ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- 前回サンガスタジアム by Kyoseraで対戦した18節時点では、2勝5分10敗で勝ち点11という状況だった京都。18節から31節は8勝3分2敗(29節のvs鹿島は順延)と脅威の巻き返しで残留争いでは他よりも1歩前に出た感があります。
- 直近もセレッソ、FC東京、F・マリノスを下して3連勝を飾ったのち、5位ガンバには終了間際に追いつかれての引き分けと好調を維持していますが、いずれもボール支配率は35、40、49、40%と低水準であり(Football LAB参照)、ボールを捨てる戦い方に適した選手の補強、及びその組み合わせを見つけたことが浮上の要因と見てよいでしょう。
- 選手では、原動力となっているのは前線ではいうまでもなく、ここまで508分出場で9ゴールのラファエルエリアスであり、21節から右サイドに回って6アシストのマルコトゥーリオ、左に回ってワイドストライカーかシャドーのような動きからゴール前に飛び出してくる原とのユニットは、マンツーマンでカバーリング役のいないコンサには特に脅威になるはずです。
- また夏にDFの補強がありながらも、最終ライン中央では以前として宮本が奮闘しており、サイズ不足という明確な懸念がありながら前線のアタッカーが勝負できるまでチームを持ち堪えさせているのはGKクソンユンと彼の働きが大きいと見ています。
- メンバーは左SBに佐藤響か三竿で後者としたのは、近藤のサイドに蓋をするという狙いでしょうか。アンカーは福岡、米本と選択肢がある中で金子がリーグ戦5試合ぶりのスタメン出場。
- コンサは前節試合中に負傷交代した選手のうち、菅野はスタメンに名を連ねましたが、宮澤は第5肋骨骨折と外傷性気胸で離脱が発表されました。また試合にはフル出場していたスパチョークも右ハムストリング肉離れの怪我を負っていたとのことで1ヶ月程度は起用できないでしょう。
- すでに離脱している髙尾や田中克幸、浅野も欠く中で、駒井と青木を前線に上げ、中央に出場停止明けの荒野と大﨑が復帰、左には菅という、このシーズンの定番的なメンバー構成となりました。
1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- 外国籍選手のオセフン、デュークも含め、今や国際Aマッチデーウィークの影響を最も受けるクラブになった町田。9月1週の日本代表招集にもGK谷、DF中山と望月ヘンリーを送り出し、この1年で「クラブステータス」(by四方田監督)が爆上げされた印象です。
- リーグ戦では直近5試合で2勝2分1敗と、7連勝で勝ち点が並んだ広島に比べるとペースは劣りますが依然として首位を維持。こちらも持ち直しているとはいえ降格圏のコンサは軽く叩いて、次節のアウェイでの広島との直接対決をいかに戦うか、少なからず意識はしているかもしれません。
- 気づけばここ1年で獲得した選手が各ポジションにほぼ2人控えるスカッドですが、メンバーは右SBに望月、CBに昌子と夏加入の中山、左SBも夏加入の杉岡。中盤から前も相馬と白崎の加入がありましたが、平河が去ったワイドは相馬よりも藤本とエリキ、ナサンホの起用が増えており、前線のオセフンと藤尾の好調が全体にポジティブに波及していると言えそうです。
- 前節は中山と昌子が負傷交代しましたが、歯を折ったという昌子はこの試合に間に合わせてきました。前線では中島がカップ戦に続いてスタメン起用されているのは、ややパフォーマンスを落とし気味の藤尾に刺激を与える狙いもあるでしょうか。
- 前節ヴェルディに力の差を見せつけられたコンサ。最終盤に湘南と柏との直接対決になりそうなゲームを控えますが、ここから町田、京都、ガンバ、名古屋と続く正念場。前節はジョルディとバカヨコをお供に添えて岡村FWでのパワープレーという仰天采配を見せましたが今節はどうなるでしょうか。
- メンバーは、前節負傷の髙尾の右DFに馬場を回して、大﨑と荒野が出場停止の中央には宮澤。最終ラインは町田のサイズを警戒してか、中村桐耶をリーグ戦5試合ぶりにスタメン起用。ベンチには深井が入りましたが、この日のベンチでは唯一の、純粋な後ろの選手ということでいきなり重要な役割を担いそうです。
- システムは、ボールを持っていない時は青木が左ワイドの1-4-4-2。これについては試合展開の項で詳しく見ていきます。
1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- ヴェルディは2週間ぶりの公式戦。不振の川崎がネガティブな方面でのサプライズだとしたら、このシーズンのポジティブなサプライズを提供しているのは町田とこのヴェルディでしょうか。予算的にはヴェルディの方がインパクトが大きいかもしれません。ここまで29試合で10勝11分け8敗で7位につけ、特筆すべきはリーグ戦で連敗なしという点でしょうか。
- またヴェルディは主力に期限付き移籍の選手が多く、これはかつての価値観だとクラブの資産にならないということであまり推奨されないやり方かもしれませんが、近年J1の若手〜中堅選手の海外移籍が活発になっている中で、(仮に完全移籍で保有しても)どうせ短期でいなくなるなら期限付き移籍でも良い、とする考え方は他クラブも参考になるかもしれません。
- 「監督や選手と長期契約することで連携や戦術が深化しチーム力の向上になる」という考え方は散見されますが、結局はその中身次第ですし、何年監督をやっても一向に向上しない事例も見受けられます。年数の問題というよりはチームづくり、フロントと監督コーチと選手とで戦術的な要求水準を合わせることのほうが余程重要なのでしょう。
- さて、ヴェルディのシステムは序盤戦の1-4-4-2から1-3-4-2-1に切り替えて以降はこれを継続しており、ここ最近はシャドーの山見、中盤センターの齋藤功佑といった選手の重用が目につきます。特に山見は、シーズン後半になるにつれ、ボールを持たない戦い方主体にシフトしつつある中でそのスピード評価されているのでしょうか。
- 中断期間にルヴァンカップ2試合を消化したコンサ。この2試合を回避した大﨑、近藤、カップ戦2戦目で負傷交代したスパチョークを含め、浅野以外は現状のほぼベストメンバーが名を連ねました。
- カップ戦で2ゴールした菅ですが、右の近藤は3連勝した直近のキープレイヤーですし、スパチョークを使うなら青木も左、ということでベンチスターとは妥当でしょう。気になったのは、配信でも言及しましたが、田中克幸はベンチに入ってても良いかと思ったところでした。
1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- F・マリノスの5点リードで折り返した1戦目から、コンサは髙尾、菅、駒井、馬場を引き続き起用し、メンバー外となった大﨑とベンチスタートのパクミンギュ以外はリーグ戦での起用が多い選手を送り込んできました。
- F・マリノスも喜田以外はほぼベストメンバーと言ってよいでしょう。
- これについては、コンサは敗退が濃厚だから主力を休ませるべき、とする主張もあるようですが、まずプロのチームとして公式戦や公式大会を”捨てる”という考え方は本来容認し難いものだと思いますし、加えて週1で選手はゲームを行うことを念頭において身体を作っているので、仮にコンサの主力選手がこの試合を見送っても試合の前後の日にトレーニングマッチ等で実戦に近い想定でのプレー機会を確保することになるでしょう。
- それならば北海道の大学生やプロ未満のクラブと対戦するよりも、F・マリノスとの公式戦という機会を活かした方がリーグ戦を見据えたコンディション維持の観点でも有益ですし、練習場でのトレーニングや大学生とのトレーニングマッチでも故障のリスクはありますので(直近では長谷川の負傷は日大とのトレーニングマッチでした)、コンサの判断自体はおかしいことではないと私は考えます。
1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- 週末のリーグ戦が台風でスキップされたF・マリノスは、直近の公式戦が10日前という状況。そのゲームに出場した選手からはGKの飯倉、畠中、喜田がスタメンに名を連ねていますが、アンデルソンロペス、ヤンマテウス、エウベルはメンバー外でターンオーバーと言っていいでしょう。ジャンクルードはトーゴ代表に招集中。
- 例年カップ戦のベスト8くらいからメンバーを変えてくるコンサ。3日前のリーグ戦のメンバーからは髙尾、パクミンギュ、駒井、菅が中2日でスタメン起用で、岡村もベンチ入り。こちらもターンオーバーですが、後ろの対人に強い選手を主に、リーグ戦と同じ選手を一部送り込んできたという感じでしょうか。
- なお他会場では見たところ、新潟ー町田、名古屋ー広島が両チームともリーグ戦に出ている選手が多め、川崎ー甲府はターンオーバー気味で、対戦相手同士で(示し合わせたかのように)メンバーの傾向が似通う傾向にありました。
1.ゲームの戦略的論点とポイント
スターティングメンバー:
- 直近4シーズンで優勝、優勝、2位、8位と下降気味だったとはいえ、また例年団子状態になるJリーグとはいえ、川崎が9月になってもこの位置(8勝10分9敗で勝ち点34、1試合未消化ながら14位)にいるという状況を想像していた方はどれほどいるでしょうか。
- 12節までを3勝4分5敗と早々に上位争いから脱落し、13節ではコンサ相手にゴミスのハットトリックで勝利しましたが、その後14-23節を1勝6分3敗とさらにブレーキがかかります。ただ24-26節は柏、神戸、FC東京相手に3連勝を飾っており、その後マリノスに敗れ浦和戦の中止を挟んで迎えるこの試合では、再びズルズルと下降してしまうのか順位を上げていくのか重要な位置付けになるでしょう。
- システムは、開幕時に1-4-3-3。トップ下を置く1-4-2-3-1を試した後でまた戻しましたが、20節以降は再び1-4-2-3-1としているようです。メンバーは山田がトップに定着し、中盤センターで22節以降大島がピッチに立っているのはポジティブなトピック。ただ夏のマーケットで大南と瀬古がベルギーへ旅立ったこととは、特にジェジエウの離脱が続く最終ラインを依然として不安定な状況にさせています。
- お互いに3日後にルヴァンカップを控えており、川崎は等々力で甲府と、コンサは光沢でF・マリノスとの試合を控えています。コンサは前節の磐田でのゲームと同じスタメン。ベンチは馬場・フランシスカン→荒野・田中克幸。荒野は8月半ばの時点で割とコンディションは上がっている印象でしたが、大﨑の加入等もあって無理せず調整に充てられたことは好材料でしょう。