2019年1月8日火曜日

「チーム分析のフレームワーク」に基づく北海道コンサドーレ札幌の2018シーズン振り返り(後編)


 前編に引き続き、『モダンサッカーの教科書』(レナート・バルディ、片野道郎)の第2章、「チーム分析のフレームワーク」において示されているフレームワークに基づき、北海道コンサドーレ札幌の2018シーズンの戦術的な傾向を整理する。
 前編(守備~ポジティブトランジション)

 後編では攻撃、ネガティブトランジション、セットプレーについて整理する。

2019年1月5日土曜日

「チーム分析のフレームワーク」に基づく北海道コンサドーレ札幌の2018シーズン振り返り(前編)

0.本企画の説明


 本ブログの2018シーズンの総括として、2018年6月に日本で発売された『モダンサッカーの教科書』(レナート・バルディ、片野道郎)の第2章、「チーム分析のフレームワーク」において示されているフレームワークに基づき、北海道コンサドーレ札幌の2018シーズンの戦術的な傾向を整理する。

 なお、フレームワークの内容は、以下note(フットボリスタ)で整理されている。
 https://note.mu/footballista_jp/n/n06a1bcfd951a

 分析にあたり、バルディは直近の試合を中心に5試合程度を見たうえでアウトプットを作成する必要があるとしている。よってリーグ戦のラスト5試合、ということになるが、先に申しておくと、札幌のサッカーは相手チームのタイプ…3バック(守備時5バック)でミラー布陣で戦うチームか否かによって試合の進め方が異なる傾向にある。そのため以下の試合で見られた傾向を中心に整理することとした。
2018年9月23日(日)明治安田生命J1リーグ第27節 北海道コンサドーレ札幌vs鹿島アントラーズ
2018年9月29日(土)明治安田生命J1リーグ第28節 北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖
2018年11月4日(日)明治安田生命J1リーグ第31節 北海道コンサドーレ札幌vsベガルタ仙台
2018年11月10日(土)明治安田生命J1リーグ第32節 北海道コンサドーレ札幌vs浦和レッズ
2018年12月1日(土)明治安田生命J1リーグ第34節 北海道コンサドーレ札幌vsサンフレッチェ広島

 もっとも今シーズンのリーグ戦は全試合見ているので、この5試合以外での現象も踏まえていくが、ただ春先2月~3月頃のチームはリーグ戦終盤とは大きく異なるので、基本的には2018シーズンの最終形となったチームの分析とする。

0.1 局面の遷移関係を理解しよう


 チーム分析において基本となる概念を改めて2つ整理しておく。一つはサッカーの4局面で、これはバルディに限らず多くのサッカー関係者が同じような認識でいると思われる。攻撃(ボール保持)、守備(ボール非保持)と、それらの境目にあるトランジション(攻守の切り替え)が遷移する関係にあるという考え方。実際はトランジション→トランジションが続いたり守備→ポジトラ→すぐにまた守備、等の展開もあると思うが、基本概念として4局面が順に遷移するものとして捉えておく。
サッカーの局面の局面の遷移関係

0.2 階層構造として捉えよう


 もう一つはバルディが示している4局面(+セットプレー)の階層構造で、例えばバルディの言う「守備」には「プレッシング」、「超攻撃的プレッシング」、「組織的守備」の3タイプがあるとされる(詳細は後述)。一言で守備戦術と言っても大別すると諸タイプあり、それぞれ意図やとられているアクションが異なることを踏まえてみていく必要がある。
チーム分析の階層構造

0.3 その他


 4局面+セットプレーについて書いてみたところ、長すぎるので記事を2分割する。

 また記事中ではチーム戦術について言及する際、ポジションや役割を挙げて言及する場合と具体的な選手名で言及する場合とがある。2018シーズンの札幌の基本メンバーは以下。スタメン11人+DFの石川、中盤の荒野、アウトサイドの白井と早坂、前線の都倉という固定メンバーでリーグ戦の殆どを消化してきた(他、スタメン出場した選手は兵藤が4試合、宮吉が2試合、内村が1試合)。
2018シーズンの基本メンバー

※以下、青字はバルディのフレームワークに基づく各項目の説明である。