1.ゲームの戦略的論点とポイント
田舎者の長い旅:
- 2012シーズンから13シーズン守り抜いたJ1の椅子を手放した鳥栖。末期は川井健太前監督に対する風当たりが強すぎて正直なところ困惑していましたが、13シーズンも守り抜いてきたと考えるとどうしても成績でクローズアップされてしまうのは仕方ないのかもしれません。
- ただコンサも鳥栖もパブリックイメージではお金がないチームということで括られていますけど、鳥栖は2015-18シーズンはCygamesの支援などもあり一時期はスポンサー収入だけで年間20億円以上を確保しており、豊田以外にもイバルボ、吉田、キムミヌ、権田といった選手をキープしていましたし、13シーズンの旅は景気の波があったことになります。監督が資金的にかなりのサポートを受けていたと言える時期と、監督の仕事としてはかなり厳しくなった時期とが混在していたのが現実でしょう。
- コンサもミシャはコンサ史上群を抜いて手厚いサポートを受けた監督ではありましたが、鳥栖から数年遅れでコンサもある種、分不相応に選手をキープしていた時期を経てその後の縮小期を迎えるという似たサイクルを辿っています。コンサは縮小期に入ってすぐに降格してしまいましたが、鳥栖は大卒の若手選手の台頭などもあって数年粘ることができており、良くも悪くも監督も含め人材の流動性が高いのは鳥栖のカルチャーなのかなと思います。
- あとはアカデミーへの投資も特筆すべき事項で、ちょうど2010年代というとポストユースの育成を大学にアウトソーシングする流れがかなり明確になってきて、2010年代の覇権クラブである川崎がその代表かつ成功例なのが大きいのか、またコスパ的にはアカデミーへの投資って本当に効率が良いのか?と疑問視する考えが広がったか、コンサもこの時期アカデミーにあまり投資していなかったと思いますが、気付けば鳥栖の環境(ピッチ、寮と食事、遠征機会、業務提携…)はコンサのような投資が滞っているクラブを余裕で追い越しています。
- この手の施策は投資から成果が出るまで少なくとも5年〜10年くらいはかかるので、まだ評価は時期尚早でしょうけど、2種以下のライバルが多い激戦の北部九州に立地しているがゆえの必然の判断だったのかもしれません。
スターティングメンバー:
- 鳥栖は当初システム1-4-4-2を採用しましたが開幕3連敗と出遅れ、3節では昇格組の今治相手にシステムのミスマッチを利用されたことも大きかったのか、小菊監督は4節からシステムを1-3-4-2-1へ変更。以降13試合は7勝4分2敗で勝ち点25の8位につけ、この期間だけなら自動昇格を争うチームに近いペースになっています。
- 結果的には、開幕3試合が仙台、磐田、今治と現時点で上位にいるチームで新監督体制ではイージーではなかったかと思いますが、そこから修正して持ち直してきた手腕は流石といったところでしょうか。
- メンバーは3バック中央にここ4試合で3度目となる今津を起用。あまり器用ではないかもしれませんが、パワーに期待といったところでしょうか。前線はスリヴカが軸で、西川、西澤、堀米、山田寛人、高校3年生の新川といった選手を組み合わせています。ワイドは左が新井、右はよりバランスを取る役割かもしれません。
- コンサは前節試合中に負傷した中村桐耶が、左膝後十字靭帯部分断裂の重傷で左利きのDFが3人ともいなくなってしまいました。その中村に代わって入ったもののin-outとなった田中宏武の出来が、今後の鍵を握ることになるでしょうか。