0.プレビュー
0.1 スターティングメンバー
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スターティングメンバー |
北海道コンサドーレ札幌のスターティングメンバーは3-4-2-1、GKク ソンユン、DF進藤亮佑、キム ミンテ、福森晃斗、MF駒井善成、深井一希、宮澤裕樹、菅大輝、三好孝児、チャナティップ、FW都倉賢。サブメンバーはGK菅野孝憲、MF兵藤慎剛、早坂良太、荒野拓馬、小野伸二、FW宮吉拓実、ヘイス。国際Aマッチウィークの関係で前節から2週間の中断期間を挟んでのリーグ戦。前節欠場の宮澤は復帰したが、ジェイは右太もも裏痛を発症しメンバー外。都倉がリーグ戦初スタメンで、空いたベンチ枠は宮吉が入り、故障から復帰している模様のジュリーニョは今節もメンバー外となった。深井は左ひざ痛でこの週の練習を休んでいたが、スタメンに名を連ねている。
鹿島アントラーズのスターティングメンバーは4-4-2、GKクォン スンテ、DF伊東幸敏、植田直道、昌子源、山本脩斗、MF永木亮太、レオ シルバ、安部裕葵、土居聖真、FW金崎夢生、鈴木優磨。サブメンバーはGK曽ケ端準、DF犬飼智也、西大伍、MFレアンドロ、小笠原満男、FWペドロ ジュニオール、金森健志。国際Aマッチウィークに開催された日本代表戦の2試合でそれぞれ昌子と植田がスタメンフル出場している。植田は火曜日のウクライナ戦から中3日での出場となる。2試合とも途中出場だった三竿健斗はメンバー外で、中盤センターは永木とレオ シルバの組み合わせ。
0.2 「単なる3バック」とは
1)ミシャシステムの基本原理
札幌の開幕2~3試合を見て、筆者は当ブログにおいて「(ミシャシステムというより)単なる3バックではないか」と書いた。その論拠は、札幌が攻撃時に3-2-5の形でプレーする時間帯が多かったからという表面的なことではなく、全般に札幌の攻撃は4-4-2で守備を行う相手に対し、配置的な困難を突きつけることができていなかったことである。
オフサイドルールがあるサッカーという競技は、ここ数十年のスパンでみると、多少の流行り/廃れやトレンドの変遷はあるにせよ、基本的にいかに中盤に人とボールを送り込むか、また中盤で選手がプレーするためのスペースを創出するか、という点が焦点となってきた。ミシャシステムはこの盲点を突いたものとも言えるが、改めて基本的な原理を考えると、ボール保持時に自陣最終ラインと最前線に人を配することで、相手に対して本来の守備陣形で対応が困難な状況を作ることから始まる。相手を一般的な4-4-2と仮に置くと、ミシャシステムに対して、4枚のDFで5トップをどう見るかという問題と同時並行で、2トップ脇を使おうとするDFの起点化をどう阻害するか、という問題を突きつけられる。
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5トップと4枚での組み立てを突きつける |
多くの場合、失点を減らすために最終ラインの枚数を増やすことで解決が図られる。この時、前線も枚数を増やすことでの対抗を考えると、
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それぞれ枚数を増やして対抗すると… |
相手は中盤を放棄することになる。この放棄された中盤をアンカーや、落ちてくるシャドーやFWが使うことでボールを前進させることがミシャシステムの基本原理となる。
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中盤を掌握できる |
また相手が陣形を変えず、4バックのままで対抗するなら、5トップの数的・配置的な優位性を活かして殴っていくことになる。最もシンプルなパターンとしては、サイドでボールを持ち、相手の陣形をサイドに寄せた状態からの対角へのロングフィード。横幅を4枚で守るチームは横スライドに難を抱えることが多く、5トップの横幅を活用することがクリティカルな対抗策となりえる(このように、ショートパス主体とかロングフィード主体といった議論は結局どれが効果的か、最適なものを都度使えばいいだけで、極めて陳腐な二元論でしかない)。
2)「単なる3バック」だった3試合
上記を踏まえて第2節、セレッソ大阪戦を振り返ると、札幌は最終ライン3枚で終始プレーしていたが、まだまだ勉強中である進藤はともかく、福森のプレーエリアは中央に偏っていた。そのため福森は相手2トップによる監視を受けることが多く、また下の写真のように中央方向から寄せられている場合は、対角へのロングフィードを通すことも難しいので、WBに効果的な形でボールが渡ることも少なかった。
WBにボールが渡らない…横幅を巧く使えないとなると、相手は中央のみをケアしていればよい。よってセレッソの中盤は中央密集でブロックをセットすることになるが、この状態で1トップ2シャドーに縦パスを入れることは、それは針の穴を通すような作業にも等しい。セレッソ戦の2点目はジェイが奪われてからの形だったが、要はジェイ個人の問題以前に、相手を形を変化させられていない…中央から動かせていないので、そこにパスを送れば複数で囲まれ、潰されることは当然でもあった。
横幅が使えていない状況で我慢できずにシャドーが落ちてくれば、前線は4vs5ではなく4vs3、シャドーは中盤センターの2枚がそのまま見ればよいので、この状況では数的な優位性も殆ど活かせていなかった。
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相手に変化を強いることができない |