2024年10月6日日曜日

2024年10月5日(土)明治安田J1リーグ第33節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌 〜「集大成」の意味を噛み締める〜

1.ゲームの戦略的論点とポイント

スターティングメンバー:



  • 前半戦で2勝のコンサに勝ち点3を恵んでくれたうちの一つがガンバでした。改めてこの時のメンバーを振り返ると、トップにジェバリ、その下に坂本、ウイングに食野と倉田、左SBに中野伸哉、右に福岡と、CBと中盤センター以外はターンオーバー。60分を過ぎてからウェルトンや宇佐美を投入しますが、コンサが宮澤のゴールを守り切ってシーズン初勝利を挙げています。
  • 舞台はパナソニックスタジアムへと移りますが、今回もガンバは中2日(前回はコンサもそうでしたがホーム連戦で移動なしでした)。コンディション的にはまたもコンサが有利でしょう。
  • ただガンバは水曜日の試合が大阪ダービーだったので移動はなし。そしてリーグ戦は24節から9試合勝ちなしという状況でメンバーをどこまで変えてくるかがまず焦点でしたが、ジェバリが不在の前線は坂本くらいしか代役がいない。同様に三浦が長期離脱中の最終ラインも中谷と福岡のユニットに頼らざるをえない。
  • ですのでこれらのポジションでは最小限の入れ替え(トップに宇佐美→坂本、右SB半田→岸本)にとどめています。ポヤトス政権2年目は、昨年の積み残しである宇佐美をどう使うか?という点には一定の答えを出せましたが、結果メンバーの固定化を招いたもしくは底上げが課題といえるかもしれません。

  • コンサはガンバから期限付き移籍中の武蔵が欠場で、シャドーも浅野とスパチョーク不在のため駒井のFW起用もないとして、地元紙ではジョルディの先発が予想されていましたが、古巣対決となる白井がリーグ戦初スタメン。
  • 白井はカップ戦でもシャドーやウイングバックでの起用が多かったため、どれだけやれるかギャンブル的にも感じますが、ジョルディを検討していたというのも含め、とにかくガンバがボールを持つ展開にしたかったのかもしれません。
  • 他、引き続き髙尾、宮澤が故障で離脱中。公式のメンバー表記では前節途中から右に回った大﨑が右DFで予想されていましたが、ここはいつも通り馬場が右、大﨑が中央でアンカーでした。



2.試合展開

開始早々のプレゼント:

  • 試合前に読者?の方とこんなやりとりをしていたのですが、↓
  • 言いたかったことは、まずガンバはポヤトス監督ということで極端にボールを捨てることは考えていなさそう。
  • ただ監督は別にしてメンバーを見ると、ワイドの山下や福田をはじめ、まず前線にゆっくりプレーして(コンサのDFの枚数が揃った状態で)ゴールを脅かせそうな選手はいませんし、センターラインも福岡は別にして中谷、ダワン…と強さが売りの選手が並ぶ。
  • こうした選手特性的には、ガンバがボールを捨てて、コンサがボールを持っている状態を作ってミスを誘ってからダイレクトな展開でGK菅野をアタックする展開の方が良さそうだな、というのは、例えば横浜FCで山下がどんなプレーをしていたか考えれば容易に推察できるものです。
  • 一方コンサもジョルディやバカヨコといった、DFから雑にボールを押し付けられそうな選手を外して白井をスタメンで起用したのは、「追い回す」かどうかは知らないけど、まずボールをガンバに持たせて、どこかで奪って白井のスピードを活かした攻撃をしたいのではないかと考えたのです。

  • なお「追い回す」に関しては、基本的に1人や2人で「追い回す」のは本来サッカーではそこまで効果的ではないので、追い回すというかは…という表現をしました。追い回すよりも相手がボールを持っている時にどこかに誘導する方がまず優先度が高く重要です。
  • しかし文字通り白井の「追い回す」プレーからガンバのCB福岡のミスを誘発し、8分にコンサが先制点をプレゼントしてもらいます。
  • これでガンバはボールを捨てる戦い方はしづらくなった(自分である程度ボールを持った状態からプレーしなくてはならない、コンサのミス待ちオンリーでは難しい)、というのがこの試合を振り返る出発点になります。コンサはアウェイということもあって、ガンバに持たせてもOKという、スタメンと(予期される)試合展開が噛み合う絶好のシチュエーションになったという点でありがたすぎるプレゼントでした。

  • なおCB福岡のミスに関しては、個人としては軽率ではありましたが、 ガンバは右利きのCB2人を並べているにも関わらず、右CB中谷はあまりボールをキープしようとしないので、GK一森と福岡の負荷が大きくなる構造ではありました。
  • あとは福岡のところに左利きのCBであれば、白井の存在があっても、もう少しスムーズにプレーできたでしょう。冒頭にも書きましたがスタメンを固定気味というか、江川のような選手を組み入れられていないことによって払わされる”税金”のようなミスではあるかもしれません。
  • あと個人的には失点に繋がるようなミスをしても平然と基準を変えずにプレーできることはいい選手の条件だと思っていて(バルサのGKビクトルバルデスなんかはそうでした)、その意味では福岡の基準は残りの90分間でも変わらなかったと思います。

ボールを押し付けたくなる後方のユニットと適任者不在の前線:

  • さてスコア0-1、ガンバがボールを持つ展開を出発点としてみていくと、ガンバの問題点は、CBが中谷と左の福岡、その前にダワン、というユニットであまりボールを運べそうにないにも関わらず、前線にボールを押し付けられそうな選手もいないということが挙げられます。
  • これはコンサでいうとソンユンとジェイの関係みたいなもので、バックパス処理が上手くないソンユンは大半の足でのプレー機会を前に蹴っ飛ばすことで処理していました。ソンユンが兵役を終えてコンサに戻ってきた際に、ジェイが引退していたので簡単に蹴っ飛ばすという選択をとりづらくなったことで、ソンユンのコンサでのキャリアは難しくなりましたが、蹴っ飛ばすGKやCBを使うなら、雑なボールをキープしてマイボールにしたり、相手DFをブロックして味方を活かせる選手が前線に欲しいところです。
  • 昨年の後半戦、札幌ドームでの対戦ではジェバリがトップでしたが、この時ガンバはコンサのマンツーマンを警戒し、ジェバリやアラーノ(右ウイング)に長いボールを当ててきましたがコンサDFに潰されてうまくいかず、コンサのカウンターの餌食となっています(宮澤や福森が跳ね返しまくっていました。

  • そのジェバリもいないということで、ガンバはボールを持った際に定位置にポジショニングする選手にシンプルに当ててくるというよりは、↓のように山田と坂本が引いたポジショニングからボールキープを試みていました。
  • 特に山田は自陣でダワンや美藤の横くらいまで下がってきます。ここまで下がるとコンサは大﨑がついていくのは自重して、一時的に山田か美藤かダワンがフリーになるはずですが、フリーになったところでガンバの選手はゆっくりボールを運ぶというプレーをあまりしないですし、マンツーマンで見られている福岡や中谷はあまり山田を見る余裕がないということもあって、結局は山田や坂本が下がろうと、GK一森のロングボールを使うことが多かったと思います。

明らかにミニクーパーではないと:

  • この際、山田と坂本で岡村と大﨑に正面から対抗するのが難しいというのもありますし、そもそもこの2人が低い位置にいるというのもあって、一森はワイドの山下と福田を狙った、彼らをスペースに走らせるロングボールを多用します。
  • 一森から直接じゃなくとも(中央に絞るSBや中盤の選手を経由しても)、ガンバが詰まった時の出口はワイドの山下と福田でした(理由は↑に書いた通り山田や坂本のシチュエーションによる)。

  • 特に山下が頼りにされているのか、後方の選手に右利きが多いからか、色々要因はあると思いますが、山下付近にガンバが蹴って山下が自慢のスピードでコンサのSBパクミンギュをぶっちぎろうとするシーンが頻発します。
  • 我々は「ドリブル」というと地面にコーンを置いたりして細かいボールタッチで進行方向を変えながらボールをキープすることだと植え付けられることが多いと思いますが、この概念に照らすと山下のプレーはドリブルというよりは一人スルーパスのようなものが多く、ボールタッチを少なくして走るスピードで勝負…という選択をパクミンギュに対して繰り返します。
  • しかしこのマッチアップは韓国代表に復帰したコンサのDFの方が毎回完勝で、山下が細かいタッチを放棄することで進行方向が完全に決まると、パクは素早く寄せて先にボールに触ることでほぼシャットアウトしていました。以前大阪のチームとの対戦の際にコンサの監督が「フェラーリとミニクーパー」と評したことがありましたが、パクミンギュに関してはミニクーパーではないと明確に言えるでしょう。

6DF化はおそらく想定内だが:

  • このほかガンバがボールを持って、コンサが自陣で対処する前半の展開において特筆しておく点は、コンサは両ワイドの近藤と菅が自陣に戻って対応する意識が非常に強く、形式上(大﨑も含めて)6バックのような配置に頻繁になることを、あらかじめ想定しているかのような対応をしていました。
  • これは菅や近藤の選手特性というか、走ることに特徴があり献身的であるという特徴によるのもありますが、ガンバのワイドの選手(山下と福田)がワイドに張ることでコンサのパクミンギュと馬場が頻繁にタッチライン付近に引っ張り出される。
  • それによってコンサのCB岡村や大﨑の隣に空いたスペースに、ガンバの選手が突っ込んでくる前に菅と近藤が戻って埋める…という具合で、ガンバはスペースを作ってコンサの選手をたくさん走らせること自体は前半から成功していた、と見ることもできるかもしれません

  • コンサが6DF化というか菅と近藤が下がっての対応になると、ガンバとしては(そこから最終目的であるゴールを奪えるかは別にして)コンサを押し込んだ状態を作ることにはなる。
  • 白井や近藤のような選手に対してDF背後にスペースがある状態は一定のリスクを伴いますが、近藤がいくら走力に長けるといってもコンサ陣内のペナルティエリア付近まで押し込めば、磐田や鳥栖を切り裂いた彼のシンプルな突破…というコンサの数少ない攻撃のパターンが発動して直ちにGK一森を脅かされるという事態は起こりづらくなります。
  • またコンサは6DF化して、数字でいうと1-6-2-2のような配置になると、2列目を荒野と駒井の2人で守らなくてはならず、この2人が↑の図のようにボールサイドを意識すると中央のスペースを管理することが難しくなります
  • ガンバが前半に枠付近に飛んだシュートはだいたいこの、ボックスすぐ外くらいの中央のエリアからのミドルシュートで、…具体例

  • ただガンバはコンサが6DF化して中央が薄くなった時にもう少しスムーズにボールを動かして、手薄になったサイドから仕掛けられるとよかったのですが、左右両サイドで課題があったと思います。
  • というのは、左は福田が大外に張っていますが、馬場や近藤と対峙した時に福田だとシンプルに質の不足というか、対面のDFを剥がしてクロスボールでフィニッシュまで到達できたのはわずか。右は、山下は強引に縦突破からクロスボールまでは到達できるとして(精度はともかく)、岸本と並ぶと、岸本もどちらかというと大外が得意な選手だと思うので、SBが内側に入ってボールを左右に動かす役割で考えた際に、(外だけではなく内側を使える)左の黒川よりも岸本は受けた際の選択肢が少なく、山下に預けて終わり、だったり、内側で寄せられると岸本もタッチライン付近に逃れてきて、役割を遂行できなくなることもあったと思います。

確信的な加速:


  • コンサは後半頭から動きます。荒野を下げてジョルディを2トップの一角へ。ただ前半の様子を見ると荒野が早々に下がる理由が見当たらず、何らかアクシデントがあったのかもしれません。

  • ここまで特に言及しませんでしたが、コンサの前線は前半、ボールが入ることは少なくまたその精度もあまりないというかとりあえず前に蹴ることで精一杯みたいな状況が多かったですが、その状況下で白井は中谷や福岡相手にうまく渡り合っていたと思います。
  • まずガンバ陣内にボールが入った時に、ガンバの2ラインが割と空いていたことが多かったのは毎回白井が動き出しをしてDFを押し下げていたからですし、白井の近くにボールが入った時は、身体を大きく使って中谷や福岡をブロックしてコンサボールになりやすい状況を毎回作ろうとしていて、速いだけではなくアクションやプレーへの関与の量が十分にあると示してくれました。こうした白井の”成長”はガンバ側からはどのように映ったか興味深いところではあります。

  • 選手交代に話を戻すと、ですので白井の頑張りもあって特に前線にテコ入れは必要なさそうですし、ジョルディだと三上GMの言うところの「2度追いができるFW」ですが、中谷や一森だとジョルディの走力がなくとも簡単にボールを手放しますので、セットプレーで高さが欲しい、またはカウンターの際にもう一人走力がある前線の選手が欲しい、といった理由くらいしか思いつきません。
  • どちらかというと、前半35分を過ぎたあたりからややオープンで落ち着かない展開になっていて、ガンバの坂本と山田が中央の引いた位置…1-6-2-2気味のコンサが駒井と荒野の2人で対応しているあたりでボールを受けられるようになって、38分にはそこでボールを受けた山田が左から持ち上がり、ダワンと坂本を経由してからのシュートがクロスバー直撃、という危ない場面もあり、青木が下がって中央のスペースのカバーリングに入ることが前半ラスト10分ほどは頻発していました。
  • そんな状況でしたので、荒野を下げてFWの選手を入れるのが戦術的な交代だとしたら、この展開ではかなり勇気があるというか思い切りのよい選択だった言えるでしょう。

  • その前半ラストのややオープンかつアップテンポな展開は、互いのカウンターの応酬によって生じており、かつそれは互いのフィニッシュというかラスト1/3の精度がイマイチなため中途半端な展開に終始したことから生じたと感じます。
  • 後半立ち上がりも徐々にテンポが上がっていくのですが、それはガンバがマンツーマン気味、ハイプレス気味の対応に変えてきたことが大きいでしょう。

  • コンサの後方の選手(菅野、大﨑、岡村)がボールを持っている時に、ガンバの選手が4〜5人ほどコンサ陣内の高い位置で捕まえている状態↓を作ることは前半にはありませんでした。
  • 菅野の選択はジョルディ…じゃなくてワイドの菅や近藤にとりあえず蹴っていました。この選択はコンサがこの位置に(サイズの割に)空中戦が得意な選手が置かれていることも考えると全然悪くないというか少なくとも理解できるものではあります。
  • ただ最終的には何らか中央を経由するとなった時に、前半、動きの量が非常に多い白井とFWというより1.5列目的、フリーマン的な青木のユニットに手を焼いていた中谷が、ジョルディが”9番”として中央で頑張ろうとしたことでかえって中谷の得意なタイプのマッチアップに変わった、ということは、ガンバが最終ラインで同数対応になったリスクが一定のリターンに変わる要因だったかもしれません。

  • ジョルディはコンサの強化担当がここ15年ほど定期的に補充してくる、サイズがあって身体的にはパワーと走力が持ち味で、スペースにランニングさせるとDFとしては嫌なタイプ(ダヴィ、都倉、ドドちゃん…)なのでしょうけど、まずジョルディがスペースに走る展開をあまり作れなかったのは、過密日程かつハイプレスを選択して体力的にはきつい時間帯になってくるはずのガンバに「イケるやん」と思わせてしまった…というのは妄想なので知りませんが、あまりガンバがキツいように見えない展開にはなっていたと思います。

  • あとはこの試合何度か見られた現象としては、コンサは左のパクミンギュの方がボールを持った時に信頼されているのか、右の馬場よりも展開されることが多かったと感じますが(スタッツを見ても妥当でしょうか)、

 

  • パクミンギュは福森や中村桐耶のように逆サイドにロングキック1発で仕事終わり、という選択は殆どなく、↓のように一度菅に当てて内側をアンダーラップしてリターンを貰おうとするフットサルで定番のプレーなどをよく使っていて、ともかく結構前に出てくるのですが↓、
  • 当然この時にコンサは後ろにスペースが空いていて、しかも選手が広がった状態になっているので、パクだけじゃなくて馬場のサイドにも言えることですが、DFが攻撃参加する際は慎重かつクリーンにbuild-upしてガンバからカウンターを喰らわないように注意を払いたいところ。
  • しかしコンサは多分そんなところまで頭が回らないというか整理されていないので、この日攻守で圧巻のパフォーマンスだったパクミンギュにかなり頼っていたというか、彼が味方に渡して持ち上がるところまでは容認するのだけど、そこから先はかなり適当でなかなかフィニッシュには繋がらない。
  • そうなると、これもガンバにとってはコンサのDFが手薄になった状態なのでカウンター気味の展開からゴール前まで到達できるリソースの一つになる。この点は前半から散見されていましたが、ガンバが後半ペースアップさせたことでより危険な状態になっていたと思います。

右へのこだわり:

  • 65分にガンバは福田・山下→宇佐美・ウェルトン。コンサは白井→深井。

  • ガンバは点を取るには両ワイド少なくともどちらかのテコ入れは必要だろうなと見ていましたが、ウェルトンを右、坂本を左として左右両方を変えてきました。
  • この試合に限らずウェルトンを右で使うのは、スカッドのアンバランスさ(右利きが多い)もあるでしょうし、ウイングの選手に必要以上に中央に入ってほしくないなどの思惑があるのでしょう。対コンサでいうと、馬場の方が与し易そうですが、攻守でキーマンのパクミンギュにぶつけるのも理解はできますし、うまくいかなければ入れかえればいいのでガンバ側の事情によるところが大きいのではないでしょうか。

  • ガンバはボールを持った時に、こんな感じで↓ウェルトンはサイドに張って裏抜け。宇佐美は右のハーフスペースないしは深井と駒井の脇にあたる場所からスタート。コンサが依然としてアンバランスな1-6-2-2っぽい配置から改善が見られないということで具体的な指示があったのかもしれません。
  • 一貫して潰れ役、ハードワーカーの山田が最前線に移って、坂本も左というよりは中に入って大外はSBの攻撃参加を促します(73分に黒川→半田でそのまま左SBに。黒川は足を痛めてもいたようでした)。


  • コンサは77分に菅と、足をつった近藤を下げてバカヨコと中村桐耶。一応青木がワイドもできるので100%想定外って感じの交代とは思いませんが、近藤は最後まで残せるなら残したかったと思います。

  • 一応コンサはこの試合、深井にせよ中村桐耶にせよジョルディにせよ、特徴の異なる選手を途中交代で入れていますが、アプローチは一貫してワイドが下がるマンツーマンの1-6-2-2。人を変えたところで結局は選手が相手のマーク対象の選手に頑張ってついていくしかないし、中央のスペースはスカスカなのは70分くらい改善されていません。

  • 近藤を下げるとして、バカヨコか小林かで判断が難しかったかもしれませんが、個人的には、人選よりも前に2人を2トップで置いておく意味がほぼない(2人で連動してガンバのGKとCBを追い込むとか中央の誰かをケアするとか目的が希薄化している)中で、バカヨコを入れるなら前で張ってるのか下がってプレーした方がいいのか、というのはピッチサイドのスタッフからは何とも言えず、選手任せだったとすると、そこはバカヨコ投入という人選の問題ではなく、人についていくしかできないミシャ体制の継続した問題が噴出したということかなと思いますし、私にはバカヨコはアウェイで1点リードというシチュエーションをよく理解しているし役割を果たしているように見えます(2回くらい立て続けにあった後方へのパスミスはいただけないですが)。

  • ガンバの最後のカードは79分に美藤→倉田。最後は互いの配置に忠実に表記しますが↓、ガンバはウェルトンが左に回って右の大外は岸本。中谷を上げて放りこみ…とはすんなりいかず、すぐ放り込むというよりはどっちかのサイドから突破できないか模索して、無理そうなら右から右利きの選手のアウトスイングクロスを放り込む…という感じでした。

  • 宇佐美はこの、前線の枚数が増える形になるまではほぼ右寄りにいて、そこは指示を忠実に守っていたのだと思います。最後、ハンドを誘発したクロスボールはその右寄りの位置からで、逆転となるゴールは本来得意の左からというのが興味深い結果だったかもしれません。

雑感

  • まずガンバとのH&A2試合ともターンオーバーできてくれる状況となったこと自体がかなりラッキーでしたが、そうした運を味方につけることができませんでした。
  • 試合展開は、白井の頑張りとこれまたラッキーな面もあり早々に先行しましたが、そこからは1-6-2-2のような布陣で自陣の枚数が多くなり、ウイングバックが低い位置に終始配されたことで前線でボールの出口がなくなり、ボールを動かして(過密日程できついはずの)ガンバに負荷をかけることができませんでした。
  • ただサッカーにおいて1点はデカいのは確実ですし、特にそこまで点が取れていないガンバ相手ならそうした想定外の展開となること以上のアドバンテージだったはずです。

  • 戦術的な話をすると、マンツーマンとかカウンターといったコンサのやり方は、相手を誘導してハメている状態なら楽というか強いのですけど、この日のようにハマっていない、誘導できていない状態だと、走る距離が増えて辛いだけということは言えるかと思います。
  • ここは本来マンツーマンで前からハメていくことを意識していたはずなのですけど、今は(武蔵のインタビューでもありましたが)そうした整理もされていない。確かに最後ボックス内あの場面で切り返せる宇佐美のクオリティはえぐいのですけど、コンサがそういう状態で6バックになって中央スカスカだとまぁ何も起こらなければ相当ラッキーだなという感想でもあります。ラッキー言い過ぎですね。
  • ともかく「集大成」と言いますけど、日々のトレーニングでやってないこと、想定していないことは試合で出せるわけがないという当たり前のことをまたも突きつけられた感があります。

  • あとはすごく雑感を書きますけど、例えば60分過ぎにジョルディが美藤からボールを奪ってカウンターで3v3(コンサは青木、白井、ジョルディ)で、青木のスルーパスにジョルディが抜け出し、青木にマイナスクロスも合わず、シュートを撃てず、という場面がありました。
  • この”ミス”の後で選手は淡々と?自陣に戻っていくのですけど、上手い表現が見当たらないのですが…淡々と?消化するのは、 #日本一諦めの悪いクラブ とか言っている割にはものすごく違和感がありました。
  • 試合展開的に、また我々の置かれている状況的に、またこのチームに技術的にできるプレーなど、あらゆる観点で考えてもこうした場面では絶対に決め切るぐらいのインテンシティ?コミットメント?というか、とにかく上手い表現を書けないのですが必死にならないといけないのではないでしょうか。
  • 勿論選手は必死と言えば必死だし悔しいのでしょうけど、気持ちの問題だけでなく戦術的なアプローチも含めて、極めて重要なワンプレーを簡単に捨ててしまっている感じがして、諦めが悪いと自称するのはいいけど、そうした必死さ?戦術的なディティールの細かさ?は物足りなく感じてしまいました。それでは皆さん、また逢う日までごきげんよう。

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