける状況を自分たちから提供していたと思います。

雑感

  • 不安定な空模様に負けじと混沌としたゲームでした。まず浦和はヘグモ監督は狭く守りたいタイプなのか、キックオフ時でも35度近い気候を考慮してもいたのか、理由はいろいろ(三上GM風にいえば「等々」か)あるのでしょうけど意図的にプレースピードを下げていました。
  • しかし日本のチームはだいたいそうですが、相手が(特にマンツーマンで)セットした状態で剥がしたりスペースを作ってプレーすることは、特にグスタフソンやショルツのような選手がいない状況ではかなり困難であること。またGKやCBにバックパスして整えてからプレーするのはいいとしても、その整えるまでに時間がかかりすぎてちょっと難しいな、という感想でした。

  • コンサはそんな浦和のなんともいえない時間帯を突いて4ゴールを奪いましたが、サイド言及するなら1点目をアシストした青木でしょうか。やはりキックの精度は抜群で、脈略のないところからでも決定機を作ることができる能力は頼りになります。

  • 残り14試合でコンサは現状勝ち点15。17位に浮上した京都が24試合消化で勝ち点25ということで、このあたりをベンチマークとして、やはり残留のためにはだいたい勝ち点38、得失点差で圧倒的に不利なので勝ち点39くらいが必要とすると、残り14試合で24ポイントくらいは必要でしょう。
  • そうすると14試合で7勝3分4敗ならちょうどこの24ポイントになりますが、そもそもミシャ政権でこのペースでポイントを積んだ実績はないので(J1優勝くらいのペースですし)、普通に考えればミッションインポッシブルでしょう。
  • それでも諦めないとして、上記のペースで残り試合を適当に皮算用すると、
  1. 8/7 Aマリノス:△
  2. 8/10 H福岡:○
  3. 8/16 H鳥栖:○
  4. 8/25 A磐田:○
  5. 9/1 H川崎:△
  6. 9/14 Hヴェルディ:○
  7. 9/21 A町田:⚫︎
  8. 9/28 H京都:○
  9. 10/5 Aガンバ:⚫︎
  10. 10/19 A名古屋:△
  11. 11/3 Hセレッソ:○
  12. 11/19 A湘南:○
  13. 11/30 A広島:⚫︎
  14. 12/8 H柏:○
  • こんな感じの戦績なら勝ち点+27という状況。他の降格圏のチームの出来にもよりますが(直接対決もあるし)、今後はこれを頭に入れてシーズンを追っていくこととします。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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