1.ゲームの戦略的論点とポイント
マジックナンバー・2025:
- 現在Jリーグに在籍するクラブのうちJリーグ入会が最も新しいのが2025シーズンからの栃木シティと高知。次いで奈良・FC大阪(2023)、いわき(2022)、今治(2020)、八戸(2019)、沼津(2017)、鹿児島(2016)、山口(2015)…と、J3発足(2014)以降に入会しておりJリーグ的には若いクラブということになります。
- これらのラインナップを見ても、地域リーグ時代から「人(経営者)」、「ビジョン」、「ハード」、「地元(行政・財界)」と一通りの資本が揃っており、その名を轟かせていたいわきと今治は後発ながらしっかり階段を登ってきていると言えるでしょう。栃木シティは0.5世代くらい遅れでそれらのクラブに近い道のりを辿りそうな雰囲気があります。
- しかし今治は岡田武史オーナーが元々掲げていた目標は「2025年にJ1で優勝争いをするチームとなり、ACL優勝を目指す。その時にはFC今治から5人以上の日本代表選手を輩出する」というものだったらしく、当事者からするとJFLとJ3のところで思った以上に時間がかかった感覚なのでしょう。
- もっとも町田も、2018年にクラブのオーナーとなった藤田氏が「2020年にJ1昇格を果たし、21年にJ1参戦。それ以降、24~25年にJ1優勝を争えるクラブに成長を遂げ、24年にJ1優勝、そして25年のACL制覇」と掲げており、単に2025というのが時期的に丁度良いから、という考えもあったかもしれません。なおいわきは出自が他のクラブと異なることもあってか「⚪︎年に〜〜」という言い方はしていないようです。
- 2024シーズンの売上は13.5億円。J3では大宮(26.4億円)には及ばないものの松本(14.3億円)に肉薄し、J2でもいわき(14億円)、とほぼ同等、山口や水戸、熊本を上回る水準を確保しています。但しこれらのクラブと比較するとスポンサー収入の比率が高めなのはやや気になるところです。
- 2025シーズンはJ2で18節消化時点で9位とまずまずの位置につけ、反面あまり目立つと夏のマーケットで選手を売る羽目になるのでは?と思っていましたが、2024シーズン時点でこれだけの予算があるなら、案外主力選手はとりあえずこの1年はキープできるくらいの契約になっているのかもしれません。
スターティングメンバー:
- クラブワールドカップの開催及びJリーグから浦和が参加することで特例的に移籍ウインドウがオープンになりましたが(6/1-10)、和製ロマーノことカズ垣内記者のコメントの通り「予想以上に動く」移籍期間でした。
- 今治は川崎からパトリッキヴェロンを期限付き移籍で獲得。川崎では出場機会に恵まれませんでしたが、天皇杯で勝ち上がったため6/7に延期された第17節で早速先発しており90分近くプレーしています。
- スタメンはダニーロが累積警告4枚で出場停止でCB中央に福森。アンカーはここ数節は山田とヴィニシウスディニスの併用が続いています。GKは前節で37歳にしてJ2デビューを飾った植田。
- コンサは待望の左利きCBの宮、シャペコエンセのエースFW(らしい)マリオ セルジオ、DFラインを一通りこなせる(らしい)浦上を獲得と、馬場(→柏)、キムゴンヒ(契約満了)の放出があったにせよJ2全体で見てもかなり積極的に動いたクラブだったと思います。
- その宮は6/4から練習に合流しており期待通り左のCBでスタメンに。浦上とマリオは6/11に合流しましたが、浦上はいきなりスタメンで使ってきました。負傷者もかなり戻ってきたようで、パクミンギュは第10節(4/20vs藤枝)以来の出場。
2.試合展開
技術以前にスキャンの速度:
- まず互いのボール保持の際の配置と1stDFについて確認します。
<コンサのボール保持>
- コンサがボールを持っている時は今治は1-5-3-2でセット。コンサの配置は↓のような感じで、近藤が前目かつやや外寄り、青木はやや下り目かつ内寄り、各々の選手特性から予想できるものでした。
- 今治は極端にマンツーマンで高い位置から当たってくるというよりは、中央を切ってのミドルブロック。コンサのSBにはインサイドハーフの選手が出てきて、簡単に5バックを崩したりギャップを作らないという意識があったと思います。なお近藤高虎は前半早々に交代したので、(近藤2人が右サイドで紛らわしいのもあり)この記事では15番の阿部のみについて言及します。
- コンサは左サイドで(青木が絞る関係もあって)パクミンギュが高い位置を取ろうとしていたのもあり、DFの中では浦上→髙尾のパス交換が多かったかと思います。
<今治のボール保持>
- 今治は1-3-1-4-2。
- FOOTBALL LABではたまに1-3-4-2-1と表記されたりもしていますが、ウェズレイタンキ(以下タンキ)が前線で身体を張る役割で前残り気味になることが多く、マルクスヴィニシウス(以下ヴィニシウス)は状況によっては下がったり低い位置でプレーすることがある。そしてタンキが前で潰れた際にサポートが必要なこともあって、中盤は左のインサイドハーフ(パトリッキヴェロン、以下ヴェロン)がやや上がり目の役割…という感じで左右非対称の設計にもなっており、局面を切り取れば1-3-4-2-1の表記も間違ってはいないかもしれません。
- コンサはジョルディと木戸が1列目で並んでスタートしつつ、ジョルディはCB中央の福森とGK植田に圧力をかける役割。木戸は常にヴィニシウスディニス(以下ディニス)をケアします。そして青木と近藤が最初から高い位置にいて、今治の左右のDFである加藤と大森にボールが渡るとマンツーマン気味の対応。
- 17節まではコンサはFWが中央から右方向に追い込んで、近藤が右から相手の左足を切って…というやり方で、相手のビルドアップが始まる際に1人の選手に対し2人で対応していましたが、この際の近藤と青木の対応は完全に1-1関係でほぼマンツーマンに近いものでした。そしてそのために近藤と青木は最初から高い位置にいて、コンサのシステムは1-4-4-2というより1-4-2-4というのが実態に近かったです。
- となると今治のWBが浮き気味になりますが、ここはコンサはSBがマンツーマン気味の対応。必然と最終ラインは今治のWBと、2トップに対し4人でマンツーマン気味になります。
<スキャン>
- ピッチ上で起こっている状況を情報として認知することをスキャンと言います。試合開始直後はまずこうした互いの配置と仕組み(誰が何をマーク・管理しボール保持側は何を意図しているか)をどれだけ把握できるかで試合の難しさが変わってきます。
- その上で今回重要だと思われるのは、
- 今治はコンサSBに対しインサイドハーフがスライドして簡単に5バックは動かない
- コンサはSBがWBにマンツーマンなので今治のWBがワイドで持てば簡単にCBと勝負できる
- お互いにDFが最初にボールを持った時にはそこまで本気で奪いにくる感じではない(1列目は完全マンツーマンというよりスペースを管理している)
- みたいなところかと思います。
- なぜこれらが重要かというと、ボールを持っていない側は基本的にゴール前や中央にDFを並べますが、大半のチームでは常にゴール前や中央に人がいるわけではなくてなんらかのシチュエーションで選手が別の役割の遂行のために動きます。それが上記の1や2であり、要は相手のDFや中央を固める選手を動かして守備を手薄にできそうなシチュエーションは相手の仕組みから探ると何か?ということです。
- そして「相手を動かす」際にサッカーではボールというリソースを使います。ボールを持った選手を特定の位置や方向に置くことで相手に意識させ、脅威を与えて物理的または心理的に攻撃し、上記の1や2の状況を誘発します。そのために3に関連しますがボールを保持して動かしていることが必要になります。
- ですので相手がどういう仕組みでプレーしているか?と併せて、自分たちはどこまでボールを持てるか?という情報をどこまで把握し、かつボール保持という形で実践できるか、が非常に重要になります。
- 岩政監督が家泉を外したのはこの点に難があるからでしょうが、宮と浦上というニューフェイスが先発したこの日のコンサはどこまでボールを持てるか?においてはそこまで劇的な改善はなかったと思います。それは各々の選手のスキルの問題か、上記の”スキャン”を含めた戦術的な問題か、これから明らかになるでしょう。
- 対する今治の方がこの状況…コンサもそこまで今治に対して死ぬ気でマンツーマンみたいな感じでボールを奪いには来ないので、今治はボールを持てる余地があることは、コンサよりも早く、かつクリアな情報としてスキャンし認識できていたと思います。
- ですので開始10分ほどは互いに前に蹴るだけで様子見、牽制しつつだったとして、10分以降は今治の方が先にボールを保持して相手を動かして守備の手薄なところを突いていく、なんというかサッカーらしいプレーを先にできていました。最終的な両チームのシュート数にもそうした違いは反映されていたと言えるでしょう。
🕕FULL TIME🕕
— 北海道コンサドーレ札幌公式 (@consaofficial) June 15, 2025
本日も応援いただき、誠にありがとうございました。
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J3ベストイレブンはマンツーマンに耐えうるか?:
- 先の項で見たようにコンサは木戸が中央を切っていますが、コンサのSBが今治のWBに対して出てくるので、今治はまず中央を避けてサイドからWBに渡すことで、コンサのSB髙尾を引っ張り出して中央を守るCBの浦上と勝負することができます。
- 浦上を剥がせばゴールへの障壁はほぼなくなりますし、そもそも浦上をサイドに引っ張るだけでもコンサの中央は手薄になっています。
- まずコンサはこの形を何度も再現的に作られると、1-4-2-4気味に青木と近藤が高い位置にいる意味がほとんどなくなってしまう。前に配置されているのに、今治のボール保持や前進に対しMF扱いであるこの2人が殆ど歯止めをかけることができていない。
- それなら青木と近藤は前に残るよりはもう少し後ろでスペースを消したり人を守ったりする役割に変えても良かったかもしれません。例えば近藤が今治のWBを見るようにすれば、髙尾はDFラインにステイすることができます。
- というのは試合中に修正できませんでした…として、髙尾が今治のWBに引っ張り出され、その背後で浦上とタンキの1v1がこの試合では頻発します。
- ここで浦上がタンキをサクッと潰せれば、コンサは近藤や青木が前に残っている状態で逆襲を仕掛けることができるので、前に人が多めで後ろが手薄になっている状態を逆手に取るような展開にも持ち込めるのですが、どうやら浦上はサクッと潰せるだけの力関係になさそうで、タンキは突破はしなくとも少なくともキープや潰れ役としての仕事は浦上相手にできていたと思います。
- 浦上のところで1人で処理できないと、今治はタンキのキープを信頼して後方から長い距離を駆け上がって前線の枚数を増やし、コンサは中盤から前の選手が後ろ方向に走ってのサポートに追われます。タンキの処理は宮澤が持ち前の献身性を見せてサポートしていましたが、本来宮澤はこの時に攻撃参加してくるヴェロンをマークする役割があると考えると、綱渡りのような状況でもありました。
- この髙尾が前に出た背後のスペースで平面的に勝負する以外にも、今治はGK植田からロングフィードでタンキを狙うこともあって、この際は浦上のパワーが問われることになりますが、このロングボールからのシチュエーションでも浦上1人だとサクッと跳ね返すことは難しかったと思います。
- この際は髙尾も前に出ていないしスペースもそこまでないので、一気にコンサゴールに今治が向かってくる展開にはならないとしても、今治の起点創出にはなっていたと思います。
中央を見て使う能力:
- おそらく”スキャン”がうまくいってないであろうコンサは、前線に張る選手の中で無理が効く系であるジョルディと近藤にアバウトなボールを蹴る展開が多くなります。20分にはスローインから髙尾が背後にパス。近藤が突っ込んでボックス内で倒されますが山下良美主審の判定はノーファウル。
- 今治から遅れること10分ほど、20分過ぎからコンサも少しずつ”スキャン”してボールを捨てることが減りますが、今治もコンサと同じく中央のMFの選手をケアするので、コンサも簡単にCBからは中央にパスができない状況でした。
- この際、浦上や宮はケアされているとして、SBのパクミンギュや髙尾からは中央には出せそうには見えましたが、SBの中央方向にプレーする能力はこのチームの課題の一つなのかもしれません。
- またコンサの中央の選手のうち、木戸はインサイドハーフでもありながら下り目のFWでもあって、ジョルディに蹴ったあとのボールを回収しようとも頑張っていましたが、結果的にはこの2つの前後の役割を両立することはかなり難しかったと思います。
- ともかく色々な理由…受け手と出し手の両方の問題で、コンサは中央を使ってプレーすることができずでした。
- 前半ほぼ唯一と言って良いコンサのビッグチャンスは32分。高嶺が中央で縦パスを受けてターン成功から突破し、左の青木へ。青木の左足クロスはジョルディに合いませんでしたが、右に流れたボールを髙尾が再び低い軌道でジョルディの頭に合わせて見事なゴール…かと思いきやジョルディが戻りきれておらずオフサイド。青木が敵陣で仕事をした、というか青木にボールを届けられたほぼ唯一の場面でもあったと思います。
脇が開く:
- コンサはボールを持っていない時に1-4-2-4気味で、ボールを持っている時も中央を使った展開ができず長いボールを使うようになると、常に青木と近藤が高い位置から戻らず前後分断気味の状態が続きます。
- 必然と後方は4バックと2人のMF(宮澤と高嶺)で守ることになりますが、この状態で今治と対峙すると主に2つの問題が生じます。
- まず①右の弓場のカットインに対しパクミンギュ1人で対応しなくてはならない。左利きの右サイドアタッカーのカットインに対して内側で対応する選手がおらず、弓場がパクミンギュを振り切ってクロスやシュートでコンサゴールを脅かします。
- そして②高嶺と宮澤の脇のハーフスペース付近をケアできない。高嶺が上記の弓場のカットインも警戒するが、中央でボールを持つ選手も警戒しなくてはならない状態で、今治はハーフスペース、もしくはコンサのSB-CBのポケットに新井やヴェロン、30分すぎくらいからはヴィニシウスも登場して、ここが空くとわかるとミドルシュートを積極的に撃ってきます。
- そして36分には自陣でのビルドアップから、パクミンギュと宮澤のところでボールロストをヴィニシウスが拾って、高嶺の脇に走ってたヴェロンの見事なミドルシュートで今治が先制。
#パトリッキヴェロン 加入2戦目にゴラッソで初ゴール‼️
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) June 15, 2025
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第19節
🆚 札幌vs今治
🔢 0-1
⌚️ 36分
⚽️ パトリッキ ヴェロン(今治)#Jリーグ pic.twitter.com/r0h0Ku5fgk
- ここまでガラ空きになってかつ相手選手が走ってきてようやく近藤が危機を察知しますが、構造的にあまりにもスペースを空けすぎでした。それは織り込み済みだというなら、前残りの青木と近藤はもっとゴールに直結する仕事をしないと割に合わないでしょう。
システム変更でスキャンをリセット:
- 後半開始からコンサは木戸→白井。コンサのボール保持時は白井が左SHのイメージだったと思いますが、
- 今治が自陣でボールを持っている際は3バックに対して1トップ2シャドーの形にして、マッチアップを合わせてよりマンツーマンの色を濃くして対抗します。この変化による影響を今治がスキャンするまでは、今治がボールを捨てざるを得なくなり、徐々にコンサボールの時間が増える成果はあったと思います。
- 56分にコンサは宮澤→田中克幸。この交代直後の左からのスローインからのプレーで、中央が開いた隙に青木が右にサイドチェンジ。近藤の仕掛けがファウルを誘ってPK。高嶺のキックは1度止められますがリバウンドを押し込んで追いつきます。
PK獲得は #近藤友喜 選手の仕掛けから! pic.twitter.com/kAziR0vv2h
— 北海道コンサドーレ札幌公式 (@consaofficial) June 15, 2025
- 得点直後の59分に今治はヴェロン→山田、64分にコンサはジョルディ→バカヨコ。
- 今治はこの辺りの時間帯から運動量が落ちてきたというか、前半のようにマイボールの際に前線にスプリントができなくなっていた感じがします。
- そのこともあってかボール非保持の際は山田を前に出す1-5-2-3気味に変更。撤退時はタンキだけを残す1-5-4-1のイメージもあったと思いますが、コンサが前にスピードのある選手を並べて放り込んでくるので今治はDFが高い位置をとれず、前線が「3」で前から制限をかけていくやり方と前後でハレーションが起こっていたかもしれません。
- 放り込みで主導権を取り戻したコンサは、68分にセットプレーの二次攻撃から高嶺のミドルシュートで逆転。このセットプレーもやはり前に放り込んで、今治のクリアが中途半端なところで畳み掛けて…というものでした。
#高嶺朋樹 選手の気持ちのこもったゴラッソ⚽#近藤友喜 選手が相手を2枚ひきつけたスペースをうまく使いました!#consadole #コンサドーレ https://t.co/54zadtHUJl pic.twitter.com/TN2cut0F2b
— 北海道コンサドーレ札幌公式 (@consaofficial) June 15, 2025
知らないうちに頼っていた:
- 今治は73分にヴィニシウス→日野、新井→横山。
- 今治はシャドーの守備の基準がコンサのSBに明確になってボール非保持が整理されます。
- そしてシステムは多少変わっても、4バックの1-4-2-4気味のコンサに対して今治のWBが広がってコンサのSBを拡げ、SB-CBのポケットもしくはコンサの中盤2人の脇を突いてくる攻撃にコンサが無抵抗なのは試合を通じてほぼ変わらず。
- 特に克幸の投入で守備があまり得意ではなさそうな彼がポケットを管理することになり不安は拭えませんでした。
- コンサは82分に近藤・青木→大﨑・原で田中克幸を前に。
- こうして最後まで今治の横幅をとってポケットを突いてくる攻撃に対し、特に手を打たなかったコンサを待っていたのは…(横山はあの横山の弟なんですね)。
アディショナルタイム同点弾‼️
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) June 15, 2025
🎦 ゴール動画
🏆 明治安田J2リーグ 第19節
🆚 札幌vs今治
🔢 2-2
⌚️ 90+1分
⚽️ 横山 夢樹(今治)#Jリーグ pic.twitter.com/aYJiZRh4q5
- 克幸の痛恨のミスではありますが、疲れている時や厳しい局面で彼のよう技術と度胸がある選手にボールを預けたくなるのはありがちで、この時もパクミンギュが直前に彼に預けて前に走っており、結果的にこれでパスコースが一つ消えたと見ることもできる。ボールを保持したり前方向に前進したりというプレーを個人に頼りがちなコンサだと、こうしたエラーも起こってしまうのかなと思わされます。
雑感
- 戦術的には、
- 宮の相方に誰を起用して、CB2人にどの程度の水準のプレーを求めるか
- システム的なミスマッチにどう対処するか
- がポイントだったかと思います。
- 1つ目については、宮と浦上はとりあえずゴールをことが守ることが仕事という感じで、ボールを捨てることは許容していたのでしょう。
- しかし前線のその捨てたボールを有効活用できる選手が揃っているわけでもないし、捨てたボールを皆で頑張って回収するという感じでもないので中途半端な印象でした。
- また2つ目とも関わってきますが、今治に対し1-4-2-4気味の布陣としたことで明らかに後ろの6選手には負荷がかかっていましたし、ミスマッチを利用してくる相手に戦術的な解決策をほとんど見せられなかったと思います。
- 青木と近藤がいつもよりも高い位置で終始プレーしていましたが、近藤はPK獲得とアシストがあったにせよ、アシストは高嶺のシュートを褒めるべきですし、前に終始張っている選手としては仕事量が物足りなく感じます。ジョルディ、木戸、近藤、青木と4人並べるならカウンターなどで2点とか3点とか取ってくれないと、後ろを6人で処理することとのトレードオフとしては割に合わないと思います(木戸はずっと前にいるわけではなくて頑張っていましたが)。
- この辺りはまだコンサは強者のサッカーをする感覚があるのでしょうか?シンプルに青木や近藤にもっと守備というか、ボールを持っていない時に走らせるというか仕事量を要求しても良いように思えます。特にホームスタジアムに屋根と空調が完備であることも踏まえると。
- 宮と浦上はまだ試運転といったところもあるでしょうけど、宮はボールを持った時に、思ったほどのプレス耐性がない?と思ってしまいました(簡単にクリアが多い)。浦上は対人能力がどこまでCBとして持つかが気になります。
- 宮と、プレス耐性がもう少しある選手…コンサだと西野しかいませんがそうした組み合わせで一度見たいと思いました。
- ↑に書いたこととリンクしますが、前線に近藤、青木、克幸、スパチョーク、バカヨコ、そしてマリオセルジオ…と並べても、結局彼らに有効なボールが届けられない限りは何も起こりません。
- そして前線にボールを届けるためには中盤の中央の選手に前を向かせなければなりません。さらにそのためにはDFが簡単にクリアしたり放り込んだりせず中盤、中央の選手にボールを届けなくてはなりません。
- コンサの場合ずっとここが課題だと指摘していますが、正直なところこの試合に関しては、CB2人が変わってもあまり変化がなかったと言えるでしょう。試合を通じても、高嶺が中央で受けてターンから突破した、ジョルディのオフサイドゴールに繋がった一連のプレーだけだったと思います。
- これについては出し手であるCBの問題、受け手の中盤センターの問題、そしてこの試合に関しては今治が中央を切っていたので、CBだけでなくSBのパクミンギュと髙尾の中央に配球する能力も問われました。
- それができないなら私が見たトレーニングで岩政監督が言った通り、やり方を変える(≒もっとハードワークするスタイルに)しかないのかなと思います。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。
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