1.スターティングメンバー
- 2025シーズンは後半戦に勝ちきれず7位でプレーオフ圏内を逃したものの、オフに岩渕が加入し、百年構想リーグではプレーオフも制して優勝、夏のマーケットで中島が加入した仙台は、おそらくこのシーズンの昇格争いをポールポジションでスタートさせたと見て良いでしょう。
- 開幕2戦は藤枝、大分相手に得点を奪えず2試合で勝ち点1にとどまるも、3節からは八戸、宮崎、湘南を下してしっかりと上位につけています。
- システムは百年構想リーグから3バックの1-3-1-4-2に切り替えており、おそらく真瀬と石尾の移籍が大きいのでしょうけど、勝ち切れるチームへとシフトしていくために、前線のアタッカーや強みである中央の武田、鎌田といった選手を活かす布陣を考えた末にたどり着いた部分もあるかもしれません。
- 開幕2試合で勝てず3節からメンバーを変えており、右WBに五十嵐→杉山、右DFに奥山→高田、中央も松井と荒木に切り替えてきました。
- コンサはリーグ戦4連敗、相手が上位の仙台、ということで、変えてくるならこのタイミングかなという予感はしていましたが、選手を維持してやり方を変えるのか、選手もやり方も変えるのか、でいうと、とりあえずメンバーは維持する前者を予想していましたが選手も変えてきました。
- プレシーズンから中心で考えられていた唐山、ヴィニペイショットがベンチスタートで、トップ下に荒野、中盤に木戸と、梅津を1列上げ、左SBに内田。思ったよりも古井戸的な人選に感じますがどう転ぶでしょうか。
2.スタッツ
3.試合展開
百年構想リーグ戦法に回帰:
- 開始直後に仙台のDFがボールを保持し、GK林にバックパスをしたところでコンサは荒野が林と、そのパスを受けたDFの選手に続けて追い込んでいく振る舞いを見せます。
- コンサは前線のメンバーは荒野、大森と百年構想リーグの中盤戦以降にスタメンが多かった選手が並びましたが、この2人が並んだことで前方向に仙台の選手に寄せていくプレーと、加えて仙台の中盤の選手が持った時のプレスバックを前半は頑張っていて、仙台としては簡単にボールを持たせてもらえない、ボールを持ったらすぐに次の見方を探さないといけないみたいな印象を与えることになっていたと思います。
- 仙台の右DFの高田と、左DFのマテウスモラエスはフリーの状態なら、対角のウイングバック(石井と杉山)にフィードを届ける能力があり、仙台は中央の武田や松井を経由しての展開よりも、このフィード1発での展開を狙っている印象でした。
- ウイングバックが高い位置を取って、そこに1本のパスでデリバリーできれば効率よくチャンスになるのは確かにそうですが、長い距離のキックを蹴るには出し手の選手がフリーというかなるべく動きや視界を邪魔されていない状況が必要になります。
- コンサの長谷川や白井が高田とモラエスに出てくると、仙台は逆サイドへの展開ではなく別の手も考える必要があります。
- 基本的には仙台はこの時に近いサイドのウイングバックにまず預けようとしますが、コンサは仙台のWBに対しSBの選手が早いタイミングで出てきて前を向かせないようにしていました。
仙台の翼を押さえ込むことに成功:
- 仙台のWBの石井や杉山が強引な突破を試みることはあり、確かにサイドを抜け出された場面がゼロではなかったですが、仙台のウイングバックは低い位置に下がってボールを受けて、そこから何らか抜け出してサイドの高い位置まで頑張って走って…ということで、サイドのエリアをほぼ1人で担当しておりかなり負担が大きそうでした。
- 北中米ワールドカップの日本代表もサイドを堂安や中村が1人で担当する形になっていることが多く、中村がブラジル戦などで自陣でサイドバックのように守っている姿は称賛されてもいましたが、サイドが1人のシステムでその1人が後ろでプレーすることが多くなったり、また前も後ろもカバーしないといけなくなって走行距離が長くなると、相手ゴール付近でドリブル突破を仕掛けるたり相手に脅威を与えるプレーに割けるエネルギーは少なくなってしまいます。
- コンサのSBが前に出てくるなら、そのスペースに仙台の2トップの一角である荒木や岩渕が走るなどして、要はサイドをウイングバック1人に任せるのではなく部分的にFWに分担させるようなやり方もあると思います。
- 岩渕は何度か前半、髙尾が前に出た背後に走ってポケットを取ってはいましたが、チーム全体としては仙台はこの試合、コンサのSBの背後やポケットを取る意識はあまり感じられず、コンサとしてはSBが前に出て守ることのリスクはあまり気にならない状況で、逆に仙台のWBを押し込むことのアドバンテージの方が大きい状況でした。
続・両サイドの攻防:
- 上記のサイドチェンジなどで仙台が比較的クリーンに前進に成功して、ウイングバックにボールが渡るなどした時には、コンサはSBがステイして簡単にポケットを空けないように我慢して、2列目の白井や長谷川が戻ってくるのを待って対応する方針にしていました。
- 直近の試合では、コンサはサイドをSB1人で守っていて、そのSBが前に出たところでポケット侵入されたり、単純に大外からの仕掛けで中央に出されて中央で競り負けたり…まぁ基本的にはサイドでも中央でも勝てていなかったのですけど、とりあえずサイドで負けないようにするというか1人剥がされて芋づる式にスペースを使われるようなことを防ぐよう、白井や長谷川、時に荒野と大森のプレスバックや頑張りで対処した、ということでした。
- 仙台はFWが岩渕と荒木、2列目(インサイドハーフ)が中島と武田。中島と武田はスペースに走るというより、ボールを持ってからプレーするタイプですし、また利き足と反対サイドの配置なのでポケットにトップスピードで走ってそのままクロス…みたいなプレーはどうしても少なくなります。
- なので仙台はコンサのサイドのウイークポイントを突くには、岩渕と荒木がもっとコンサのDFの間に走るような動きがあっても良かったように思えますが、この2人も割と中央で勝負したがっていることが多く、コンサはワイドではウイングバックの単独突破だけとりあえず止めていればOKな様子でした。
- それ以上に仙台は速攻を止められると、ブロックに対して中央で前を向いてゴール方向に向かうプレーができるのはおそらく中島しかいなく、コンサとしては仙台の速攻というか直線的にスペースを突いてくるプレーを止める(ボールホルダーを止めて枚数を確保してスペースをとりあえず消す)と、仙台の攻撃の脅威はかなりなくなる印象で、後半に鎌田が出てくるまではほぼそれで対処できていたと思います。
- 順番が前後しますが、26分の仙台の同点ゴールもやはり、奪ってから速い攻撃というか、右の杉山の前にスペースあって加速して、杉山から左の中島(注:後述しますがこの時は4バックの1-4-4-2に変わっていました)の前のスペースが消失する前に早めにパスをして…という攻撃から。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) September 13, 2026
🏆 明治安田J2リーグ
🆚 仙台vs札幌
🔢 1-1
⌚️ 26分
⚽️ 武田 英寿(仙台)#Jリーグ pic.twitter.com/MgQmeHBrDS
overrated?:
- コンサのボール保持になると仙台はリトリートの判断が早く、必ずWBが下がって5バックを作ることを優先していました。
- 素早くリトリートすること自体は、一般には悪くないというか規律が整っているみたいな見方をすると思いますが、仙台の場合はウイングバックが毎回このたびに前線からDFの最後尾まで戻ってくる必要があり、仙台が速攻中心でコンサがスペースを埋めると割と簡単にボールを手放してWBが戻る事態になることや、GK林が田川のような広範な守備範囲がないのでDFのライン設定が低めなことも相まって、ボールを失うたびに毎回自陣に戻るのは仙台の選手はウイングバック以外も結構大変そうに見えました。
- 仙台がリトリートを徹底していたのは、コンサの前線の選手と仙台のDFのクオリティを比べた時にしっかり枚数確保しておかないと不安だから、というのはあったと思います。
- そうだとしたら、その分析は唐山とヴィニペイショット、ティラパットがスタメンにいる前提だったのでしょうけど、その3人がいないコンサは前線に仙台の5バック相手に突っ込む(突っ込んで勝てる勝算のある)選手が不在で、結果論として仙台の対応は過剰気味で、もっと前線に枚数を割いて前から仕掛けられたら良かったのかもしれません。
- コンサはボール保持の際に、最初から両SBが高めの位置どりをします。自陣にボールがある時は髙尾と内田はそれぞれコンサのボランチの横ぐらいに出て、この時点ですでにコンサはCB2人だけの2バックのような配置になっていました。
- 仙台はこのコンサのCB2人にマンツーマン気味に2トップが仕掛けていくような対応もアリなように思えましたが、そうしたアクションを仕掛けるのは後半になってからでした。
- コンサはもっとリスク回避的なボール保持の仕方をしてくるのか?と予想しましたが、この予想を裏切ってどんどんSBが高い位置に出てきます。コンサのワイドの白井や長谷川付近までボールが到達すると、髙尾と内田はそれを内側、外側から追い越して最前線に出てきたり、サイドの深い位置に抜け出してのクロスボールを狙っていました。
- 左サイドは長谷川よりも内田の方がよほど積極性を見せていて、長谷川はボールが入ると(おそらく意図的に)バックパスをすることが多かったですが、こうしたプレーで時間を作るという意味では、この日スタメンの11人の中では長谷川が最も意識していたと思います。
- 少なくとも仙台はほぼ全ての選手が前方向しか見ていなくてポゼッションをする意識は薄く、前方向にスペースがあれば加速できるけど、スペースがない場合は突っ込んだりきつめのパスをしてボールロストになってしまいます。
- 22分に、コンサは白井がコーナーフラッグ付近に侵入してから、この日ボランチに入っていた梅津の柔らかいクロスボールを大森が頭で合わせて先制します。
- この場面も仙台は5バックでセットしていて枚数は揃っていたものの、コンサの右サイドの選手が複数いますが誰もケアできておらず、また中央も大森に対して井上が全く何も抑制できずにシュートを許してしまいます。
#梅津龍之介 選手のクロスに、#大森真吾 選手がヘディングで合わせた⚽
— 北海道コンサドーレ札幌公式 (@consaofficial) September 13, 2026
🏆明治安田J2リーグ 第6節#ベガルタ仙台 1-1 #北海道コンサドーレ札幌#consadole #コンサドーレ https://t.co/WAEvNcpa0J pic.twitter.com/yg5gifkIU6
- 中央の大森への対応は個人の技術によるところが大きいのでしょうけど、グループでの対応としては、ブロックの枚数は揃ってるけど誰が何の役割なのか、どこで相手の誰のどのようなアクションをケアするのかがかなりルーズな印象を受けます。
- 一応私の予想は↑に書いた通り、ヴィニのような選手が強引に突っ込んでくると考え、仙台は複数人で止めるとかカバーできるようにしたい、という準備だったのかと思います。
- ただコンサのCBがフリーだっただけでなく、攻撃参加してくるコンサのSBも捕まえる、もしくは対面に選手を置いて牽制することもできずで後手に回っていたのと、先制点をアシストした梅津(アンカーを木戸に任せていてボール保持においては特段の役割がないフリーマン気味)に対しても、コンサの右サイドに出てくることが多かったですが、仙台はフリーにしていて、アシストは見事でしたが全体的にはめちゃくちゃ緩いなと感じる攻防でした。
形だけではなく振る舞いを変える必要性:
- スコアが動いた20-25分頃(少なくとも仙台が追いつく前に)、仙台はコンサボールの局面では石井を下げて4バックの1-4-4-2気味にします。
- 仙台の発想としては、コンサの前線に3トップの3選手がいて、この3人にDF5人を置いておく必要はないということで前後のバランスを変えたかったのだと思います。仙台は2列目から前の枚数を5人→6人に増やすことができます。
- ただ、この枚数調整を行っても、仙台はコンサに対してハイプレスや前線からボールを奪いにいく形をあまり用意していなかったようで、結局コンサがボールを持っている時に、SBの髙尾と内田が最初から高い位置にいて、この選手を経由して前にボールを出してくるという一連の流れを、前半の仙台は抑制できていませんでした。
- 森山監督の試合後のコメントでも、コンサがここまでメンバーを変えてくるのは予想外で、わかっていれば別のアプローチも考えていたという風に読めました。
- やはりコンサの唐山やヴィニがスタメンで出てくることを想定して、5バックで低い位置から守るというプランで、それらの選手がいなかったことで仙台は後方に過剰な装備を抱えた状態になってしまっていたと思います。
- 仙台が4バックになると、それまで右サイドでアップダウンしていた杉山はウイングバックからサイドハーフになって少し前の位置に、反対に左サイドの石井はSBになるので低い位置からのスタートになります。
- 仙台はコンサの攻撃を低めのブロックで守ってから攻撃に転じるとして、このサイドの選手の立ち位置や役割から、4バックの1-4-4-2に変更後はどうしても右の杉山にまずボールを出す形が多くなります。ただ石井もSBの位置から長い距離を走って前線に出ていく頑張りを何度も見せていて、後半にはボックス内からGK田川を脅かすシュートも放っていました。
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- 後半に入って仙台は非保持の際に2トップがコンサのCBを意識するようになって、特に岩渕が野瀬や田川がボールを持っている時に前に出てくるようにはなりますが、チームとしては仙台はコンサの前に出てくるSBを捕まえるような動きはなく、コンサの後方の選手は比較的フリーなままだったで、コンサが後方で困っているような状況にはならなかったと思います。
- 仮にマンツーマン気味に対応するなら、マッチアップ的には仙台はコンサのSBにはサイドハーフがついていくことになるのでしょうけど、中島や杉山はサイドの自陣深い位置では戻って対応はしていたものの、コンサのSBのポジションチェンジに全部ついていくというほどの様子はありませんでした。
- コンサは62分に白井・長谷川→ティラパット・青木で両ワイドを変えます。
- この時間帯になるとコンサは荒野や大森の、前半の運動量はなくなっていて、特にプレスバックができなくなって仙台は松井や武田の周辺でややスペースができるようになっていたと思います。
- 仙台は68分に岩渕・荒木→小林・鎌田の交代を行いますが、特に鎌田は投入直後から前を向いてボールに触れるような状態というかスペースを享受しており、それまで仙台はコンサのボランチやCBに向かってプレーする選手が中島しかいなかったところで、鎌田がその役割を担える存在としてゲームチェンジャーになりそうな雰囲気はありました。
- 77分にコンサは荒野・木戸→唐山・堀米。80分に仙台は松井→浅倉。
- 仙台は朝倉が入っておそらく中盤ダイヤモンド型の布陣になりますが、足が止まり気味のコンサに対して前から仕掛けてボールを奪いたそうに見えました。
- が、噛み合わせ的にやはりコンサのサイドバックのところに誰を当てるのか、仙台は最後までうまく解を見出せない印象で、↓のように武田がどうして梅津と髙尾両方を見なくてはならないので仙台が前からはめる状況にはなりませんでした。
- 終盤は小林心の負傷もあって仙台が2トップを中田・菅田として放り込んで起点を作ってから、武田のセットプレーでの1発を狙いますが、コンサがなんとか凌いで痛み分けとなりました。
4.雑感
- コンサが人とやり方を変えてきて、仙台はかなり戸惑っていたと思います。
- 変えたというか百年構想リーグのやり方に戻したわけですが、ここ数試合になかった根性や粘り強さを、少なくとも60分頃までは見せることができて仙台相手に勝ち点1を持ち帰ったこと自体は評価できるというか悪くはないでしょう。
- 仙台は前評判が高いと(勝手に)見ていましたが、チームとしてはボール保持があまり上手ではなく、またCBもそこまで強度がなさそうで、このリーグでどのチームが走るのかはまだ不透明、現状中位以下のチームもチャンスはあると見て良いでしょう。
- コンサの話に戻すと、百年構想リーグではJ3のチーム相手には(序盤はこれも負けてましたが)ある程度勝つことができたとして、終盤にJ2の磐田、秋田、新潟といったチームには決定力不足もあり勝てませんでした。
- それを踏まえてプレーシーズンでは前線の唐山、ヴィニといった選手を中心に見出して準備してきたので、このやり方に戻すとそうした準備が無駄になってしまうのと、そもそも百年構想リーグで課題も見つかったやり方で勝てるほど甘くはないと見ているのですがどうなるでしょうか。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。







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