2020年3月25日水曜日

2020年3月21日(土)トレーニングマッチ 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌 ~そもそも論~

0.スターティングメンバー

スターティングメンバー
  • この1・2本目の後で35分ハーフの3・4本目も行われている。そこでの選手起用(全く出ていない選手がいる)から予想すると、札幌ではソンユンの他、宮澤、中野、進藤、鹿島では奈良、杉岡、内田、土居、白崎といった選手は起用を回避すべきコンディションなのだと推察できる。鹿島はリーグ開幕戦では土居が中央でアラーノは右のMFだったが、この日はアラーノが中央、右には荒木。ただ途中からは和泉が右、荒木が左になってもいた。
  • 裏を返せば、他はほぼベスト。札幌では何と言っても、最終ラインンにいる駒井が注目。進藤は無理でも、濱も早坂もいるので、我らが天才監督ミシャは本気で「CB・駒井」を検討しているということになる。

1.両監督の頭の中を予想する

  • 「単なる練習試合」なので、あまり堅苦しく考えずにいきたい。普段見られる、勝つための駆け引きなどは最小限なのだろうと想定する。
  • 基本的には両チームとも、キャンプから取り組んでいる戦い方を確認しながら実践する場として位置づけていたはず。共にリーグ開幕戦を落としており、鹿島はルヴァンカップ、1発勝負のACLプレーオフでも敗れているので公式戦で勝ちがない状況。
  • 札幌についてはもう少し突っ込むと、リーグ開幕戦の柏戦では前線からの守備(「ハイプレス」と言われているが)が機能せず、高い位置でボールを回収したり、相手のボール保持を阻害してからボールを回収したり、とする場面が少なかった。
  • うまくいかない状況でとりうる選択肢は4つ。①選手を変える、②やり方を変える、③選手もやり方も変える、④何も変えない。ミシャは安易に「戦術(やり方)で負けた」と認める男ではない。よって筆者は開幕戦後に、選手の入れ替えを予想していた。具体的にはトップのジェイに変えて「もっと動ける、1stディフェンスができるFW」、それが武蔵だとするなら、武蔵の位置に好調が伝えられていた金子が入るのでは?と考えた。この試合、トップにはロペス。シャドーは武蔵のままだったが、やはり「お前らもっと走れるだろ」なメンバーできたな、という印象だ。
  • 本来左利きを置きたい右シャドーに右利きの武蔵。中盤は左利きの高嶺が右でプレーすることが多かったが、恐らくこれはシャドーとの関係によって意図的に配置されている。高嶺が右寄りの位置で持った時に、左足側にボールを置いてからスムーズに左サイドへフィードできるようにし、ボールをワイドに動かしていきたいとの狙いだっただろう。

2.基本構造

2.1 荒野の背後のアラーノ

  • まずは札幌のボール非保持の状況から。やはりハイプレスを何とか形にしたいのは伝わってきた。
  • その構造は、柏に粉砕された開幕戦からあまり変わっていない。中央を閉じてから、相手の攻撃のサイドが決まると、人(パスの受け手の候補になる選手)を1人ずつ捕まえていく。開始40秒でいきなりこの形が決まって、三竿のミスを誘ってCKを奪取する。
  • なんでここまでこれに拘るのかと言うと、相手のDFや中盤センターの選手がボールを持った時に奪取できると、「こちらはゴール方向に向いた状態で複数の選手が前にいる状態、相手は攻撃方向に背を向けて、しかも本来ゴールを守る時のポジションから乖離した状態(例えば、DFは4人が横に拡がって中央に人がいない)」から攻撃を仕掛けることができるから。平たく言うと、決まった時のリターンが(一般には)でかい。
  • この日の札幌の中盤は荒野と高嶺の組み合わせ。今や中盤の核になりつつ前者と、ルヴァンカップで上々のプロデビューを果たした後者は、共に、「人に強い」共通点がある。金崎夢生にも怯まない姿勢が喝采を浴びた高嶺だが、人だけでなくてスペースを見なくてはならないシチュエーションでどこまでやれるか、は今後注視したい。
※3枚紙芝居 札幌のハイプレスの構造
  • ミシャはパスの受け手を潰すことで、ボールを敵陣で奪いきることを要求していると考えられる。だから荒野も高嶺も、目の前にいる小泉と三竿にかなり近づいて、いつでもボールが渡ったらすぐに寄せて前を向かせない姿勢を見せる。
  • 一方、その背後(紙芝居の3枚目に青い四角で示した)、アラーノのオリジナルポジション周囲にはスペースができやすい。アラーノは開幕戦を見た限りだと、前を向いた時の速さに特徴がありそうだ。中央のエリアでMFとして起用された時に何ができるのかはまだ見えていないが、札幌にとってこのスペースは、柏の江坂によって1ヶ月前に攻略されたスペース。ここが空くのはわかっているけど、練習試合ということもあってか、まずは突っ込むことが要求されている。
  • 中盤以外に目を向ける。まず、トップは中央を切りながら、相手のGKやDFにボールが供給されるとすぐにプレスのスイッチを入れてくれる(もしくは連動性を損なわない)ことが要求される。やはりジェイだとどうしても、どこかで休んでしまうので、武蔵かアンデルソン ロペスだとどうなるかを観察してみたかった、ということだろう。
  • 結論からいうと、アンロペはこの役割をかなり忠実にこなしていた。鹿島ボールに切り替わった時に、まず初めにいるべき位置にいる。次いでボールが動いてからは、捕まえるべき選手を、要求水準以上のスピードで捕まえる。ゲームに出るためには何が必要かをわかっているようだった。
  • 駒井。机上論として、プレスがある程度機能している限りは、相手を相手陣内に押し込むことができるので、ゴール前で守る機会は少なくなる。DFの仕事は、まずは相手が背負ってボールを受けたり、スペースに走ってきた時に1on1で対応することになる。駒井は高さはともかく、この能力は一定以上あると見られているのだろう。

2.2 同じ狙いと異なる悩み

  • 大枠では、鹿島も同じ狙い…高い位置でのボール奪取からの攻撃を意識している。但し札幌とはアプローチが異なる。
※2枚紙芝居 ボールサイドに寄る鹿島
  • 中央を切ってから、攻撃のサイドが決まると鹿島は全選手がボールサイドに寄る。そしてボールから近い受け手となる選手を捕まえる。余っている選手は他の選手と密集した濃厚接触状態を保ちながらスペースを守り、ボールサイドでの選択肢とスペースを消す。
  • 札幌のように受け手をマンマークしていても、トラップやターンで剥がされたり、五分五分のボールが他の選手に渡ったりする等でプレスは突破される。鹿島はスペースを圧縮することで、そうした不確定要素による影響も小さくし、ボール周辺の強度を担保している。
  • そのため、できるなら札幌はいつも以上にワイドに、横幅を使って広く攻めたほうが効果的だ。鹿島のやり方は反対サイドは脆い。

  • 一方、鹿島とサンフレッチェ広島との開幕戦を見ていて感じた別の問題点がある。
  • 鹿島の選手(仮に、三竿-チャナティップのマッチアップとする)がボールを奪ったとする。鹿島も札幌と同じように、奪った後はその優位性を活かして縦に速く攻めたいのがまず基本的な考えだ。
  • この時、問題になるのが、選手がボール周辺に寄りすぎていて、縦に速く攻めたくても縦方向にスペースがない。このやり方だと、前線のアタッカーは所謂速いだけでなくて、トップスピードでもボールコントロールができる能力のある選手が必要になる。土居は狭いスペースでもやれそうだが、新戦力のエヴェラルド、ファン アラーノ、和泉にはその能力があるか。
  • 広島との開幕戦では「縦に速く」だけで攻撃を完遂できず、やり直すか、よりスペースのあるエリア…反対サイドに展開して打開しようとしていたが、サイドを変えることで攻撃はスローダウンし、掲げているコンセプトから乖離する。そしてそれ以上に問題なのが、サイドバックが後方からアップダウンを繰り返さないと攻撃が成立しないことになる。
  • ”横幅”を担える選手がサイドバックしかいないと必然とそうなるが、日本人で動きの量と動きの速さ、そしてボールコントロールを完備したサイドバックとなると人選がかなり厳しくなる。このスタイルだと「縦に速く攻める」は、「縦に”狭く”速く」と言った方が適切だ。
※3枚紙芝居 奪った後に縦に”狭く”速く攻められないとサイドバックの仕事が増える

3.序盤の攻防

3.1 駒井のヘディングクリア(1回目)

  • 2分30秒前後。早速札幌のゴール前で駒井の決死のヘディングクリアがモニターに映し出される。ハイプレスが決まれば駒井がゴール前でヘディングしなくていいはずじゃないかどこいった、と言われそうなので一応振り返っておく。
  • まず札幌の最初のプレーを見て、鹿島は三竿を落とした形をボール保持時の基本形に。札幌は非保持時[1-5-2-3]なので、札幌の[3]に枚数を合わせることになるが、相手の配置のギャップを突いてボールを運ぼうとする時のセオリーには反している。ただ恐らく札幌の強度を見て、クォン スンテにあまりボールに関与させない方がいい、との判断があったのだろう。
三竿を落とす鹿島
  • 三竿が落ちると、犬飼と町田は、よりワイドなポジショニングに変わる。札幌は犬飼をチャナティップと菅がどちらが見るかが曖昧になる。というか、オリジナルポジションではチャナティップが見そうな雰囲気だったが、この時はチャナティップが迷ってしまったため曖昧になった格好だった。
  • そして高嶺と荒野は前方の選手を捕まえるので、やはりアラーノが荒野の背後で浮いている。ついでに言うと、和泉やエヴェラルドが少し引いただけで、スペースがあるので浮いた状態になりやすくなる。田中や駒井がびったり張り付く選択もあるが、裏に走られた時はどうする?という問題があるのでそれは簡単には選択できない。
  • 犬飼が曖昧なままで、広瀬に渡ってもその”空気”は変わらず。ここから、”別の問題”で浮いているままのアラーノへのパスが通り、簡単に鹿島が右サイドを突破してゴール前にクロス(合わずに駒井がクリア)、という流れだった。
※3枚紙芝居 チャナティップ-菅の連携がいまいちで鹿島が右から突破

3.2 安全装置の存在

  • ゲームが徐々に落ち着いてくる(互いに、スプリントが多い速い展開が減ってくる)と、以下の構図が明確になる。
  • 「奪っての速い攻撃」ができないとなると、やはり鹿島はSBが横幅を取るために前へ。中盤サイドの選手は中央に絞る。こうなると、マッチアップ的に札幌は捕まえやすくなる。5バックが同数関係になっており、鹿島の最終ラインとも3on3。柏戦で枚数ギャップが埋まらずプレスが空転した札幌相手には、三竿が下がって同数になる形は、鹿島にとっては効果的ではなかったように思える。
  • 逆に札幌は枚数が噛み合っている状態だと、やはり純粋なマンマーク基調の守備はまずます安定していた。
  • そして永戸と広瀬が、白井と菅との1on1でどこまで質的に上回れるかが重要になるが、この2人はいつでも仕掛けていいよ、とする(往年の福本豊のような)役割にはなっていない。大きな要因として、永戸の背後には誰もいないためだろう。永戸は優秀なキッカーのはずだが、クロスにも消極的で、ここからは安易にボールを失いたくないという考え方が透けて見えた。
  • 札幌は5バックであることによって、鹿島のアタックを遅らせればそれなりに守れることができていた。こうした、ゲームを安定させるための仕組みはどのような戦い方であっても重要だ。
札幌に同数で守られ、サイドから前進できないと突破口が見えない鹿島

  • 鹿島がサイドで攻撃が詰まるとボールを戻してやり直す。ボールがDFに渡ると、札幌のプレスが再び起動される。というのがよくある展開だった。そこで前進できないと、鹿島はエヴェラルドを狙ったロングフィードや、札幌DFの背後を狙う。最終ラインの裏は、菅野がよくカバーしていた。デジっちでも聞かれた、菅野の横暴なコーチングは無観客だとよく響き渡る。
  • 鹿島は駒井を狙うと面白かった(色々な意味で。札幌としては、駒井がどこまでできるのかを見たかった)が、あまりそれはなかった。別な形だが、10分には札幌のパスミスを拾ったアラーノから荒木へのスルーパス。ボックス内で駒井が荒木の前に身体を入れて対応したが、身体を入れてからシュートまで強引に押し切られてしまった。このあたりを見てもどうかな?と思う局面がいくつかあった。
  • 総じて鹿島は、速く攻めるよりも寧ろ、ボールロストの仕方に注意を払ったサッカーを展開していた。これは「Footballisa」とかで画一的に書かれる「ザルツブルクみたいな走力のある選手を揃え、強度がある守備から縦に速いアタックを繰り替す」とは明らかに異なるスタイルに見えた。鹿島が速く攻撃しようとしていたのは、札幌のミスや隙を与えた時、オープンな局面でアタックできそうなタイミングだけだった。

  • そこから、札幌のボール保持に変わった時はどうだったか。目に付いたのは、菅野へのバックパスの際の展開。菅野はソンユンと比べると、フィードの選択やタイミング、蹴る場所がややセーフティすぎるように感じる
  • ビルドアップにおいて、GKがどれだけ相手DFを引き付けてからボールをリリースできるかは、センター試験で何点取った状態で2次試験に挑めるかと同じくらい重要だ。菅野の引きつけが足りないと、または蹴る場所が中央で簡単に跳ね返されたり、タイミングが早すぎると、フィードが跳ね返されてから速攻を食らいやすい。「繋いでいる」段階のロストよりも、これがボトルネックとして顕在化していた。ただ、ジェイの不在も考慮はしておくべきだろう。

4.膠着状態での動き

4.1 アラーノとエヴェラルド

  • 互いのボール保持という観点で見ると、鹿島がボールを保持している時は、先述の通りに札幌の人を捕まえる守備がはまりやすい。ボール保持側のセオリーとしては、何らか配置を更に変えて相手の動向を見るのが一つのやり方だ。
  • 鹿島の変化らしい変化は、前線のアラーノとエヴェラルド。2人とも左サイドを意識しており、流れてきてボールに関与しようとの意思を見せる。ただ中盤でのアラーノは、背を向けた状態だとほぼ荒野か高嶺に捕捉される。見たところ、中間ポジションよりも前線のスペースに突っ込む方が得意そうに見えた。
  • となると、どちらかというとエヴェラルドに、ボールを収める役割は期待がかかる。エヴェラルドが左に流れてくると、札幌は田中が駒井にマークを受け渡すのでミスマッチ。このミスマッチをあからさまに狙っていたのかは微妙だが、鹿島はここで収まったり、フリックからアラーノが抜け出したり、とするパターンが見えてくる。但しDFの裏は菅野が常に警戒しており、裏1発からは決定機には至らなかった。
左サイドに流れる2人が関与して打開を図る

4.2 我慢の時間は徐々に終わり


  • 一方、鹿島のプレスとやり方に慣れてきた感がある札幌。中央は封鎖されており、チャナティップにはなかなかボールが渡らない。公式戦でのチャナティップはこの状態では頻繁に降りてくるが、この日はそうでもなかった。他の手段での前進を模索することになるが、それは主に以下の形だった。
  • 一つはセオリー通りというか、札幌ではあまりないが外→外でボールを運ぶ形。左は福森がさすがの組み立て能力を見せる。右は、駒井が20分頃くらいから前に行きたそうな素振りを見せだしていた。駒井は開始直後から色々試していて、中に入ったりもしていたが、20分ほどの攻防を経験して外回りでの組み立てに関与することで、当面の役割は落ち着く。そのまま、白井が大外のレーンを空けたらオーバーラップ、という”縦槍型”のサイドバックのような動きも見せていた。
外→外でブロックを回避

  • 徐々に存在感が出てきたもう一人の選手が、アンデルソン ロペス。序盤はかなりボールタッチが少なく、中央でひたすら待ちながら、ボール非保持時にはプレスのスイッチを入れる地味な役割を担っていた。
  • 20分くらいから、鹿島は中央にスペースができてくる。前の4人は捕まえに動くが、後ろの6人は札幌の5トップを守る関係上、前だけを見ていられないためだ。中央にスペースができたタイミングで、降りて受けようとするロペスへの縦パスは何度か決まっており、この点で簡単に降りてこなかったチャナティップのポジショニングは効いていた

中央のスペースをロペスが使う

  • スコアが動かないまま、終了間際に荒野が痛んで前半は終了(後半開始から深井と交代)。

5.後半の動き

  • 48分ほどで鹿島が先制。スローインから札幌のパスミスを拾って、前に残っていたアラーノに素早く展開。アラーノがボックス内で駿汰を外して冷静にネットを揺らす。
  • それでもボール保持/非保持の形で見ると、札幌のマンマークでのハイプレスに依然として苦しむ鹿島vs1-4-4-2の鹿島に対して長いボールを使いながら外していく札幌、という構図で、札幌のボール保持のシチュエーションの方が明確にゲームが動いていく。
  • 鹿島は(実を言うと前半途中からだけど)ボールと反対サイドの選手を必要以上にボールサイドに寄せず、反対サイドを監視するようにして札幌のサイドチェンジに対抗する。
ファーサイドの選手は絞らず対面のマークを優先

  • やはり中央を閉じたい鹿島に対し、横幅を使うようになると、札幌がパワーバランスを取り戻す。福森と駒井が高い位置を取り、和泉と荒木を押し込みつつ、打開役の白井にボールが集まると鹿島はゴール前に枚数をかける必要がある。
  • 60分に鹿島はエヴェラルド→伊藤翔。
  • 62分に札幌が同点。深井が中央で引き付けて、後半からポジションを上げている福森へ。福森と菅がサイドに2人並ぶと、鹿島は同数をサイドに最初から割くことは難しく、福森への対応は常時遅れ気味。
福森(と駒井)の攻撃参加には手が回らず後手に回る
  • 福森はアーリークロスを選択。ノイズが一切ない状況での福森のインパクトの際の音は凄まじい。明らかに他の選手と質が異なるボールは、下がりながら犬飼が頭でクリアするも白井のサイドへ。横幅4枚の鹿島は反対側の白井はフリーで、切り返してのクロスにファーで武蔵が合わせて1-1。
  • が、直後の64分、アラーノが右サイド、福森の背後へのランで突破しCKを得る。町田が頭で合わせて1-2。
  • 68分に札幌は白井→ルーカス フェルナンデス、チャナティップ→金子。69分に鹿島はアラーノ→遠藤。メンバーが入れ替わったのでいったん整理。
72分~

6.そもそも論


  • 75分、札幌が追いつく。鹿島の左でのボール保持。中央を経由したところで絞っていた菅がボール回収。高嶺から、左シャドーに回っていた武蔵を走らせるパスで武蔵vs広瀬の1on1。武蔵が上手く切り返したところでファウルを獲得し、直接FKが壁の遠藤に当たってゴールに入る。
  • 得点直後にアンデルソン ロペス→ジェイ。80分、接触で頭を痛めていた菅野→カウィン。同じタイミングで鹿島は三竿→永木、荒木→名古に交代。84分には小泉→松村。
  • 87分にジェイの得点で3-2。札幌の1点目に近い構図で、左の菅のクロスが中央をスルーして右に流れるも、ルーカスが拾って右足のドンピシャクロス。ジェイのヘッドの前には鹿島DFは無力だった。
  • AT1分にもジェイの”死んだふり作戦”(パスをトラップミスでプレーをストップしてしまったが、ルーカスがフォローしてのクロスに飛び込んで合わせた)で4-2。

雑感

  • CBに駒井。中盤に高嶺。トップにアンデルソン ロペス。これまでの”序列”を排除して、またやり方を変えてまで目指しているものがなんとなく見えた。恐らくミシャは全員がマルチな能力を備え、誰もが必要な時にディフェンダーになり、誰もが組み立てを担うスタイルを目指している。
  • 「●●はできるけど、△△はできない」とする一芸系の選手が何人もいると、その「できない」がボトルネックとなって連動性は低下する。稀少な左利きの大型DFで、プレースキックを蹴れる福森だけは”聖域”だとしても、選手に求められる水準を昨年までよりも更に引き上げたうえで、チームのレベルアップを目指しており、そのグループ戦術やツールの一種としてハイプレスがあることは伝わってきた。
  • (開幕戦の柏と同じ)4バックの鹿島相手にまずますうまくいった要因を挙げると、①鹿島の4バックに対し、ロペスがトップ下、武蔵とチャナティップがCB2人をマークする形でプレスをしても、トップ(ロペス)はプレーエリアが広いため、その後の速い攻撃がスムーズになる点(ジェイなら、トップ下に一度入ってしまってから次の動き出しまでが遅い。なのでジェイを頂点にした形でないと攻守がうまく連結しない)。②鹿島はGKがあまりボールに関与しないので、何度もやり直せない点。札幌が一度ボールホルダーに圧力をかけると、やり直せない鹿島はかなり困っていた。③オルンガがいない点。
  • 一方で最後に試合を決めたのはジェイ。1点目もワイドにボールを動かしてからのファーサイドのヘッド。札幌は結局はこの形が生命線で、横幅を作り出しているのはウイングバック。ウイングバックが高い位置取りをすることが必要。それにはハイプレスは有効なのかというと「△」だろう。[1-4-4-2]の鹿島に対してはうまくかみ合わせることができ、奪った時にウイングバックが高い位置取りをしていることもあったが、他のチーム相手だと話が変わってくる。
  • ただ、「最後にジェイに合わせる」以外の形を模索するのは確かに必要。最良のバランスを見つけるために、選手の組み合わせも含めてまだまだ試していく必要があるだろう。

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