2017年8月11日金曜日

2017年8月9日(水)19:00 明治安田生命J1リーグ第21節 北海道コンサドーレ札幌vs横浜F・マリノス ~セルフ数的不利への道~

スターティングメンバー

 北海道コンサドーレ札幌のスターティングメンバーは3-4-2-1、GKク ソンユン、DF菊地直哉、河合竜二、福森晃斗、MFマセード、荒野拓馬、兵藤慎剛、菅大輝、FW都倉賢、ヘイス、チャナティップ。サブメンバーはGK金山隼樹、DF進藤亮佑、MF前寛之、小野伸二、FW内村圭宏、金園英学、ジェイ。出場停止明けのク ソンユンが復帰。宮澤はスタメンを予想するメディアもあったが間に合わず。最終ライン中央には前節後半から出場した河合が起用されている。
 横浜F・マリノスのスターティングメンバーは4-2-3-1、GK飯倉大樹、DF松原健、中澤佑二、ミロシュ デゲネク、山中亮輔、MF喜田拓也、マルティノス、天野純、齋藤学、FWウーゴ ヴィエイラ。サブメンバーはGK杉本大地、DF栗原勇蔵、MF中町公祐、遠藤渓太、前田直輝、ダビド バブンスキー、FW富樫敬真。金井は累積警告4枚で出場停止。山中は第15節から7試合連続のスタメン起用。前節8/5の新潟戦からは中町、天野、富樫に代えて喜田、扇原、ウーゴ ヴィエイラが起用されている。5/14の第11節甲府戦からリーグ戦で10試合負けなし(7勝3分)。2列目のサイドは齋藤が負傷交代した第13節頃から、齋藤とマルティノスが頻繁にサイドを入れ替えてプレーする。話し合い等で決めているそうで、この日はスタートはそれぞれの順足サイドだったが、15分頃からは逆足サイドに入れ替わっていた。


1.前半

1.1 同じ手は食わぬ

1)マリノスの狙い(横幅創出からのハーフスペース攻略)


 マリノスは現在のJ1で数少ない、両サイドにウイングを配するチーム。マルティノスと齋藤がサイドで1on1を作った状態での単独突破による崩しもあるが、それと同時に気を付けなくてはならないのが、アウトサイドに気を取られて選手間を拡げられ、ハーフスペースに侵入を許すこと。中央でFWがCBを”ピン留め”している状態で、サイドに張るウイングにSBが対応すると、必然とCB-SBにはスペースができてしまう。
 この試合、マリノスの右SB松原の攻撃参加の際の動きを見ていればわかるが、大半はワイドに張るウイング(マルティノス又は齋藤)の内側のレーンをスプリントして追い越す動きをしており、札幌のWBとCBの間を攻略していこうとの意図が読み取れる。

 解決策として①あらかじめ5バックにして枚数を増やす、②ボランチ等のカバーリング、③CBのスライド、等が考えられるが、いずれも一長一短で、またこれらの対応を余儀なくされている時点で(守備の負担増大や攻撃に割ける駒が減るなど)、既にアウトサイドが強力なチームに対して後手に回りやすくなってしまう。
マリノスの狙い(攻撃の横幅創出からのハーフスペースへのラン)

 前回対戦時、札幌の対策は主に上記の①、5バックにしてハーフスペースにあらかじめ人を置いておくことだったが、後半開始早々のバブンスキーの先制ゴールは、札幌のCB進藤がサイドに気を取られ、持ち場を離れた一瞬でバブンスキーが全力でスプリントしたことで生まれたもの。シュートは確かにスーパーだったが、前半からこの一瞬をずっと待っていた(明確に突かれたのはこの試合初めてだった)バブンスキーの戦術眼や、危機を察知できず持ち場を離れてしまった進藤の経験の浅さを感じさせるものだった。

進藤がサイドに気を取られてハーフスペースを空ける

2)同じ手は食うか!(ゴール前の番人・竜二起用)


 前回対戦時との相違点は、札幌はこの試合、前線に1トップ2シャドーを配した5-2-3。マッチアップは以下のようになる。5-2-3は攻め込まれると5-4-1にもなるのだが、都倉とチャナティップは言うまでもなく攻撃で威力を発揮する選手なので、札幌としては基本はあくまで5-2-3を維持すること。
 5-2-3だと、下の図のようにサイドは人数を合わせることが可能になるので、マリノスのSBが上がってこなければ都倉とチャナティップは極端に下がらなくてもよい。

 そして最終ラインでマリノスの3トップ気味のアタッカーを封じつつ、ハーフスペースを封鎖するための対策が、中央で河合がウーゴ ヴィエイラにほぼマンマークに近い状態で対応する。マルティノスと齋藤は両WBが対応するとして、福森と菊池は極力ハーフスペースに残しておく。この2人の運用がミソで、正直なところ、福森や菊地としては右にも左にもサポートしたい(守備が不安な)選手がいるが、持ち場を離れると3月の進藤の二の舞になってしまう。とにかく最優先でスペースを守るというミッションが与えられていた。
3トップに3枚をつけて余った2枚はスペースを守る

1.2 「同じ絵を描く2人」+2

1)マリノスのロングボール対策(撤退守備)


 前回対戦時は序盤からハイプレスを仕掛けてきたマリノスだったが、今回はボールを失うとリトリートして自陣でブロックを組むことを優先する。これはアウェイゲームということもあるだろうが、モンバエルツ監督のコメントを見ると、札幌のロングボール攻撃…スペースに蹴って都倉を走らせるという常套手段に対する対策として、最終ライン裏にスペースを作りたくないという考えが大きかったのだと思う。
説明を追加

2)チャナティップとヘイス(と兵藤と福森)に見えているビジョン


 マリノスが引いてくるということは、守備の開始位置は低くなり、ある程度低い位置であれば札幌はボールを保持することができる。しかし、多少ボールは持てるが、引いたブロックを崩してシュートまで持っていくことが、札幌にとっては半永久的な課題となりつつある(世の中のサッカーチームのうち、同じようなチームは山ほどあるが)。

 この課題解決に四方田監督が着手しているとしたら、そのキープレイヤーの一人は間違いなくチャナティップ。また同じくらい重要な選手として、ヘイスと福森が挙げられる。
 チャナティップを得た札幌の、攻撃面での最大の変化は、ブロック内の狭いスペースでの”受け手”が増えたこと。ブロック内でプレーすることで、相手の守備の意識は中央に向き、また中央を使われないよう、より強固なブロックとするために選手間の距離を狭める。すると中央を固めたことでサイドが空くようになり、サイドに張る選手(札幌でいうと菅やマセード)への対応の優先度が下がり、サイドからの仕掛けが成功しやすくなる。この中央とサイドの関係は逆も然りで、サイドを相手が意識すれば、今度はゴールへの最短距離である中央が空くようになる。

 下の図、2:31は福森の縦パスから始まった攻撃で、ブロックでチャナティップとヘイスが縦パスを受けようとポジショニングする。上記で受け手が「増えた」と書いたが、チャナティップの加入前はヘイスがほぼ唯一の、ブロック内でパスを受けられる選手で、ヘイスとチャナティップが並ぶと福森は2つの選択肢を得ることになる。この時はチャナティップが消されつつあるが、ヘイスへのパスコースはマリノスは消しきれておらず、福森⇒ヘイスの縦パスが成功する。
 福森は菊地と共に、札幌では最も縦パスが巧い選手で、ロングフィードのイメージが強いが、ブロック内への縦パスも再三狙っている。加えて中盤やや左で主に活動する兵藤は、この試合はボランチで起用されているのでブロック内での受け手とはならないが、こうしたプレーの意図はよく理解している。この時はヘイスの落としを素早くサイドに展開し、菅の仕掛けに繋げるサポート役を担っている。
4人で中央を使ってからサイドに展開

3)左で作って右で仕留める


 そして札幌の攻撃で左サイドが重要なもう一つの理由が、ヘイスをワントップ、都倉を右シャドーで運用している関係上、どうしても都倉のポジションは右寄りになりがちである。流れの中での札幌の最大の得点パターンは、高いクロスを都倉が空中戦で合わせるとういう形で、基本的には高さを活かせるファーサイドでの競り合いを発生させたい。
 となると都倉が右寄りにいるため、高さを活かすには右サイドではなく左サイドから高いクロスを上げる形が望ましい。この点においても左サイドに福森、チャナティップ、兵藤と人を集め、菅が仕掛けやすい設計とすることが考慮されていると考えられる。

1.3 理想と現実(必然の5-4-1化)

1)5-2-3という理想


 先に書いたように、なるべく5-2-3で守りたい札幌。しかし都倉とチャナティップの守備対象であるマリノスの両SBは、運ぶドリブルで札幌の第一ラインを突破してくる。下の図は松原がドリブルで持ち上がったところで、ここでチャナティップが対応できないとWBの菅が出る。菅が出ればマルティノスには福森が出る。となると河合が動けない札幌は、芋づる式にマークを剥がされてハーフスペースがガッツリ空いてしまう。
一列目をドリブル等で越えてくると最終ラインのマークがずれる

2)5-4-1という現実


よって札幌は必然と都倉とチャナティップが下がった5-4-1での対応を強いられることになる。ただこれは札幌にとっても恐らく想定内で、ブロックを5-4で組んだことでマークがずれたとしてもカバーリングで解決がしやすくなる。
必然と5-4-1になる(ハーフスペースは断固死守)

 序盤、マリノスは両ウイングを聞き足サイドに配してのシンプルなクロス攻撃を何度か繰り返す。この時、左のハーフスペースが空きかけると、札幌は必ず兵藤やチャナティップが下がってスペースを埋めるようにしていた。
 脇をしっかりカバーしてくれるので、河合はウーゴ ヴィエイラとのデュエルに集中できる。
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1.4 天野の駆け引き

1)天野vs菊地


 25分頃からは札幌が5-4-1で守る局面が多くなり、試合は膠着気味に陥る。
 札幌の5-4-1撤退守備に対するマリノスのポゼッション時に特徴的だったのが、中盤の喜田と天野のポジショニング。マリノスの中盤は喜田と扇原のWボランチ、天野のトップ下というよりは、扇原がアンカーで喜田と天野がインサイドハーフの逆三角形に近い。ただ喜田は札幌の2列目の前の比較的低い位置にいるのに対し、天野は札幌DF-MFのライン間でフラフラと動いている。
天野と喜田の動き

 サイドでマッチアップを合わせられているマリノスとしては、この左サイドの高い位置にいる天野を使って札幌のブロックを動かしたいところ。マリノスが左サイドの山中や齋藤を経由してボールを動かすと、天野はオリジナルポジション(札幌のCB菊地の正面、DF-MF間)から出入りするように少しずつ位置取りを変える。これは菊地がどこまでついてくるかを見極めているかのようで、菊地がついてこればハーフスペースを開けることに成功、菊地がついてこなければ、サイドで天野が加わることで1on2を作ることができる。

2)菊地vs天野の磁場に引き込まれるマセード


 対峙する菊地も、天野の狙い(菊地を動かしてハーフスペースを開ける)は当然わかっていて、天野を見ながら、簡単に”持ち場”を離れないという原則を徹底した対応を見せる。

 しかし菊地vs天野という一次元的な構図に、隣り合うエリアでの齋藤vsマセード、更には攻撃参加してくるSBの山中といった要素を加えると話はより複雑になる。
 ↓の写真26:15は、左サイドで山中がボールを持った時。天野が引いて受ける動きをすると、菊地は天野を迎撃する素振りを見せるが、天野にガッツリ食いつくのではなく、恐らく背後のバランスも気にしながら持ち場に迅速に戻れる程度の食いつき方をする。
 この時、天野が引くと同時に齋藤は中央に侵入する。するとマセードはマークを受け渡したい(恐らくサイドを開けるな、と指示されているため)が、菊地は天野に対応しているので受け渡しは不可。結果マセードが絞って齋藤についていく。
マセードは受け渡したいが菊地がいない

 上記の状況から15秒ほど後。再び左サイドでの展開で、山中がオーバーラップすると札幌右サイドは数的不利に陥る。この時は外が山中、内側が齋藤という配置になり、菊地がサポートする。
サイドで1on2

 マセードが齋藤を捨て、山中につく。菊池が齋藤につくと、菊地の背後を狙って天野が動き出す。齋藤が浮き球パスで菊地の背後を狙うが、これは菊地が頭で引っ掛けてクリアする。
菊地の背後を天野が狙う

 こうした一連のプレーから読み取れることは、札幌としてはマセードになるべくシンプルな役割(サイドに張るマルティノス又は齋藤を封じる)に専念させ、より複雑な、天野を見つつスペースを塞ぐといった仕事は菊地に任せたい。しかし実際には、菊地vs天野というマッチアップに山中や齋藤が絡むことで、マセードもそうした、スペースを管理しつつ人を見るというより複雑な、かつマセードにはあまり得意ではない”磁場”に引き込まれている。

 こうなるとマセードは、”戦術的なタスクオーバー”というような状態に段々と陥る。結果たとえば下の写真のように、原則(守備対象はマリノスのウイング)を無視した動きをするようになってしまっていて、このような現象が頻発すると、周囲の選手(マークズレに対応する菊地や兵藤)の負担になっていく。
齋藤を離して山中に食いついてしまう(マークが全てズレる)

2.後半

2.1 ヘイスの徒労(ビルドアップvsハイプレス)

1)マリノスのビルドアップを封じたい札幌


 前半からたびたび見られた光景でもあるが、後半立ち上がりにも何度か確認された現象だったのでここで言及しておく。
 マリノスのビルドアップはロングボールをほとんど使わず、後方からパスを繋いでボールを運ぶことを常に試みていたが、札幌はこれに対し、何度かハイプレスでの封殺を試みている。マリノスのビルドアップは、下の図のように札幌の1トップのヘイスが守る中央を避けるようにCBが幅を取ることから開始されるが、札幌はヘイスが両CBの間、都倉がCBデゲネクとSB山中の間、チャナティップも同じようにCB中澤とSB松原の間を初期位置とする。
 GK飯倉からCBにボールが渡ると、ヘイスがまずCBに寄せる。ヘイスに連動して、例えばヘイスが中澤に寄せれば、都倉はデゲネク、松原はチャナティップという具合に近い選手から捕まえていく。
マリノスのビルドアップと札幌の対応の仕方

2)ヘイスではGKまでは捕まえられない


 するとマリノスの逃がしどころとして、アンカーの扇原が降りてくるが、これは兵藤が捕まえる。しかしマリノスにはもう1つ逃がしどころがあり、それはGKの飯倉。飯倉に戻すと、札幌はヘイスが二度追いを試みるが、ヘイスはこうした「走らされる守備」があまり得意ではない(パスコースを切ったりスペースを埋めたりするのは下手ではないと思う)。そのため、CBまではカバーできるがGKで逃げられると、ハイプレスとしてはかなり強度が落ちてしまう。
 マリノスは飯倉の存在がこうしたプレス回避において大きな武器になっていて、プレッシャーをかけられた状態でも30m程度離れた選手…アンカーの扇原や、タッチライン際で待つ両SBに正確なパスが通せる。

 札幌は扇原は兵藤がケアできてるので問題ないとして、3トップで4バックに対抗しているので必ずどちらかのSBが相手しまう。上の図では、山中が空くので飯倉から山中にパスが通ると、札幌はヘイス、都倉、チャナティップが一気に”スキップ”されてしまう。山中の担当は都倉なので、都倉はスキップされると30m程度をスプリントして戻らなくてはならない。

3)ヘイスの徒労


 札幌のこのハイプレスは前半に1度だけ、マリノスのミスを誘う形で成功したが、それ以外はことごとく回避されている。
 そうした、成功率が低いやり方にも拘らず何度も高い位置から守備を開始し、かわされ続け、かわされた後には6~7人しか残っていないので、オープンな状態でマリノスの速攻が炸裂…というのが後半立ち上がりの流れだった。
 ハイプレスを敢行すること自体は当然ベンチからの指示もあったと思うが、流れの中で基本的にハイプレスのスイッチを入れているのはワントップのヘイス。ただこの始動役としてヘイスがスイッチを入れる判断が曖昧で、後ろが連動できない時や、既にリトリートに切り替えかけている時にヘイスが一人で追いかけるような、完全に徒労に終わってしまうような状況も散見された。

 なお、恐らくこのハイプレスの成功率をより高めるには、ウイングバックを5バックで後方待機ではなく、相手SBに対して当てていけるような高いポジションに置き、プレスに組み込む必要があると思われる(図参照)。
相手SBにはWBを当てる ※理想

2.2 配給役不在と降りてくるチャナティップ


 55分、マリノスは左CKから扇原のヘッドで先制。先制した後のマリノスは、2点目を奪って試合を決定づけるよりも、まず撤退して守備を固め、カウンターの機会を伺うようになる。

 後半も依然として札幌の遅攻のファーストチョイスは、福森の持ち出し→チャナティップの間受けという左のライン。しかし後半は、チャナティップがマリノスのDF-MF間から不在になってしまい、なかなか縦パスが入らず攻撃の形を作ることが前半よりも難しくなっていく。
 要因は2つ考えられ、1つは①チャナティップとヘイスの得意なエリアが被っている。下の61:10はカウンターから遅攻に移行したところで、前残り気味だった都倉とヘイスが前線で待っている状態だが、利き足が右のヘイスもチャナティップ同様に本来は左寄りでのプレーが得意な選手。よってこの時はヘイスが左寄りでプレーするのだが、ここにチャナティップが入っていくと完全に動きが被ってしまう。
ヘイスも本当は左でプレーしたい

 もう一つは、②アンカーがいるべき位置にいない等で、ビルドアップ~縦パス供給に問題をきたしているので、下がってもらわざるを得なくなる。下の写真63:30では、荒野と兵藤の両方がマリノスの2トップよりも手前にポジショニングしているが、本来はいずれかがチャナティップがいる位置(FWとMFのライン間)にいないといけない。
後ろに必要以上に選手が固まっているがアンカーの位置に誰もいない

2.3 事実上の2バックが招いた大混乱


 72分、1点ビハインドの札幌は河合⇒ジェイに交代。ベンチからの指示は「指4本」…4バックだったそうで、4バックと解釈するならば以下のような配置である。
72分~

 だがピッチに並べられているのは、ヘイスとジェイの重戦車系2トップに、2列目サイドは本来トップ下のチャナティップにFWの都倉。これらの選手は基本的に中央の選手であって、交通整理をしてやらないと下の写真のように全員が中央に密集する大渋滞が起こる。
 そして中央が密集する・しないに関わらず、このメンバーだと必然と「攻撃の横幅」を担うのはマセードと菅。SBという体で配置された2人だが、攻撃の横幅を作るという名目で常時上がりっぱなしでプレーしないと、チームとしてもたないような状態である。
2バック?

 都倉が齋藤に対するファウルで2枚目の警告を受け、退場したのは上記の約1分後。マセードのクロスが跳ね返され、齋藤が「誰がカバーする?」と書いたエリアに侵入してカウンターを仕掛けると、結局齋藤を捕まえたのは都倉だった。
 確かに1点貰っている状況での後ろからのファウルは軽率だったが、そもそも反撃に転じようとする際に、ジェイを投入するのは理解できるが、バランスが全く考慮されていないかのような陣形に変化したため都倉はその犠牲者となったと言えるのではないか。

 都倉の退場直後、左サイドを突破され、マルティノスのクロスをク ソンユンがまさかのオウンゴール。これで勝負は決してしまった。

3.雑感


 前半は、守備ではマンマークに近い役割を任された河合と、菊地の落ち着いた対応によって相手の狙いを封じ、悪くない試合運びができていた。後半に先制されたものの試合時間はまだ30分以上残っていて、慌てる時間帯では全くなかったと思うが、結果的には札幌が先に選手交代で大きくバランスを崩したことが都倉の退場、2点目に繋がったと思う。

2 件のコメント:

  1. 攻撃ではボールの預けどころになる(それも主に空中戦で競り勝つという負担の大きいやり方)のと前線からの守備もするというもともとタスクオーバーだった都倉。マセードのスタメン起用も相まって左サイド偏重の帳尻合わせに都倉が無理して守備に戻ってるという印象はあったんですが退場で一気にバランス崩壊してしまったような。
    具体的に調べてはいないんですが、右サイドを崩されての失点ってのが多いような。守備をベースにってんなら四方田監督はそのあたり把握できてないとは思えないんですが、そのわりには対策が見えないというか。予測のできる宮澤がいなかったのも地味に痛かったのかもしれません。
    カードの切り方も今までは後ろに重心かけながらっていうのが多かったんですが、マリノス戦は妙に勝負に出るのが早かったというか都倉の無理遣いを承知の上で半ばバクチでジェイを突っ込んだとしか思えないですよねえ。河合はこの試合においては“重石”なわけでジェイ大作戦を決行するにしても残り15分で2枚替えくらいするくらいの我慢、余裕があればまた違ったのでは。もっとも、それでは同点まではいっても逆転できないと四方田監督は判断したのかも知れませんが…。

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    1. >フラッ太さん
      個人的には左右問わずやられ方は一緒で、鹿島戦のようにカバーリング関係ができていないところで裏を取られるのがお決まりのパターンになりつつあると思います。カバーしてくれないのでWBは完全に個で守るしかないのですが、菅はその点よくやっている方だと思います。
      後は仰るようにジェイですね。もう少し手堅く戦って、最後の崩しのところで無理がきくというか、クオリティが必要だからジェイを取ったんだと思ってましたが、ちょっとこの使い方はあまりにも雑すぎますね…

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